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この夏、作文コンクールに挑戦するあなたに

以下は、昨年の夏休み、地域の児童・生徒を対象に話した「夏休み、読書と作文にチャレンジしよう!」というテーマの話を原稿化したものです。夏休みの宿題等で作文・読書感想文に挑戦するお子さん・親御さんの役に立つかも……ということで、noteにもアップしておきます。


■読書をしたほうがいい4つの理由

みなさん、こんにちは。
私はフリーライターという仕事をしています。いろんな文章を書いてお金をもらい、生活しています。

そういう仕事をしているくらいですから、私は子どものころから読書が好きで、作文も得意でした。
自慢ではない……というか自慢ですが(笑)、10代のころには「作文コンクール荒らし」と呼ばれていました。その経験をふまえて話します。

私が10代のころには、知りたいことがあると本を読みました。
でも、みなさんは、知りたいことがあると、スマホでググるか、YouTubeで動画を検索するかだと思います。
なので、いまは読書がなぜ必要なのかがわかりにくいですよね。そこで、読書の大切さを4つのポイントから話してみます。

1.読書力はすべての学力の土台だから

国語はすべての教科の基礎だと言われます。
なぜなら、文章を読んで理解する力は、どの教科にも必要だから。言い換えれば、読書力は「考える力」そのものです。
つまり、読書をするようになると、国語だけじゃなくて、すべての教科の学力がアップしていきます。

ある調査によると、読書が好きな小学生は、そうでない小学生よりも、国語や算数の正解率が高く、読書は“学力”に良い影響があると分析されています。

また、別の調査によると、子どものころの読書量が多い人は、そうでない人よりも言語能力や数学的能力といった“認知能力”と、コミュニケーション能力などの“非認知能力”の両方が高い傾向にあるそうです。

2.読書をすると「人間力」がアップするから

小説家の宮本輝さんが、こんなことを言っています。
《読書というのは、「何かの役に立った」ということを基準に価値が決まるものではない。たとえ表面的には何の役にも立たなかったとしても、見えない部分で人間に深みを与えていくのだ》(『潮』2021年4月号)

たくさん本を読んでいる人は、本を読んでいない人に比べて、「人間としての深み」が違ってきます。
ですから、読書というのは、将来立派な人間になっていくための、大切なトレーニングでもあります。

3.本を読まない人が増えるほど、読書の価値は上がるから

いまや、「まったく本を読まない大学生」が50%もいるそうです。高校生も、昔に比べれば本を読まなくなっています。

1ヶ月の間に1冊も本を読まない人の割合を「不読率」と言いますが、高校生の不読率は直近で51.1%です。まさに、まったく本を読まない人が半分以上いるわけです。

ただし、小・中学生については、令和に入ってから、本を読む人が増えてきています。「不読率」が減少傾向にあるのです。
それはともかく、まったく本を読まない子どもや若者が多いことは事実です。

そのように、世の中に本を読まない人が増えるほど、読書することの価値は相対的に上がっていきます。だから、いまこそ昔以上に読書が大切なのです。ほかの人たちより一歩先に進みたかったら、子どものころから本を読むことです。

4.読んだ内容を伝えると力になるから

じゃあ、読書力って、どうやったら身につくのか?
本を読んだら、その本を読んで何を感じ、何を考えたのかを書いておくことが大切です。
できれば、自分が本を読んで感じたこと・考えたことを、誰かに伝える場があると、もっといいでしょう。
読んだ本の内容を人に伝えられてこそ、読書力のアップにつながります。
つまり、読書感想文を書いてみることは、読書力を身につける第一歩として意義のあることです。

■作文を書くと得をする4つの理由

次に、「作文を書くと得をする4つの理由」を説明します。

1.論理的に考える力が高まる

「論理的に考える力」というのは、物事を筋道立てて考える力のことです。生きていくうえで、この力はとても大切です。
この力は、文章を書くことで高まっていきます。
人間の考えは、モヤモヤして形がありません。それを文章にすることで、形としてまとまっていきます。
私も、仕事で文章を書いていると、「ああ、そういうことだったのか」と、書いて初めてわかることがたくさんあります。

2.「自分を知る力」が高まる

「自分のことは、自分がいちばんよく知っているに決まってる」と思うかもしれませんが、意外にそうでもありません。人間は、自分を客観的に見ることが苦手です。
でも、作文を書くと心の中を見つめるので、それをくり返すと、自分を客観的に見られるようになります。
そして、自分を知る力が高まると、自分の心がコントロールできるようになって、精神的にも安定します。

3.「読解力・理解力」が高まる

「読書力は学力の土台だ」という話をしましたが、それと同じで、文章を書くことは読解力・理解力の土台を作ります。
作文が好きになると、国語だけではなくて、総合的な学力アップにつながります。

4.「伝える力」が高まる

作文を書くことは、自分の気持ちをどうやって読む人に伝えようかと考える営みです。
なので、作文が好きになると、伝える力も高まっていきます。そして、そのことによって、コミュニケーション能力も高まっていきます。

さっき、読書する人はコミュニケーション能力が高いという調査結果について述べましたが、作文もしかりだと思います。

大人になるとわかりますが、コミュニケーション能力は、社会で生きていくためにいちばん大切な力です。
作文を書くことを積み重ねると、その力の土台ができます。

以上のように、読書も作文も「いいことずくめ」です。
この夏休みにみなさんが読書や作文に挑戦することは、大人になってから人生に勝利するための大切な一歩です。ぜひ挑戦してみてください。


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