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思い込み

 ヒトのみならず、すべての生命体、あらゆるモノは炭素C、酸素Oなどの原子が結合してできている。その原子は原子核と電子で構成され、原子核の周りを電子がグルグル回っているのだが、なんと原子核を1cmとすると電子は1kmも離れている。その間には何もないと言われ、空洞だ。無である。ようするに、スカスカ。そんなものがたくさん集まってもスカスカなのに、何だかそこにはモノがあると認識してしまう。畢竟するに、あらゆることは思い込みともいえる。
 ヨシタケシンスケさんの絵本『りんごかもしれない』を読んだことがあるだろうか。目の前にりんごがあるとする。それをどう考察(想像)するか。思い込みに縛られずに、自由に考えるとはこういうことを指すように思える。誰もが思いつかないようなことを書き上げる彼の想像力には甚だ感服する。
 原子の話を踏まえるなら、そもそも目の前にりんごは果たして存在すると言えるのだろうか。スカスカなのに、食べたと言ってよいのか。原子は目に見えるレベルではないので、まだ研究段階であり、分からないことだらけ。だからこそ、豊かな発想で捉えることもできるかもしれない。
 さて、自分でもよく分からないから話題にするのを躊躇していたが、りんごの話を書いたので、覚悟を決める。うまく表現できないので、ご容赦願う。では、「りんごの色」を考えてみよう。りんごは果たして赤色だろうか。絵に描こうとすると、私ならおもちゃのように赤一色で表してしまいそうだが、さまざまな色が混ざっているはずだ。でも、ここで言いたいのはそのことではない。たとえば、赤色だとしよう。りんごは赤以外の光を吸収し、赤色の光のみが反射されて、ただヒトが認識できた色としか言えない。つまり、りんごがそもそも持ち合わせている色とは呼び難い。では、りんごの本当の色はいったい何色なのだろうか。
 一旦、真実を受け入れてしまうと考え直したり、疑ってみたりすることはなかなか難しい。だからこそ、普段から、そういうものだという思い込みやら世間的な常識から少し離れてみて、真実を見つめてみることも必要ではないだろうか。教科書に書かれているものなどがすべて真実とは限らない。正しいと思い込んで色眼鏡で見るようになると、一面からしか物事を考えられなくなってしまう。絶対的な答えがあるわけではなく、自分が納得できる答えを探してみるのもよいだろう。
 最後に。残暑は厳しいのだが、風が吹くと涼しさを時折感じる。秋を迎えれば紅葉の季節となる。ところで、落葉樹は緑色の葉を、どうして黄色や赤色に色を変える道を選択したのだろうか。緑色のまま枯れ果てて落葉してもいいはずだ。これについてはまだ生物学者も結論を出していない。紅葉について、最近、私が納得している想いは「人間のこころをくすぐるため」である。あなたはどう考えるのだろうか。

이제는 더 이상 내 맘 숨기긴 싫어
もうこれ以上自分の気持ちを隠したくない
                 (TWICE『SET ME FREE』)


🎵 人生いろいろ。人の色もいろいろ。対話を楽しもう~ 🎵
 
【Color 40】人間は成分的に見ると99%が同じと言われていますが、残り少しの成分で顔や性格がなぜこんなに違うのでしょうか。いつも可愛い子や格好いい人を見ると、成分一緒なのに…と思ってしまいます。
【A】そうですね。その気持ちはよく分かります。魅力的な人を見たら、ときには憧れ、また嫉妬してしまうこともありますよね。でも、ヒトは99.9%同じDNA配列を持っていますが、そもそも遺伝子はタンパク質を作るためだけの設計図です。とはいえ、30億個の塩基対のうちの0.1%は300万個ですから、その人の特徴を作り上げるのに十分なのです。でも、憧れることは良いと思いますが、どんなに望んでもその人にはなれないし、超えられません。それよりも、あなたが「いのち」をいただいて、この世で生かされていること自体がすごいことであり、奇跡であることを理会し、感謝の気持ちを持てたら、自分を大切にできるし、ありのままのあなたを大切にしてくれる人が現れますよ。
 
【Color 41】先生が教員を目指したきっかけは何ですか。
【A】意外と聞かれたら困る質問ですね。入試とかの面接では必ず動機を聞かれますが、みなさんよく考えられていて素晴らしいなと感心しています。さて、私はというと、算数、数学が得意に(問題を解くのが好きに)なって、それを友だちに質問されて、自分なりの考えを教えることが楽しく、分かってもらえることが心地よかったのです。快感だったのです。数学ってこんなに楽しいのに、どうして苦手な人が多いのだろうと思っていました。だから、それを伝える職業が教員だったのです。前にも書きましたが、他の職業を考えたことはほとんどありません。世の中の多くの人が苦手と思っているなら、そこに介入しようと思うのは、私にとっては自然な流れでした。まさに、必然的に起きたことであり、私の使命だと思っています。あなたにもそのような使命が必ずあって、いつの日か気づくでしょう。心からそう願っています。
 
【Color 42】数学のどこにおもしろさを感じますか。
【A】暗記から始めるのではなく、自由に考えることができるところです。一問一答みたいな科目だったら、おそらく飽きていたでしょう。考えるときのドキドキ、ワクワクがいいですね。できないときの挫折感よりも、解けたときの達成感の方が上回ります。たくさんの発見に面白さを感じます。
 
【Color 43】今までで一番役に立った数学の知識はありますか。
【A】うむ、難しい質問ですね。正直に言えば、役に立ったと思える「知識」そのものはありません。よくあるのが、因数分解は生きていく上で必要ですかという質問です。活用されているものが私たちの日常的な生活では認識できるレベルにないので、確かに不要に思ってしまうのも当然な話です。しかし、数学の知識が欠けてしまえば、今私たちが活用している便利な道具は何一つ存在していません。どんな科目でも、あなたが学ぶ知識そのものが役立つかどうかは分かりません。だからこそ、たくさんのことを学んで、その中で、あなたが誰かの役に立てようと思えたことを活かせばいい気がします。ただし、数学的思考力は日々役立っていると思います。それに気づけるかどうかは人それぞれでいいのです。たとえば、新橋、安心、半額を発音するとき、「ん」が異なることを認識している話す人はいません。知識として知らずとも、それ自体を活用できることが大事ではないでしょうか。

2023.9.1

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