冷蔵庫の扉に映った夏の終わり
・作者より
本作はフォトストーリーEl color de rosa solidarioの続編です。
単体でも十分にお楽しみいただけますが、前作もあわせてお楽しみいただけると幸いです。
急坂をのぼって階段路地を超え、ペンキ塗りの庭木戸を開けたとき、既に大半の家財は運び出されていた。回収待ちの廃家具をならべた前庭とは対照的な、がらんとした屋内で、スウェット姿の娘だけがお茶をすすっている。
「遅かったね。ママはもう行っちゃったよ」
やや上目づかいにくりくりした大きな瞳を輝かせ