維新らしさとは何か(町田市長選を終えて)

(この記事は、2022年2月23日に前ブログで公開されたものです。)

東京維新の大勝負とも言えた町田市長選は、残念ながら現職当選、維新公認のおくざわ高広氏落選という結果に終わった。


町田市民の民意なので、この結果にとやかく言うつもりは全くない。

当選された現職市長には、引き続き市民のために行政運営をしていただけることを望む。


ところで、選挙期間中から、維新公認のおくざわ氏の政策が「維新らしくない」との批判が一部から挙がった。


その批判の的が、「学校統廃合の見直し」である。


大阪では、少子化を踏まえ学校の統廃合等を進めてきた。

これは行政の効率化と言う意味では重要な役割を担ってきていたわけであるし、少子化の波が押し寄せる中いたし方ない面もある。

一部から反発の出そうな施策ではあるが、そこを断行した維新政府の英断を私は評価したい。


一方、おくざわ氏は、大阪のこうした動きとは一見逆行しているように見える。

しかし、おくざわ氏の主張としては、関係者によると、地域のコミュニティ拠点である小学校を地域の実情も踏まえず統廃合することに反対という意味であって、何がなんでも統廃合をすることを是認するわけではないとのことであった。


この考え方が町田市にとって良いかどうかはまあ置いておいて、私が気にしているのは、このおくざわ氏の「学校統廃合の見直し」に対して、当の維新支持者等から「維新らしくない」という見方をされていることである。


私自身は、おくざわ氏の考えは、その地域の実情にとって望ましい対応なのだとすれば、それはまさに地域主導・地域主体で課題を解決していくことであり、それこそ地方分権・地方自治のあるべき姿だと思うので、何も大阪にすべてを合わせる必要はないと考える。


なので、ただちに「維新らしくない」とまでは言えないのではないかと個人的に考える。


しかし、それが「維新らしくない」のだとすれば、一体「維新らしさ」とは何なのだろうか。(別におくざわ氏の政策を「維新らしくない」と言う人を非難する意図はなく、純粋な疑問である。)


この論点は、大阪以外で維新公認・推薦候補が出るたびに湧き上がるもので、私もなんとなく「この人、維新らしくないな~」なんて思うことも過去何度か(自主規制)。


「維新らしい」とは何かと考えたとき、真っ先に思い浮かぶのは「身を切る改革をやるかやらないか」ということである。


それも一つの指標であろう。


しかし、私自身としては、身を切る改革ありきというのは、それこそそれぞれの自治体等における議員の置かれている実情を無視したものと言わざるを得ない。


市町村会議員と言っても、大阪市のようにデフォルトが100万円近い報酬の自治体もあれば、手取が新卒社員並みの町村会議員もいるわけで、後者のような立場に「報酬カットすべき」などと強要することは好まない。

(もっとも、身を切る改革は、議員身分の見直しのことであると理解しているので、定数是正等の観点なら、議員報酬の少ない町村会において維新議員にそれを求めることは、場合によっては理解はできる。)


では、どこに「維新らしさ」というものを求めるべきであろうか。


私としては、「しがらみの無さ」にこそ「維新らしさ」の源泉の一つがあるのではないかと考える。


維新の独自性として、先述の「身を切る改革」を除くと、「行財政改革」、「情報公開」、「官から民」といった様々な要素があるが、それらを行う前提となるのが「しがらみの無さ」であると言っていいと思う。


しがらみが無いからこそ、限りなく聖域なく行財政改革ができるし、民間でできることを民間でやるために官の抵抗にも立ち向かえる。

しがらみがあれば、特定団体への利益誘導等のやましいことを隠したいので、情報公開なんてできない。


すべては「しがらみの無さ」にこそ「維新らしさ」というものが詰まっていると、私は考える。


逆に、もしこれから維新が大きくなって、政権を取るために特定の団体と癒着するようなことがあれば、私は維新の支持を辞めてしまうかもしれない。


それぐらい、私の中で「しがらみの無さ」は、維新の大事なアイデンティティだと思っている。


今回の町田市長選におけるおくざわ氏の政策の一部は、大阪で首長選を戦う際のマニュフェストと若干毛色が違う感は否めないが、それはリベラルな色彩の強い東京西部においてはある種フィットした政策であり、必ずしもそれが悪いとは思わない。


しかし、私が見た限り間違いなく特定の団体におもねったところもなく、この人ならしがらみにとらわれず町田市政をさらに良くしてくれるであろうと思えたので、おくざわ氏が維新らしくないか維新らしいかと問われれば、私は「維新らしくないとは言えない」と答えようと思う。


「維新らしさ」とは何か。

都構想議論がしばらく封印される中、再度問い直す時期に来ているかもしれない。

是非みなさんの意見を聞いてみたいと思う。


とりあえず、今回の選挙で維新の看板を掲げて全力で戦ったおくざわ氏の努力を全力でたたえたい。おくざわ氏の捲土重来を、私は待っています。

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