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『極私的ライター入門』

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ライター歴36年の私が約20年前に自分のサイト(すでに消去)に載せていた「ライター入門」を、少しずつ再録していきます。 時代の変化で内容があまりに古くなっている部分は、適宜アップ…
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2022年7月の記事一覧

ライター必読本⑤本橋信宏『心を開かせる技術』

著者の本橋信宏氏は、風俗ルポからコワモテ人士(ヤクザ・闇金のドン・右翼・過激派など)への直撃取材まで、硬軟問わず精力的にインタビューを続けてきたベテラン・ライター。話の聞きにくい相手の心を開く達人である。 本書は、著者が豊富なインタビュー経験から編み出した、語り手の「心を開かせる技術」を開陳したものだ。 随所にちりばめられた、インタビューの舞台裏エピソードが抜群に面白い。また、インタビュー術の極意を明かしたハウツー本としてもすこぶる有益である。 私が「なるほど」と思った

ライターに必要な法律知識を身につける

「転ばぬ先の杖」として 自戒も込めて言うのだが、ライターには自分の仕事に関わる法律について無知な人が少なくない。必要最低限の法律知識すら持たないまま仕事を続けてしまいがちなのだ。 そして、原稿料不払いや著作権がらみのトラブルなどに巻き込まれたとき、初めて法律の大切さに気づき、あわてて勉強したりする。 司法試験を受けるわけではないから本格的に勉強する必要はないにしろ、一般向けの平明な法律本を買って、関係項目を熟読しておいたほうがいい。「転ばぬ先の杖」である。法律は、ライター

ライター必読本④永江朗『インタビュー術!』

取材術に的を絞ったライター入門もいまでは少なくないが、私のイチオシは永江朗の『インタビュー術!』(講談社現代新書)である。 ベテランにして売れっ子のライターが、豊富な経験をふまえてインタビューのノウハウを伝授してくれる1冊だ。 この本の美点の第一は、ヘンな精神論を振りかざすいやらしさがなく、徹底して実用的であるところ。 とにかくアドバイスが細かい。 たとえば、取材の際に使う筆記用具について、“ペンよりもシャープペンシルがよい”と永江は言う。なぜなら、小売店を取材するとき