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MMA予想 7/28(日)【超RIZIN.3】朝倉未来vs平本蓮(RIZIN MMA特別ルール:5分 5R / 66.0kg)

直近1年ほどのMMA戦績を見ると、いずれも1勝1敗。

朝倉:2023/4/29 vs牛久絢太郎(判定3-0 勝ち)、2023/7/30 vsウガール・ケラモフ(1R 一本負け リアネイキッドチョーク)
平本:2023/4/29 vs斎藤裕(判定1-2 負け)、2023/12/31 vsYA-MAN(判定3-0 勝ち)

※斎藤 裕:初代RIZINフェザー級王者、第10代修斗フェザー級王者
※牛久 絢太郎:第二代RIZINフェザー級王者、第10代DEEPフェザー級王者
※ウガール・ケラモフ:第四代RIZINフェザー級王者

元キックボクサー平本が、MMAストライカー朝倉に挑むという形になるのだが、勝敗を分ける重要なポイントは下記の2点と考えられる。

①打撃戦
②平本のテイクダウンディフェンス

これらを掘り下げていく。

①打撃戦について
朝倉・平本共にストライカーという位置付けをされているが、いわずもがな平本は新生K-1を舞台に活躍したキックボクサーである。
かつてはゲーオやゴンナパーといった強豪を破り大金星を挙げるなど、その後の新生K-1を担う人材の一人として期待されていた。
また、JPBA(日本プロボクシング協会)が主催する全国U-15ジュニアボクシング大会においても優勝経験がある為、ボクシングにおいても精通していると考えてもおかしくはない。

MMA打撃戦においては、立技出身の鈴木 博明(元SB王者)、YA-MAN(初代RISEオープンフィンガーグローブマッチ -65kg級王者)だけでなく、随一のMMAストライカー萩原 京平、元RIZINチャンピオン斎藤 裕に対し、互角以上に試合を進める場面が多く見られた。

【平本 蓮 DATA】
2020/12/31 vs萩原 京平(3R TKO パウンド負け)
2022/7/2 vs鈴木 博明(判定2-1 勝ち)

鈴木千裕(現RIZINフェザー級チャンピオン&現KNOCK OUT-BLACKスーパーライト級王者。)にはフラッシュダウンこそ取られはしたものの、逆にグラつかせる場面もあり、こと打撃においてはRIZINフェザー級の中でもトップクラスに位置付けられる事は間違いない。

そして朝倉未来にその打撃が通用するか?という点だが、十分に通用するかと考えられる。

先ず朝倉は直近キックルールでYA-MANに1RKOで敗北した。

キックルールなのだから本職に負けても仕方ないのではと考える所だが、問題は1RでKOされているという事である。それもオープンフィンガーグローブでだ。
勝つまではいかないまでも判定まで持ち込める所まで善戦できれば、MMAルールとなった途端にグラウンドでお釣りが来るわけだが、1Rで負けてしまった。

このYA-MANに打撃戦で打ち勝ったのが、平本蓮である。
格闘技、ことスポーツにおいては3段論法は通用しないといえど、幼少期から立技の英才教育を受け、国内トップを破り、第一線で活躍した平本蓮の打撃は侮れない。
そして平本の様にキャリアを重ねたキックボクサーとMMAで対峙した経験が朝倉未来にはないというのも、不安材料である。

であれば、スタンドにおいては平本蓮に不安なしか?と言われるとそうでもない。

それはなぜか?

平本蓮は被弾も多いからである。

背筋をピンと張りギリギリまで相手を攻撃を見極め、打撃後に崩れない様にコンパクトに打撃を繰り出すタイプなので、読み間違えた際に被弾する事がある。
鈴木千裕戦でダウンしたのも鈴木千裕がお手本の様にキレイな打撃を繰り出すタイプではないからだろう。

朝倉もストレートがオーバーハンド気味になる様に、平本蓮ほど綺麗なフォームで打撃を繰り出す訳ではない。

要は軌道が読みにくいという事だ。

そしてJTTの存在である。

JTT(ジャパントップチーム)は朝倉未来が所属するMMAジムだが、最近指導体制が明らかに充実している。

ヘッドコーチのエリー・ケーリッシュをはじめ、打撃コーチとして招聘している原口健飛・山崎秀晃。そして平本と親交の深い(?)安保瑠輝也の3名がいるので仮想平本蓮の環境作りとしては申し分ない。
昨年末にはグラップラーのヒロヤが新井丈(修斗2階級王者)を打撃で下すビッグアップセットから見ても、JTTの環境が良い証拠である事がわかる。
平本の動きに合わせたカウンターは数多くシミュレーションできるかと考えられる。

そして普段から親交を深めている那須川天心の存在も無視できないだろう。
同じサウスポーであり、神童と呼ばれるほど突出した洞察力は平本にとって脅威である事は間違いない。
最近の動画では早速朝倉のパンチの際、頭が前に出る癖を指摘していた。
元々平本の方が先に那須川と親交があったが、SNS上での天心の発言に対し嫌悪感を示した事でほぼ絶縁状態といった所なので、朝倉に手を貸すのも致し方ないとも言える。

さて、互いの優位性を述べた所でまとめると、打撃戦の結論においては、五分もしくはやや平本優位といった所だろうか。

やはり朝倉がYA-MANにKOされた事実はかなりのマイナス要素であり、2020年大晦日のドミネーター戦からKOがなく判定勝利が続いている点も気になる所。

【朝倉 未来 DATA】
2020/12/31 VS弥益 ドミネーター 聡志(1R KO ハイキック&パンチ)

対して平本は判定勝利しかないが、YA-MANに打ち勝っている部分はかなり大きい。鈴木千裕ほどの爆発力が朝倉にないと考えると、今の平本を、朝倉が真っ向から打ち負かすとは考えにくい。

②平本のテイクダウンデフェンスについて
徹底的にストライキングを追求し続ける平本にとって永遠の課題はテイクダウンディフェンスである。
打撃での攻防を「スタンド」と表現する様に、ストライカーにとって倒されてしまうと自分の持ち味を殺されてしまったも同然だからだ。
生粋のストライカー同士であれば、倒す能力もさほど、そもそも倒しに行かないという事だ。
しかし、対戦相手はストライカーだけではない。レスラーや柔術家など積極的に寝技に持ち込む選手も存在する。
だからこそMMA(Mixed Martial Art)なのである。
ストライカーは、この寝技に持ち込む選手にどう立ち向かうかが課題となってくる。
対策方法は大きく分けて2つ。

①自分もレスリングや柔術を身につける
②テイクダウンディフェンスを徹底的に学ぶ

①についてはどちらかといえば、自分が極めるというよりかは、極めさせない事に重きを置いている場合が多い。
知識を学んでおけば相手にフィニッシュさせずに、なんとか立ち上がり仕切り直す事にもつながる。

②はそもそも倒されない様に、スタンドの状態を維持し続ける技術を磨いていく事である。
倒された後の事を考えないという事でもないが、柔術やレスリングを今更習うより倒されずに打撃で仕留め切るという考え方である。
こちらは打撃に絶対の自信がある前提で、かつ諸刃の剣である事は間違いない。

下積み期間があれば、①②をどちらも丁寧に学び、個性を伸ばしていくのが理想ではあるが、平本の様に20歳ごろまで徹底的に立技に取り組んできて、MMA転向と同時にRIZINで戦うとなると
下積みがない分、①をやっていくのはかなり骨が折れるはずである。だからこそ②をしっかりやっていく必要があるのである。

そんな平本は所属する剛毅會を介し、MMAレスリングに定評のある大塚 隆史(元DEEP二階級王者)の指導を受け、テイクダウンディフェンスに磨きをかけている。

しかし、それはまだ発展途上であると見られる。

斎藤裕戦では、ケージまで上手く体を寄せ、なんとか倒されるのは防いでいたものの、ほとんどケージに磔状態にされていた。

疑惑(?)のスプリット判定であったものの、ほぼ斎藤がケージの特性を生かし、得意な打撃の時間を削っていた。

これが厳しいのである。

朝倉は柔術が紫帯(白<青<紫<茶<黒)でレスリングもできるのである。

さらにJTTにはビリービゲロウというレスリングのスペシャリストまでおり、レスリング力を磨く機会も多い。

実際、朝倉VS斎藤2においても斎藤にニータップを決めるなどしている。

また、平本はタックルを警戒した場合、打撃がローキック一辺倒になるシーンもあり
テイクダウンディフェンスによって打撃の為の体力を奪われてしまうという状況が斎藤戦にはあった。

朝倉のテイクダウン能力を考えると、平本が斎藤戦の様にテイクダウンディフェンスに体力を割かれ、肝心の打撃で盛り返すとは考えにくい。

◆まとめ

・打撃の実力はほぼ互角(やや平本有利か?)
・平本は朝倉のテイクダウンをなんとか切り続けるも、リングのコーナーに磔にされ、打撃の時間をほぼ取らせてもらえない。
・平本を3R制し続け、平本の体力を削り切った後に勝ちを確信した朝倉が、試合を盛り上げる為に打撃戦に誘う可能性はあり

予想:朝倉未来 3R終了 判定勝ち(3-0)



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