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ここから、ドラマが始まる




「レモン、かけました?」






多分その瞬間のわたしは、
5秒前のわたしよりも
目をすこし大きく開いていたと思う。

びっくりしてしまって。


このひとことに、なぜか、
どうしようもなくときめいてしまって。

今でもたまに頭に浮かぶ。
何回も見たお気に入りのドラマみたいに。





この言葉、そして、"レモン"というワードで
ドラマ「カルテット」を思い浮かべた人は、
わたしと同じ側の人間かもしれない。


さっきの言葉はドラマのものではなく、
わたしがご飯を食べているときに
掛けられたもので、現実の話だ。



「カルテット」の世界にいるのかと思った。


え?こんなドラマチックなことって?

大真面目にそう思った。





ここで違和感がうまれたひとも
中にはいるかもしれない。


わたしも自分でよくよく考えてみると、

「レモン、かけました?」

の、どのあたりがドラマチックなのか
さっぱりわからない。


ドラマでの実際の台詞とも違うし、
シチュエーション自体も違っていて。

だけど、ハッとして、
今でも何度も思い出すくらいに、
すごくすごく
印象的なシーンになってしまった。





「レモンかけないの?」じゃないところがいい

なんか優しくて、
ただ、聞いただけみたいな

「レモン、ありますね」に近いかんじ?
こっちはカルテットの台詞、なんだけど。

それより、見守ってくれてる感じというか。
でも、一方的でもなくて、
そのあとの返事がセットになるかんじ。







おおげさかもしれない、

レモンくらいで。




単純過ぎるかもしれない。

このなにげないひとことだけで、

やさしくて素敵な人だ、

と、判断するなんて。







大好きなドラマと重ねてしまうこと、

説明のつかない気持ち、


"運命"って呼んでいいよね。