AとT、そしてW。
脳裡の中で、複雑な会話が始まる。
A「ここ、狭いな。」
T「広いキッチンだったら、家事をやるのが大変でしょ。譲り合ってやってみたら。」
A「ああ、面倒くさい。自分のことだけやっていればいいや。」
T「そんなこと言わないで。あなたのことも色々面倒見てもらっているし、あなたひとりでは何もできないから何から何まで助けてもらっているでしょ。」
A「おいおい。お皿は並べて食べるもんだぞって親に言われなかったか。大人になったら直せないぞ。」
T「きれいに並べて食べることも大事だけど、こぼしたら大変だわ。そこまでちらかっているわけではないから、気にしないでいいのよ。」
A「ああ、重くて疲れたな。お前やれよ。」
T「あなたのことでしょ。自分のことは自分でやるって言ったばかりじゃないかしら。」
A「小学校の先生、大変そうだな。それに比べて、高校の教員は楽でいいよな。」
T「そんなことないわよ。高校の先生は休みもないし、あなたみたいにブラックなのよ。楽な仕事なんてないわ。あなたは娘さんに家事をやってもらって、楽でいいわね。」
A「妻が退院してくるけど、俺仕事だから関係ないわ」
T「あなたの妻のことを、娘さんに色々やってもらうのに、そういう言い方はないわよ。あなたは妻に対しても周りの人に対しても温かみをもった接し方ができたら素敵だし、過ごしやすくなると思うわ。」
W「人に対する思いやり、お先にどうぞの精神、そして感謝って大切だね。それをどうして学んでいかないんだろう、人間って。」
T「あなたは優しすぎるのよ。やりたくないことまでやらなくていいの。そろそろ、自分を許してあげたらどうかしら。」
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