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今は昔、十五歳にありけり


休み時間、私たちは
教室の後ろにある、黒板に文字を書いていた。

時間割とか、行事とかを記す
あのサブ的な黒板の隅に。

中学3年生の、
その時私がハマっていた
名前を入れ替えて言葉を作る遊びだ。

私の旧姓は
よしいあや
なのだが、入れ替えると
あやしいよ。
になる事を発見した。
それから色んな人の名前を入れ替えた。

一緒に考えていたマユは
頭のいい子で学年トップ3の成績だった。

テストの平均点に差があっても
中学生ならではの恋バナ等で馬が合い
同じグループにいた可愛い子だ。

マユの名前は
もりしたまゆ

チョークを持ったまま
マユの名前入れ替えを
う〜ん…………と考えている私を尻目に

わかった!

とすぐさま言い、カッ!カッ!と
第一投目を力強く書いた。

尻も、また、湯。


さすがだ。
文学的なリズムにも痺れた。
尻と何が湯に浸かってるのか
議論できる余白もいい。
とか真剣に考えたのは後の方で、
見た瞬間は馬鹿みたいに笑った。

まゆはさして笑わず、
次を考えていた。
頭がいいのだ。

すると思いついたようで
書くより先に笑い震えだした。

「ごっ、ごめん。
 古典的表現入るの、あり?」

は?と私が思っているうちに
国語の先生のように綺麗な字で書き記した。



また、尻 燃ゆ。


私は息継ぎが出来なくて90度に折れ曲がった。

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