日本維新の会についての意識調査結果(2024年6月)【後編】
こんにちは、海原雄山です。
日本維新の会についての意識調査結果(2024年6月)【前編】は、おかげ様で多くの方にお読みいただきました。
これもひとえに調査を拡散いただいた方々、そして回答いただいた621名の皆さまのおかげです。改めてお礼申し上げます。
さて、この度、後編では、党代表選に関する設問についてのレポートをまとめていきたいと思います。
なお、調査回答者のデータやその他の設問については、下記のリンク先の前編をご覧いただければと思います。
👇参考
代表選実施の時期について
Q9では、昨今の選挙結果等を受け、代表選を実施すべきか否かについて、みなさんに認識を確認しています。
まず前提として、日本維新の会の代表に具体的な任期の年数の定めはありません。国政選挙、統一地方選の後に代表選を実施するかどうかを議決するための臨時の党大会を開催し、特別党員の投票によって代表選を実施するかどうかを決めることとなっています。(党規約第7条第4項)
そのため、代表選の実施は特別党員の意思によるものですが、必ずしも国政選挙や統一地方選の終了後に代表選が行われるわけではないわけです。
例えば、国政選挙で大敗し有権者からノーを突き付けられた後でも、党内論理で代表選が行われず続投するとなれば、そこに党の内外で代表続投の是非についてギャップが生じる余地が生まれる可能性があるわけです。
そこで一般有権者や一般党員が党代表選を実施することについて、その是非を確認したく思い、本設問を作成しました。
そして、以下がその結果です。
全体の約41.7%が「大東市長選、衆議院補選の結果、これまでの党運営等を受けて、即代表辞任と代表選実施が妥当」「次期国政選挙(衆議院選挙、参議院選挙のどちらか早い方)の結果に関係なく、次期国政選挙実施後、代表選実施が妥当」と回答しており、4割以上が遅かれ早かれ代表選の実施を望んでいるようです。
一方、「次期国政選挙(衆議院選挙、参議院選挙のどちらか早い方)の結果次第で代表選を実施するべきか考えるのが妥当」と答えた方の割合が35.7%に上り、あくまでも国政選挙の結果を見た上で判断するという慎重な姿勢の方も全体の3分の1程度を占めています。
なお、代表選は当面実施不要と答えた方は12.9%にとどまっています。
もう少し詳しく分析したいと思います。
属性別に見ると、以下のような状況です。
一般党員や非党員の支持者の間では、4割前後が遅かれ早かれ代表選の実施を望んでいますが、着目すべきは、特別党員の半分以上が代表選の実施を望んでいるということです。党の中の同僚でさえで、現執行部へ一定の審判を望んでいるということでしょう。
無党派では、代表の即辞任と代表選実施を望む割合が全属性で最も高くなっています。
地域別に見ると、以下のような状況です。まず、大阪府。
大阪府内では一般党員や非党員の支持者から代表選の実施を望んでいる声はそこまで多くは無いようです。特別党員で即代表辞任を望む声が20%いるのは、サンプル数が5と少ないためでしょう。あくまで参考値。
一方、大阪府を除くとどうでしょう。
一般党員や非党員の支持者の間では、大阪府の約2倍の割合で代表の即辞任と代表選を求めています。
一般党員では、大阪府とそれ以外で、代表選の実施を望む人の割合が10ポイント近く異なります。(大阪府:約39.3%、大阪府以外:約48.9%)
では、東京はどうでしょう。
東京は、一般党員と非党員の支持者の間では、即代表辞任と代表選実施を望む声がの割合が約4分の1と高い割合を示しています。
東京は東京15区補選が行われた場所でもありますので、特に補選の敗戦の影響が大きいのかもしれません。
大東市長選、衆議院補選の結果、これまでの党運営等を受けて、即代表辞任と代表選実施が妥当と答えた方のコメント
選択理由コメントを紹介します。
結果責任を問う声が複数聞かれました。
馬場体制での今後の先行きを疑問視する声、そして不満が支持者等に広まっていることを指摘する声も見受けられます。
特別党員の間では、代表が大阪市長であった松井一郎氏から衆議院議員である馬場伸幸氏に変わったことで、党運営の軸足が国政に移りつつあることへの反発があることが伺えます。
一方、下記のように党勢の再拡大に向けて、前向きな意見もあるようです。
次期国政選挙(衆議院選挙、参議院選挙のどちらか早い方)の結果に関係なく、次期国政選挙実施後、代表選実施が妥当と答えた方のコメント
補選や地方選挙では責任追及の要否を判断できないということで、即代表辞任まで求めず、国政選挙後の代表選実施を望む声があるようです。
責任追及という観点と異なり、代表への若手の起用を望む声も聞かれます。
一度代表選の洗礼を受け、現体制に審判を望む声も複数聞かれました。その中には、前の代表選の正当性に疑問を持つ声もあるようです。
そもそも論で、代表の任期制を望んで国政選挙後の代表選実施を望む声は、多く聞かれました。
次期国政選挙(衆議院選挙、参議院選挙のどちらか早い方)の結果次第で代表選を実施するべきか考えるのが妥当と答えた方のコメント
あくまで次期国政選挙の結果を待って評価という声も複数聞かれました。
そもそも大東市長選・東京15区補選の敗戦も責任を問われるものではないとの声も聞かれました。
代表選は当面実施不要と答えた方のコメント
あくまでも長期的な視野に立ち、短期的な選挙結果以外も評価に入れて、代表選実施不要と答えた方が複数いらっしゃいました。
執行部や馬場代表を評価する声も多く見受けられました。
責任追及が問題解決にならないという考えに根差したコメントもありました。
代表選を実施することで党の団結が弱まることを憂慮する声もいくつか見受けられました。
遠藤さんが代表に不適かどうかはさておき、選挙に強い強固な地盤を持っている方は今のところ少ないため、代表を新たに選ぶにしてもなかなか難しい現状も見えるようです。
代表選制度への不信感を示すコメントも見受けられました。
ここでも代表任期の設定を望む声が聞かれます。
なんとも言えない又はよく知らないのでわからないと答えた方のコメント
人材不足を嘆く声が聞かれます。
まずは、馬場現代表の知名度アップが必要との声も聞かれます。
そもそも論で、選挙の結果を代表に問えるのか、つまり別に要因がある場合もあるのではないかとの声も聞かれました。
党に対するある種のあきらめにも似た声もあるようです。
党代表選で投票先として重視する要素
Q11では党代表選で投票する場合に重視する要素を最大3つまで選択していただいています。
今回、要素を絞り込みました。また、回答数も5→3と絞り込み、回答者が特に重要と思うものを絞り込んで回答いただけるよう改めました。
なお、選択肢は以下のとおりです。
過去2回の調査から項目を一新し、回答数も最大5から3にすることで、より重要度の高いものだけ選択されることになりました。
その結果は以下のとおりです。
やはり、①組織をまとめる力が他より頭一つ抜けて約60%の方々から選択されています。その次に⑪党内ガバナンスに関する考え方・姿勢と②政策立案能力が30%台で続きます。
では、属性別で見るとどうなるでしょうか。
まず一般党員と非党員の支持者です。
いずれも似たような結果ですが、非党員の支持者と比較して一般党員は⑪党内ガバナンスに関する考え方を姿勢と②政策立案能力を重視すると答えた方の割合が多く、逆に非党員の支持者は一般党員に比較して、⑤首長・議員といった政治家としての実績や⑨経済・財政に関する考え方・姿勢、⑧道州制・副首都・都構想といった統治機構改革に関する考え方・姿勢と言ったものを重視する割合が高くなっています。
非党員の支持者が個別の政策についての考えや代表となるひとのこれまでの実績を重視する一方、代表選の有権者となる一般党員は、党の内向きのことや広く一般的な政策立案の能力を見て代表を選ぶ傾向が比較的強いようです。
次に特別党員ですが、一般党員や非党員の支持者以上に①組織をまとめる力②政策立案能力を重視する傾向が強いようです。
また、やはり自身の選挙のこともあってか、⑫党勢拡大に関する考え方・姿勢を重視すると答えた方も、非党員の支持者より10ポイント近く高いです。
そして、他党支持者と無党派ですが、これらの属性の人たちに着目する意義・目的は、党代表選の結果次第では支持者に転じる可能性があるためそれらの属性の方々が望む維新の代表像を探るためです。
あるいは、大阪市長選予備選のようにLINE会員としての投票権を得る可能性が0ではなく、将来的な有権者になる可能性もあるため、これらの属性の嗜好を確認する意義は大いにあると考えられます
見たところ、党の支持者らに比べ、他党支持者や無党派は①組織をまとめる力を重視すると答えた方が半分以下と少ない傾向にあります。自分の支持する党ではないので、ある種当然かもしれません。
変わって、⑦税制・社会保障といった内政に関する考え方・姿勢⑨経済・財政に関する考え方・姿勢については、支持者以上に重視していると答えた方の割合が多く、興味関心が高いと考えられます。
一方、非党員の支持者の関心が高い⑧道州制・副首都・都構想といった統治機構改革に関する考え方・姿勢は、重視すると答えた方の割合は比較的低いようです。
以上を見ると、代表選での論点やアピールポイントは自ずと絞られてきそうです。
地域別に要素ごとの違いを見ていきましょう。(属性による絞り込み無し)
回答者人数上位の地域を見てみます。
まずは①組織をまとめる力ですが、近畿4府県で50%を超える一方、関東では50%を切る都県が目立ちます。
まとめる力に対する注目度は、西高東低のようです。
逆に、②政策立案能力については、他の地域に比較して近畿4府県における注目度は低い状況です。
やはり、維新の人気が高い近畿地方では、代表選の選挙権を行使する人も多いと考えられますので、どこら辺に注力をすべきかわかりやすくなったのではないでしょうか。
投票温度(投票したい度)について
いつになるかはわかりませんが、次回の代表選においても誰が優位に選挙戦を進めそうか確認するべく、候補となりそうな政治家別に投票意向を伺いました。
この問いでは、一定の基準のもとに16名の政治家をリストアップし、それぞれに対して党代表選に出馬した場合、どれだけ投票したいか(したくないか)を回答いただきました。
対象者は以下のとおりです。
前回から一部変更と追加を行いました。
前原誠司氏については、維新の特別党員ではありませんが、将来的な合流も視野に入れて参考として対象者とさせていただきました。
各々に対して投票したい度を選択してもらいましたが、仮に絶対に投票したいという人物が複数名いた場合でもOKとしています。
それらの前提のもと、
と設定し、その平均(加重平均)を投票温度と定義します。
投票温度が高ければ高い程、代表選での投票の熱が高い=党代表選において得票しやすいということであり、逆ならば、代表選での投票の熱が低い=票を得にくいという目安になります。
吉村一強、躍進する小野・青柳
こちら、その投票温度です。属性による絞り込みは無し。
吉村洋文大阪府知事は不動の首位で、2位以下に圧倒的な大差をつけていますが、それ以下で前回から順位に変動があります。
前回各々3位、4位、5位だった横山英幸大阪市長、小野泰輔衆議院議員、青柳仁士衆議院議員が1ランクアップし、過去2回2位だった幹事長の藤田文武衆議院議員が5位に後退しています。
前回調査のものも掲載しますが、見比べると2位から5位までの差が詰まり、わずか0.7℃の間で近接しています。
その中でも、横山英幸大阪市長は2位に躍り出たものの、温度は前回に比べ0.4℃下がっています。また藤田文武氏は、順位も後退した上に、温度も2.4℃も下がる状況です。
一方、小野泰輔・青柳仁士衆議院議員は順位がアップした上に投票温度も上がっています。
特に青柳仁士衆議院議員の上昇は目覚ましく、最近のメディア露出や政治資金規正法改正等における活躍が評価されているのかもしれません。
今回、藤田文武衆議院議員が大きく順位を下げているのは、恐らく、足立康史衆議院議員の言動を巡る対応等で馬場執行部自体の支持率低下の影響があったものと考えられます。(足立康史衆議院議員を支持する方に、藤田文武衆議院議員を評価する方は多かったものとみられます。)
属性別投票温度
属性別で見てみましょう。
代表選への投票権者の大多数を占める一般党員に絞り込むと、吉村一強も変わらず、順位も変わらずですが、2位から5位の温度差が属性による絞り込み無しに比べ広がっています。
有権者たる一般党員の間では、吉村洋文大阪府知事が代表に最もふさわしいとの認識の現れかもしれません。
絞り込み無しの状態と比較すると、2位から4位までは各々温度を上げていますが、藤田文武衆議院議員は逆に温度を下げていますので、党代表選の有権者からかなり厳しい評価を受けていると考えられます。
因みに前回調査はこちら。前回と比較すると、吉村一強は一般党員の間でも鮮明になっていると考えられます。
今度は、非党員の支持者の間での投票温度。
こちらでは、藤田文武衆議院議員が3位に踏みとどまっています。また、ここでは小野泰輔衆議院議員と青柳仁士衆議院議員で逆転が生じています。
前回この属性では柳ケ瀬裕文参議院議員がランクインしていましたが、姿を消しています。(今回は7位36.6℃)
特別党員の間では、1位から4位までは、前回と順位変わらず。馬場伸幸衆議院議員が青柳仁士衆議院議員に代わり5位に入っています。
藤田文武衆議院議員は前回同様2位をキープしており、代表就任を求める声は高いようですが、前回調査より吉村洋文大阪府知事との差は広がっています。
今度は無党派に絞り込んでみてみましょう。
ここでは、小野泰輔衆議院議員が2位に食い込み、吉村洋文大阪府知事と0.5℃差にまで詰めています。
小野泰輔衆議院議員は維新支持層だけではなく、幅広く支持を集められるのかもしれません。
また、無党派では、岩谷良平衆議院議員が5位にランクインしているのも注目です。大阪の地方議員からの国政転出した1期目議員の中でも、朝まで生テレビ等のテレビ出演が突出して多く、知名度が高まっている効果が出ているのかもしれません。
地域間での相違 ~東西の嗜好~
ここでは居住地別に一般党員の投票温度を見ていきます。
まず大阪府。
大阪府知事と大阪市長が3位以下に大きな差をつけてワンツーフィニッシュしています。流石に地元大阪の首長は強いです。
そして、ここでは、青柳仁士衆議院議員が3位に躍り出ています。地元選挙区の大阪ということもあり、小野泰輔衆議院議員よりも地の利があるようです。
こちら兵庫県では、何と青柳仁士衆議院議員が2位となっています。
こちら東京都では、小野泰輔衆議院議員が2位となっています。
東京は、2020年の都知事選出馬で小野泰輔衆議院議員を知っている方も多いのではないでしょうか。また、東京維新の副代表でもありますので、かなり有利な状況ではあるかもしれません。
神奈川県はサンプル数が9であるため、ブレはあると考えられますが、何と吉村洋文大阪府知事を抑えて小野泰輔衆議院議員が1位に躍り出ています。
こうして見ると、関東では、小野泰輔衆議院議員がかなり強いと考えられます。
また、神奈川では足立康史衆議院議員が3位い食い込んでいます。
関東では、どちらかというと国会議員の論客が強い傾向にあるように考えられます。
馬場執行部支持別 ~馬場執行部批判票の受け皿~
ここでは、馬場執行部支持別に一般党員の投票温度を見ていきたいと思います。
まず強く支持すると答えた一般党員。
やはり、現執行部を支持する人たちに絞り込んでいるので、執行部の面々が上位に名を連ねています。
先ほどの一般党員全体の順位とは少々様変わりし、代表である馬場伸幸衆議院議員が3位、柳ケ瀬裕文参議院議員が5位にランクインしている他、藤田文武衆議院議員が吉村洋文大阪府知事に肉薄しています。
党の代表ではありますが、馬場伸幸衆議院議員が藤田文武衆議院議員のワンランク下に位置しており、ある種馬場執行部の求められているものが示唆されているようにも見えます。
なお、ここでは、次点に青柳仁士衆議院議員が38.7℃で、もう少しというところでランクインを逃しています。
こちらは、どちらかと言えば支持すると回答した一般党員の投票温度。
ここでは吉村洋文大阪府知事が他を寄せ付けず1位ですが、ここではまだ藤田文武衆議院議員が2位につけています。
柳ケ瀬裕文参議院議員は5位に踏みとどまっていますが、馬場伸幸衆議院議員がランク外に落ちてしまっています。
一方、このゆるく馬場執行部を支持する層の間では、青柳仁士衆議院議員の人気が高く、4位にランクインしています。
6位に小野泰輔衆議院議員が37.4℃で、柳ケ瀬裕文参議院議員と僅差となっています。
馬場執行部については、どちらとも言えないと答えた一般党員の投票温度です。
執行部代表と党三役のうち、5位までに踏みとどまっているのは藤田文武衆議院議員のみとなっています。
一方、青柳仁士衆議院議員や小野泰輔衆議院議員がこの層では上位にランクインしています。
現役執行部党三役より、こうした議員の方が強い傾向なのは、恐らく、今の党執行部へ任せようかどうしようかとためらいいのある票が、これから代表や党三役に入る可能性のあるメンバーへの期待票となっている可能性があります。
今度は、どちらかと言えば支持しないという消極的な馬場執行部批判層です。
こちらでも相変わらず吉村洋文大阪府知事の一強状態ですが、小野泰輔衆議院議員が2位に抜け出しています。続いて、たびたびSNS上で党運営等に対して独自の議論を展開してきた足立康史衆議院議員が3位に顔を出しています。
さらに言えば、馬場執行部を全く支持しないと答えた層においては、なんと足立康史衆議院議員が吉村洋文大阪府知事を抑えて1位となっています。
小野泰輔衆議院議員も吉村洋文大阪府知事に肉薄しています。
足立康史衆議院議員と小野泰輔衆議院議員がこれらの層で投票温度が高いということは、恐らく現執行部への批判票の受け皿となっているということでしょう。
前編で掲載しものを再掲しますが(2023年6月分は割愛)、一般党員の馬場執行部支持の分布は変化しており、支持すると答えた層(グラフ左側)はボリュームダウンし、代わって支持しない層(グラフ右側)は増えています。
特に全く支持しないと回答した層で大きくシェアが伸びていますので、この傾向が続けば、次期代表選において、足立康史衆議院議員や小野泰輔衆議院議員が代表選に出馬すれば、票を伸ばす可能性があります。
候補者別 投票意向
ここでは、主要な候補者別に投票意向の分布を見ていきましょう。
藤田文武衆議院議員 ~『足立ショック』を乗り越えられるか~
まず、幹事長である藤田文武衆議院議員です。今回、有権者たる一般党員における投票温度のランキング2位から5位に後退しました。
絶対投票したいという方が21%、どちらかと言えば投票したいと答えた方も36.9%と、投票をしたいと考えている方が過半数を超えています。
しかし、時系列でみると、以下のとおり。
絶対投票したいという層が今回大幅に減少しています。代わって右側の投票したくない層が増加しています。
投票温度も40.4℃から37.2℃と一気に3.2℃も下がっています。
その原因ですが、今回の調査期間が5月31日から6月3日となっており、足立康史衆議院議員への処分が決まった6月1日を真ん中に挟んだため、その影響があったものと考えられます。
こちらは足立康史衆議院議員に「絶対投票したい」「どちらかと言えば投票したい」と答えた層(足立康史投票意向層)の、藤田文武衆議院議員に対する投票意向の分布の推移です。
前回、足立康史衆議院議員というある種本命がいる中でも、藤田文武衆議院議員への投票意向もそれなりに高かったわけですが、今回は足立康史衆議院議員に投票したいと考える人の中で投票したいという層が極端に減り、代わりに投票したくないと答えた方のボリュームが増えています。
足立康史投票意向層は、全体と比べても、投票意向の悪化が極端です。この層の投票温度は、39.2℃から33℃へと大幅に低下しています。
一方、こちらは足立康史投票意向層以外の藤田文武衆議院議員への投票意向です。
確かに投票したくないと答えた層は増えていますし投票したい層も減っていますが、そこまで大きな変化幅でありませんし、依然として投票したいと答えた層が70%を超えています。
この層における投票温度の変化も、40.9℃から39.4℃とそこまで大きな下落ではありません。
つまり、これらを総合すると、藤田文武衆議院議員の投票意向の悪化は、足立康史投票意向層の影響を色濃く受けており、先般の足立康史議員を巡る東京15区補選への言動に対する党としての対応への不満がそのまま藤田文武衆議院議員の投票意向悪化に大きく影響したと考えられます。
まさしく『足立ショック』というにふさわしいでしょう。
党の幹事長という立場から党運営に対して責任を負う立場なので、批判を一身に受けることになるので、ある種仕方ないことなのかもしれません。
今後いかにしてこの足立ショックを乗り越えられるかが、藤田文武衆議院議員再浮上のカギと言えるのではないでしょうか。
吉村洋文大阪府知事 ~圧倒的代表候補不在の本命なき代表選~
次に、吉村洋文大阪府知事です。
吉村洋文大阪府知事の投票意向の特徴は、「絶対投票したい」と答えた層が60%を超えており、他の追随を許さない、圧倒的な人気を博しています。
過去2回からの推移についても、安定的で衆目の一致した代表候補であることはデータ上も裏付けられていると言えるでしょう。
ただし、吉村洋文大阪府知事は自身は頑なに代表選出馬を否定しており大阪への集中を宣言しています。
よって、吉村洋文大阪府知事が出馬しないことには、いつまでも『本命なき代表選』となってしまい、党外へのアピール手段でもある代表選が盛り上がらない結果となる可能性があります。
小野泰輔衆議院議員 ~関東の雄は強固な支持を得られるか~
続いて、小野泰輔衆議院議員です。先述のとおり、柳ケ瀬裕文参議院議員や音喜多駿参議院議員と言った東京の党三役をも抑え、地元選挙区の東京や神奈川では吉村洋文大阪府知事にも匹敵する投票温度となっており、まさに関東の雄と言えるでしょう。
また、先述のとおり、馬場執行部を支持しない層からは、高い投票温度を記録しており、馬場執行部批判票の受け皿ともなっています。
絶対投票したいと答えた層の厚みは、吉村洋文大阪府知事や藤田文武衆議院議員に比べ薄いものの、どちらかと言えば投票したいと答えるゆるい支持層は分厚いと言えるでしょう。
そして、投票したくないという層は、合計約10.8%と少なく、嫌われない候補と言えるでしょう。
過去2回からの推移を見てみると、どちらかと言えば投票したいという層は40%台前半で安定しつつ、絶対投票したい層が徐々にではあるものの増加傾向にあり、段々と次の代表候補として期待が高まっていることが伺えます。
ただし、藤田文武衆議院議員等と比べ、絶対投票したいという層の厚みはまだまだ薄く、どちらかと言えば投票したいという層は、選挙の構図次第では票が他候補に流れる恐れがあります。
絶対に投票したいという強固に支持してもらえるファンを増やすことが今後の大きな課題となるでしょう。
小野泰輔衆議院議員の大きな強みは、元熊本県副知事という地方政府の実務経験ですが、これは他の国政維新政治家にない大きな強みであり、大きなアピールポイントになるのではないでしょうか。
青柳仁士衆議院議員 ~代表の条件~
今回躍進した青柳仁士衆議院議員を見てみましょう。
先述の小野泰輔衆議院議員同様、どちらかと言えば投票したいと答える層が分厚い候補になります。
過去2回からの推移を見てみると、絶対に投票したい層もどちらかと言えば投票したいと答える層も、一貫して右肩上がりで、この一年で評価を高めていったことが伺われます。
昨今の政治資金規正法改正での活躍や、メディア露出の増加も寄与したと考えられますが、今後の活躍次第では、次期代表の本命となる可能性もあります。
代表になるには、当然代表就任後に各種選挙で自分の選挙を置いておいて、他の候補の応援弁士として駆けつける必要があります。馬場伸幸衆議院議員はそれができる数少ない維新政治家ですが、青柳仁士衆議院議員も松井一郎元代表の強固な地盤を引き継ぎ、選挙区は盤石な体制であるため、まさにその代表としての条件を備えている数少ない政治家の1人と言えるでしょう。
横山英幸大阪市長 ~首長代表の系譜~
続いて横山英幸大阪市長です。
どちらかと言えば投票したいと答える層が厚く、投票したくないと答える層が少ないのが、小野泰輔衆議院議員や青柳仁士衆議院と同様の傾向ですが、その2名よりも絶対投票したいと答えた層が厚く、どちらかと言えば藤田文武衆議院議員に近いかもしれません。
地域別で見たときも、地元大阪だけでなく、東京・神奈川でも投票温度は上位にランクインしており、決して大阪ローカルな存在ではないといえます。
大阪市長就任から1年あまりですが、最近でこそ国会議員の馬場伸幸衆議院議員が代表ですが、歴代日本維新の会代表は大阪府知事・大阪市長が担ってきた歴史もあり、その系譜を継ぐ候補として全国的に期待されていることは間違いないでしょう。
足立康史衆議院議員 ~分断を超えられるか~
そして、色々と注目を集める足立康史衆議院議員です。
地元選挙区は大阪ですが、先述のように、国政の論客が好まれる関東での高い支持があります。
また、馬場執行部批判票の受け皿としても期待されています。
先述のように、小野泰輔衆議院議員同様、馬場執行部への不満票の受け皿になっているわけですが、下記のグラフのとおり両者には投票意向の分布に違いがあり、(過去2回から一貫してですが、)足立康史衆議院議員の方が「絶対に投票したい」という強い支持が比較的多いながらも、「どちらかと言えば投票したくない」「絶対投票したくない」と答える層も分厚く、好き嫌いがはっきり分かれている状況です。
特に直近では、絶対投票したいと答えた層は安定していますが、絶対に投票したくないと答えた方が増えている現状ですので、支持・不支持がはっきり分かれる傾向がさらに強まっていると考えられます。
そのため、仮に代表選に出馬したとして、支持の広がりが望めるかという懸念点があると考えられます。
足立康史衆議院議員については、熱狂的な支持者が多い反面、かなり敬遠する層も多いため、いかにして足立支持層以外に支持を広げていくかが今後の課題と言えます。
岩谷良平衆議院議員・金村龍那衆議院議員 ~それはまだ知られていない~
今回新たに対象者に加えた岩谷良平衆議院議員・金村龍那衆議院議員の投票意向の分布も確認しておきます。
無党派において岩谷良平衆議院議員が投票温度上位にランクインしていましたが、一般党員の投票意向はどうでしょうか。
両者ともに、投票したい層は、藤田文武衆議院議員らに比べ薄い状況ですが、何よりもどちらとも言えない・よく知らないのでわからないという層が分厚いという特徴があります。
まだまだ代表候補として判断する材料が少ないということなのかもしれませんが、そもそもでよく知らないのでわからないという層が分厚いというのは、まだまだ普段の政治活動や成果が知れ渡っていないという可能性があるため、逆にこれから露出がもっと高まれば、大きく化ける可能性があるとも考えらます。
岩谷良平衆議院議員は、衆議院議員当選当初も、橋下徹元代表が期待する大阪地方議員からの国政転出組として名指しで紹介されていましたので、今後の活躍にも期待したいです。
回答者から寄せられたの自由意見
毎回調査の最後の設問において、自由に意見を言える設問を用意しています。そちらに寄せられたご意見を紹介します。
前回代表選には梅村みずほ参議院議員が出馬しましたが、その他にも我こそは党を引っ張るという志のある女性議員は積極的に立候補していただきたいものです。
今回の維新案を自民に丸のみさせたことは、大きな成果と考えられますが、国対の力が大きかったものと考えられます。国対政治はともすれば、政党間のなれ合いの象徴として槍玉にあげられがちですが、政治を動かす上でも大きな役割を国対は担っていると考えられます。
万博のコスト増が維新の勢いに大きな影響を与えていますが、維新のみ批判の的にされる風潮には、当方としても疑問に思います。
コスト増を補って余りある経済効果があるため、国全体として機運醸成をしっかり行う必要があります。
ありがとうございます。励みになります。
地盤の問題がありますから、なかなかベテランの自民現職選挙区への転出は難しいですが、似たような議論で、国会議員複数回当選者の地元首長転出(いわゆる回転ドア方式)を望む声もあります。
そこらへんの賛否も今後意識調査で確認することを検討したいです。
確かに大阪では維新が圧倒的与党ですが、その大阪にあっても他党を支持する多様な意見があっていいように思います。
この調査においても、あえて維新支持者以外にも積極的な回答参加をお願いしているのは、支持者以外の声を拾うためです。
今後ともよろしくお願いいたします。
野党第一党は中々ハードルが高いですが、次期衆院選での自公の議席次第では、維新が主導権を握る国会運営ができる可能性があります。
そうなると、もっと国政維新の政策実現が可能になると期待しています。
この1年間、東京維新はネガティブなニュースで話題になることが多いですが、地道な活動で支持を広げていることも付言しておきたいと思います。
維新の中の人、この声聞こえてる?
今の党執行部党三役と代表はすべて国会議員ですが、地方政治家がそれらに就くのも、維新の独自性をアピールする意味でも良いかもしれません。
毎週土日のいずれかでツイキャス音声配信していますが、週2回はキツイ(;^_^A
自民党に悪しき部分は確かにありますが、一方で長く政権与党であったがゆえに知恵やノウハウの蓄積があります。その良い部分は取り込むべきかもしれません。
一定、党としての見解の統一感を望む声もあるようです。
あの時、故やしきたかじん氏が橋下徹氏を説得していなかったら、全然違う日本になっていたかもしれませんね。
テレ朝に言ってください( ゚Д゚)
wwwwwww
党代表とはどうあるべきかという本質を抉るコメントです。
国政維新にもっと首長出身や官僚出身が増えてほしいと個人的には願っています。
もうすぐ都知事選ですが、例の首長選のようなことが無いようお願いしたいものです。
今回、この自由記述設問では、青柳仁士衆議院議員を代表に推す声や高く評価する声が多く見受けられましたが、代表よりも実務者としての活躍を期待する声もあるようです。
丁寧な情報発信で政治を身近にしてほしいですね。
前原誠司衆議院議員との連携は、当方も期待しています。
ここは維新として自民とは違う税体系をアピールすべきかもしれませんね。
国政維新でいかに人材を育てるかが問われていると思います。また、首長経験者の国政転出も期待したいところです。
もっと維新の首長の成果をアピールすべきだと当方も感じています。
足立さん、音喜多さん、言われてますよ。
貴重なご意見ありがとうございます。検討します。
良い着眼点のご指摘だと思います。岩谷良平衆議院議員の事務所の方、是非ご検討を。
日本大改革プラン、期待したいです。
まとめ ~声なき声を拾う~
昨年2回に渡って実施した意識調査は、おかげ様で2つとも大変多くの方々にお読みいただき、大変ご好評いただきました。
noteのサブスクを今年3月をもって終了しましたが、この企画だけは続けてほしいとの声を多くいただき、時間と労力はかかるものの、やってよかったと思える企画はそうそうありません。
継続は力なりという言葉がありますが、定期的に実施して、同じ問いを期間を空けて質問することによって、民意がどのように変化していっているかを把握することができます。
民意は生き物です。
今回、馬場執行部の支持率調査を継続して行うことで、維新支持者や維新に興味のある人がどのように現執行部を捉えているか、その変化の一端を捉えることができました。
これを見て、維新執行部のみなさまも何かを感じ取っていただければ幸いです。
また、私が多くの時間と労力を割いてこの手の意識調査を行うのは、「なんとなく雰囲気で把握するしかなかった民意を、数字で見える化したかった。」という理由であることは、毎度お伝えしていますが、昨今のX(旧:Twitter)では、非常にセンセーショナルな意見表明が積極的に行われる一方、異論を認めない(見えない)圧がかかったりで、自由につぶやけるはずの媒体ながら「言いたいことも言えない」という人も多くいるのではないかと思うに至りました。
そんな中で、こうした匿名による意識調査があれば、自分たちの秘めたる考えや思いを吐き出せる場として機能するのではないかと考え、改めてその意義を捉えなおすことができました。
身を切る改革の見直しなんてまかりならんという声が目立ちますが、今回の調査では半数以上が賛成と回答しており、隠れた民意が露わになったのではないでしょうか。
また、件の足立康史衆議院議員東京15区補選のトラブルについても、色々な思いをお伺いすることができました。
もし、今回の意識調査に参加いただいた方の中で、「思いを自由に表明できた」「言いたいことを言えてすっきりした」という方がいれば、幸いです。
そして、そうした声の集合が、この調査結果に反映されていたとしたら、声なき声を世の中に届けることができたという観点で、とても意義深いことではないかと私は考えます。
最後になりましたが、今回調査にご協力いただいた621名のみなさまや調査を拡散告知して協力していただいたみなさまに、改めてお礼申し上げます。
今回の意識調査が良かったと思う方は、是非いいねボタンを押していただき、SNS等でシェアをお願いします。
それでは、また半年後に。
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