衆議院補選と馬場責任論
どうもご無沙汰しております。海原雄山です。約三か月ぶりのnote記事です。
今回は、4月28日に投開票が行われた衆議院補選と馬場代表の責任について、備忘録的に残しておきたいと思います。
例によって例のごとく、これはあくまで個人的な一意見にしかすぎず、どのように馬場代表を評価するかは、個人の自由ですので、仮に読者のみなさまと見解が不一致であったとしても、ご放念ください。
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まず、選挙の振り返り
まず、ファクトの整理をしますが、今回は話を簡単にするために、東京15区中心に論じたいと思います。
選挙結果について
選挙結果はこちらのポストのとおり。(517acidさん、ポストを勝手に引用してすいません💦)
出口調査結果は、こちらのとおり。
当初、維新支持層の6割程度しか固めきれていなかったとのことですが、最終的には、ほとんどを金澤ゆい氏で固めました。吉村共同代表を連続投入した成果でしょうね。お見事。
何気に、立維新支持率も8%と立憲11%と比べても健闘していると言えると思います。
一方、無党派で立憲の酒井氏に大きく水をあけられています。狙いとしては、ここで集票したかったところだと思いますが、自民党の不祥事続きでここでお灸をすえておこうという流れの中では、やはり政権批判色が強い野党第一党の立憲民主党に無党派票が集まりやすかった状況だったと言えるでしょう。
また、自民支持層においては、須藤氏と票がほぼ互角という結果ですが、須藤氏はもともと立憲所属なわけで、本来なら思想信条的な親和性を考えると、この自民支持層からの票で他に差をつけられなかったのは、痛手だったと考えられます。
金澤ゆい氏と東京維新の健闘ぶり
今回、同選挙区で4年以上に渡り活動している金澤ゆい氏の浸透ぶりが目立ちました。金澤ゆい氏本人が演説を始めれば、わっと人が集まる等、維新と言う党のラベル以上に金澤ゆい氏個人の指名買いが際立ち、長年にわたる地道な活動が結実していることがはっきりわかりました。
正直、組織票もなく、著名候補が乱立する中、ここまで戦えたのは、ひとえに金澤ゆい氏個人の努力に負うところが大きいでしょう。
また、今回他陣営から威力的な選挙妨害活動があった中、東京維新メンバーが体を張って懸命にガードする様子が記録に残っています。(もりきちさん、無断借用失礼します💦)
統一地方選以後今まで色々と良くない話題も多かった中、東京維新の非常に良い面が見れたなという感想を持ちました。(東京維新関係者の皆さま、本当にお疲れ様でした。)
馬場代表の責任
さて、ここで今回の補選において、ネット上で吹き荒れる馬場責任論の話をしていきたいと思います。
馬場代表批判の論点
まず、どのような批判が展開されているか、列挙しておきたいと思います。
①余計な一言?
日頃から立憲民主党に対して批判的な発言は行われていましたが、今回の補選においても同様か、今まで異常に激しい立憲批判を馬場代表自ら展開しました。
しかし、他人を叩いても自分は浮上しないという観点から馬場代表への批判は相次ぎました。
また、ただでさえ関東では維新は粗野な集団と見られている向きもある中、このような発言は不穏当であるという指摘もありました。関西と異なり、関東ではそのような発言の受け止めの違いが生じる可能性があるため、地域差を考慮した選挙戦というのが果たしてできていたか疑問視する声もありました。
いくつかの馬場代表の発言の中でも、こちらの発言については、選挙戦において発言することが適当ではない、維新らしくないという批判が多く、敵よりもむしろ身内である支持者からの批判が散見されました。
②長崎切り捨て?
また、同時に行われた長崎3区補選との関係においても、選挙応援の観点から批判が行われました。
選挙最終日において、東京15区は、党三役に加え、馬場代表と吉村共同代表が初めてそろい踏みとなった一方、それゆえに長崎3区には三役が誰も応援に来ていない状況となってしまいました。
あまりにも、偏りが過ぎるということでしょうね。それが、「長崎を見放した」「長崎を切り捨てた」という批判につながった可能性があります。
③そもそも党の顔なのか?
これはそもそも論の話ですが、党の顔として馬場代表がふさわしいのかという声もあります。
橋下さんや吉村共同代表のような、広く一般有権者の興味を引き込める政治家なのかというと、そういうわけではないし、馬場代表が来たからと言ってその応援演説にどれだけの価値があるのかという趣旨の意見を述べる人もいたわけです。
そう考えると、馬場代表が維新の代表を務めていること自体適切でないという批判もあるようです。
馬場責任論への私見
そもそも、悲観するような結果か?
まず、そもそもで、今回の選挙結果はそんなに悪い結果だったのかと疑問に思います。
繰り返しになりますが、確かに無党派で酒井なつみ氏に水をあけられていたり、自民支持層の票を須藤元気と分け合う形となったりということはありますが、今のフェーズは、政権批判色の強い政党が選挙で票を集められる状況と言えるでしょう。
実際、保守王国と言える、島根でも自民が負けたわけですから、政権批判が常な野党第一党立憲民主党に注目が集まるのは、ある意味で仕方ない状況と言えるでしょう。
ましてや、東京15区を構成する江東区は、区長も込みで、政治的スキャンダルで何度も選挙を行っている地域。いい加減政治に飽き飽きする中、わざわざGW序盤で選挙に赴く一般有権者は少ないのも仕方ないでしょう。実際投票率は40%と決して高くはなかったわけで、それが江東区における一般有権者の政治不信のムードを端的に表していると言えるでしょう。
維新は支持者ももちろん、無党派のようなふんわり政治に興味のある層に強いわけで、低投票率の中では、組織に支援された政党が強いのは致し方ないでしょう。
そんな中、金澤ゆい氏個人の4年に渡る活動の賜物もあり、著名候補ともほぼ互角で、善戦できたと言えるのではないでしょうか。
見過ごされがちですが、ファーストの会が「推薦」し、国民民主も後から推薦に動いた乙武氏を金澤ゆい氏が引き離して得票したことは、もっと評価されてしかるべきと思います。
(都民ファ支持者や国民民主支持者には申し訳ございませんが、)ファーストの会は母体となる都民ファが都政与党であることから考えると、もっと地元民から支持が厚くてもおかしくないはずで、小池百合子都知事の応援演説があっても、この結果というのは、実はかなり深刻な結果だと思います。(率直に申し上げて、前の衆院選から続く、都民ファ国政進出の方針がかなり無理があることが明白になってきたかと・・・。)
乙武氏個人の経緯について色々あったことを差し引いても、知名度ある候補を擁立してきたファーストの会と同じく第三極ポジションを争う維新がこの(都民)ファとの戦いを制したことは、今後の東京での選挙戦略上重要なことだと考えられます。
以上から、そこまで悲観するような結果ではないと言えるのではないかと言うのが、個人的な見立てです。
馬場代表の一連の発言について
随分と今回は過激な発言が飛び出していましたが、みなさんお忘れかもですが、今までも散々強烈な立憲批判はしてきたわけです。
今更感のある話ですし、なんなら馬場代表以外の政治家も結構痛烈な立憲批判は行っていたわけです。
恐らく、馬場代表の意図としては、公認候補者がおらず宙に浮いた自民党票と立憲アレルギー票を確保する意図があったものと考えられます。そのためにあえて立憲批判のトーンを強めたのではないかと考えられますが、だとしたら、選挙戦術としては、この方向性は必ずしも悪くはないかもしれません。
ただし、今回の場合、「立憲を叩き潰す」というフレーズが穏当でないワーディングであったことは否めず、過激すぎることがかえって維新を忌避する結果になったことは必ずしも否定できないわけで、どれくらいのトーンが適当なのかという議論はあってしかるべきなのかもしれません。
なお、「立憲に票を入れないでください」発言については、個人的には、一般のふわっとした無党派やふわっとした維新支持票には、必ずしも-に作用していないのではないかなと思います。維新に思い入れの強い人はそういう発言はしてほしくないという思いは強いでしょうが、そこまでの考える人は少数であろうし、仮に嫌な思いをしたとしても、維新に票を入れないということにはならないのではないのかなというのが個人的な見立てです。
とは言え、当該発言は少々疑問符がつくので、今後は控えていただきたいというのは、イチ一般党員個人としての思いです。
リソース配分について
確かに、選挙戦最終日に長崎に党三役の1人でも行けばバランスは採れたのかもしれません。長崎3区の支部長である井上さん本人や応援する立場の人々にも「井上さんを見捨てていないんだ」と思えることは、党内の結束を強める意味でも重要であると言えるでしょう。
しかし、話題性とその効果を考えると、党三役と代表・共同代表そろい踏みは、選挙戦最終日に長崎に三役の1人を派遣する以上に効果はあったと個人的に考えます。
長崎3区には、足立康史衆議院議員を始め、党内の大物も応援に駆けつけていますし、もっと言えば、選挙投票日の前の週には吉村共同代表は長崎入りしています。長崎では立憲との一騎打ちでしたが、出目は必ずしも多くないということは誰しもがわかっていたわけで(井上さんと支持者のみなさんすいません💦)、それでも吉村共同代表が応援に来てくれたのは、ありがたいことだと思います。
選挙戦において、限られたリソースの中、いかにして成果を最大化するかというのはマネジメントの重要なポイントです。
前回の衆院選や参院選においても、選挙終盤になるにつれて、ある程度票を見込めるところや勝負をかけるところにしか、吉村共同代表をはじめとした人気のある応援弁士は派遣されていません。
ここで少しシミュレーション。仮に、選挙戦最終日に党三役の誰か1人でも長崎3区に応援に行っていたとして、維新候補の得票率が1%上がったとします。同じく選挙戦最終日に東京15区に党三役+代表+共同代表が出そろったとして、維新候補の得票率が1%上がったとします。
この2つの選択肢、いずれも維新候補の得票率を同じだけ上げますが、果たして、この得票率1%という数字の価値は、長崎3区と東京15区で等しいでしょうか。
長崎3区は得票率が1%上がったところで、大敗には変わりなかったわけです。結果を見てもそう。
しかし、東京15区における得票率1%上昇は、かなり大きい。候補者乱立で票が分散している中で得票率が1%上がることはかなり大きく、実際結果を見れば、須藤元気氏と金澤ゆい氏の得票差は0.7%差で、この1%という数字の持つ意味の大きさは自ずとわかると思います。(まあ、結果的には5人そろっても負けましたが💦)
2位争いの候補者間で僅差の勝負であったこと、金澤ゆい氏に出目があったことを考えると、党として長崎ではなく東京に戦力を集中させたことは、限られたリソースの中、選挙戦略上合理的であったと言えるでしょう。
今回選挙戦最終日において、党三役、代表、共同代表を東京15区に集中させたことは、マネジメントとして非常にシビアな判断がくだされた結果だと思います。恐らくそういう決断を下した側も苦渋の決断だったと思います。
内輪の論理だけを優先すれば、成果は出せません。これは政党運営だけの話ではなく、極々一般的な考え方ではないでしょうか。非常に酷なようですが、そういうことだと思います。
党の顔について
馬場代表は次世代へのリレー選手
今回の選挙で敗戦したことにより、馬場代表は代表の器ではない、馬場が代表になっても票は+にならないという意見表明がいくつか見られます。
約2年前の代表選において、圧倒的票数で選任された代表ではあるものの、中期経営計画の指標である地方議員数をクリアするなど、一定の成果を挙げても、馬場代表を推す声はそこまで強くない、というか、消極的な馬場代表賛成論ばかりが目立ちます。実は私もそういう立場で、実際支持者・一般党員でもそのような意見が主流に見えます。
当方が半年に一度実施している意識調査においても、馬場氏を代表に推す声は必ずしも高くないのです。
じゃあ、馬場執行部の人気がないかと言われれば、そうではないわけで、これは若手で構成された党三役の支持が高いことにも起因するでしょう。
従前より馬場代表は、「自分は八番キャッチャー」を自負しており、必ずしも「四番でエース」ではないことを自覚しています。
あくまで、馬場代表は自分に代わる代表候補が育つまで(党三役がまとめる力を持つまでの実績を挙げるまで)次世代への繋ぎ選手として代表をやっているわけで、それが党内や支持者・一般党員の暗黙の了解なのではないでしょうか。
なので、代表として物足りないという意見があったとしても、それはそういうものだとしか言いようがないかなと言うのが個人的な感想です。
それでも代表選をやるべき
そうはいっても、私自身としては、今回の補選の件はともかくとして、次回の衆院選の結果如何では、代表選を行うべきなのではないかと考えています。
確かにまだまだ党三役の政治的キャリアは浅く、馬場代表にとって代わる程の経験値を得ているとは言い難いと思います。仮に今回の補選が馬場代表の問題に起因するものだったとしても、今すぐ代表辞任したところで党が崩壊する未来しか見えません。
しかし、仮に次の衆院選の結果がどうであれ、代表選は行うべきでしょう。
理由の1つ目には、今回の補選を含め、今までの選挙結果等を含め、馬場代表の党代表としての審判の機会があってしかるべきこと。
代表選の結果として馬場氏が勝てば、仮に落ち度があっても禊になるし、馬場氏が負ければ、それはそれでけじめをつけた形になるでしょう。民主的なプロセスを経て選ばれた代表のもと、その求心力をテコにまとめる力を発揮し、党の刷新が行われるなら、それはそれで良いのではないでしょうか。
理由の2つ目には、代表選を通じて、新たなスターの育成・誕生が期待できることです。代表選の演説等を通じて、新たな人材にスポットライトが当たることが期待され、人材の層に厚みが出るのではないかと言えます。
それこそ、馬場代表のもつ一番のミッションとも言える次世代へのつなぎ役としての使命を果たすことにつながるのではないでしょうか。
まとめ
責任という言葉は非常に便利な言葉ですが、責任という言葉の次にくる動詞は、「とる」だけではなく、「まっとうする」というものもあります。
「責任をとる(=辞める)」というのは、他に何もやりようがないときに最後に取る手段です。今回、そこまでしなければいけない失態があったかというと、そういうわけでもなく、また馬場氏が代表を辞めたところで、今回の敗戦の原因となる何かが解決する話でもないでしょう。
むしろ、馬場代表には、次世代へのバトンをつなぐというミッションを「責任をもってまっとうする」ことが望まれるわけで、道半ばの今のタイミングで代表辞任なんて、それこそ無責任な話なわけです。
そんな事態になることを、半ば実質後継指名までして馬場氏に維新を託した松井前代表も望んではいないでしょう。
ただ、今回の敗戦は何が原因なのかということは、しっかり分析しなければいけません。安易に候補者個人の努力不足などと言う理由で片付けてしまうことは、党組織の進歩の妨げになります。
この負け戦をいかにして次につなげていくかは、同じく馬場代表のまっとうすべき「責任」と言えるでしょう。
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