mlodinの徒然脱線紀行(自明ですか?:落ち穂拾い・その3)

自明ですか?」の一連の記事もそろそろ店仕舞いしたいと思っているのですが、「おぼしきこと言わぬは腹ふくるるわざなれば」と徒然草にもあるように、溜まっていたものが残っているようで、簡単には終われそうにもありません。
そのような当方の事情から、今回は、溜まったものを解放するための試みで、少し辛口にします。

池田直渡氏の経験主義マウントは、池田氏のファンを自認していたmlodinにとっては、ショッキングなものでした。「なんでこんなハチャメチャなことが言えるのか」と感じたからです。真意が知りたくて、なるべくマイルドになるように気をつかいながらコメントを書きました。
mlodinのコメントに激怒して書かれたであろう、「過去エントリー「経験主義マウント」についたコメントへの返信」には、「あきれて言葉がなかった」というのが、正直なところになります。
エラそうに言いたいわけではなくボクは一応プロの原稿書きなので」と書くのであれば、ご自分が書かれた主張に確かな根拠があるか、内容に整合性があるか、論理構成はきちんとしているかなどを確認するのは当然のこととして、誤字がないかなどをチェックすることは、「プロの原稿書き」でなくても初歩的なことだと思うのですが、そのようなことをせずに書き殴ってアップしたように感じたからです。ホームグラウンドの記事だということで、手を抜かれたのでしょうか。まぁ、体裁は、mlodinよりは圧倒的にいいと感じはしましたが。
技術は振るいに掛けられる」って、技術をどうやって振るいに掛けるのでしょう?
漢字変換におまかせしたので、出てきた結果は知らないということになるのかな?
「仕事をした振り」をしたから「振るい」になるのでしょうか。
篩で分けるから、篩に掛けるなんですが。

前振りはこれぐらいにして、落ち穂拾いの本題に入ります。
mlodinが全く理解できなかったのが、どうして池田氏が、「補助金は成果が出ていない。それは役人が邪魔をするからだ」と強硬に主張されているのかということでした。
池田氏が根拠として挙げられているのは、何回も繰り返し引用している、
>実際に自動車メーカーから「補助金なんてうっかりもらうと仕事
>が進まないからもらいたくない。ただ断ると角が立つから自前・
>自費で研究開発したいのにやむなく、税金を突っ込まれて、下ら
>ない役所向けのレポートで忙殺されている。足を引っ張られてい
>る。あれなら減税してもらった方がよっぽどマシだ」という幹部
>の声を聞いて
というところぐらいですが、これって、「愚痴」ですよね。
言っていることも辻褄があっていません。文字に起こしたときに省略でもされたのでしょうか?
「減税してもらった方がよっぽどマシ」というのは、補助金にどうつながるのでしょうか。全然別の話ではないでしょうか。
この話が、首尾一貫して論理的ではなく、破綻していることは、既に指摘したとおりです。
このような「愚痴」を根拠として、池田氏が激昂していたことが、全く理解できなかったのです。

mlodinは運がいいのだと思います。
先週の木曜に、探していた答えが見つかったのです。
あるところで、時間潰しに、置いてあったニューズウィーク誌を眺めていて、一ページほどの記事に巡り合ったことで、mlodinの疑問が氷解したのです。
池田氏の記事を最初に読んだときに、この記事に書かれていた視点で理解していれば、mlodinのコメントは別の形になっていたのだろうと思います。

その記事は、石戸 諭氏が連載されている「本好きに捧げる ホメない書評」の「オリバー・ストーンの甘すぎるプーチンインタビューと、その重すぎる代償」でした。
オリバー・ストーンが、プーチン大統領にインタビューした映像作品から書き起こした「オリバー・ストーン オン プーチン」という本についての書評です。
この書評の内容をこの記事で紹介しようと考えたときに、記憶だけで書くのでは正確性に欠けると考えたので、「オリバー・ストーン オン プーチン」について参考になりそうな情報がないかとGoogleで検索してみたのですが、記事そのものがWEBに上げられていて、それがヒットしました。これもmlodinの運になるのかな。
ということで、ここからは、WEBに上げられていた記事を引用しながら内容を紹介します。
詳細が知りたい方は、WEBの記事を読んでください。

石戸氏は、書評の冒頭で、
インタビューをどのようにアウトプットするか。相手の言い分に
寄り添うだけなら、インタビュアーの仕事はほとんどのケースで
意味を持たなくなる。言葉を引き出すのではなく、垂れ流すだけ
になるからだ。だからといって、厳しい言葉ばかりを投げ付ける
見せ掛けだけの追及も意味がない。多くの場合、追及する側が自
分の言葉に酔ってしまい、問題の本質から遠のいていく。インタ
ビューは常にバランスの上に成り立ち、得た言葉を作品に落とし
込む際にはさらに慎重なさじ加減が求められる。
と書き起こし、「オリバー・ストーン オン プーチン」の内容を簡単に紹介して、
2015年~17年の取材という時代的な制約ではなく、プーチンへの過剰な同調のために、プーチンが「アメリカに言いたいこと」を記録しただけ。そんな印象ばかりが残る一冊になった。
と書かれています。
そのあと、石戸氏は、「「あきれるほど寛容」という米メディアの酷評」というタイトルで、アメリカのメディアから酷評されていることを紹介され、オリバー・ストーンの対象に寄り添う危うさはそれほど明白なのだと書かれ、
言葉を引き出すため、インタビューである程度の同調はあっても
いい。だが、本や作品に落とし込む時点では、距離を取る必要が
あった。特に強大な権力者を相手にするときは。本書の失敗から
得られる教訓は、あまりにも凡庸なものしかない。

を結語として書かれていました。

mlodinは、池田氏の記事に、石戸氏が書評で書かれたことを当てはめることで、
池田氏は、自動車会社の幹部の愚痴をそのまま受け入れ、距離を取ることもなく、「これが実態だ」と大上段に持って来て、あのような主張を展開されたのだ
と理解することができたのでした。

このあとは、mlodinが一連の記事を書いて行く間に気付いたことを書こうかと思っていたのですが、「辛口回」ということで、もう一つ、気になったことを書くことにしました。
「Youtubeは見ない」というmlodinのポリシーを曲げて、そもそもの発端になる「EV推進の嘘 10」を見て感じたことです。
念のために書いておきますが、一度しか見ていないので、記憶に基づくコメントになります。

「経験主義マウント」の中で、池田氏は「EV推進の嘘 10」へのリンクを貼っているのですが、藝が細かいということなのでしょうね、まさに池田氏が「補助金は成果を上げていないんだ」というような発言をされている場面に飛ばされました。
「経験主義マウント」の中で「ここだけ抜き出すと文脈が見えないだろうが、筆者の当該の発言は、政府が補助金政策をきっかけに企業経営に口出しして、あれやこれやと注文を付けることについての批判」と書いているのに。
「そこだけを抜き出す形でリンクするなんてなんてことでしょう」とmlodinは思ったのですが、しかたがないので、最初からその発言のところまでを見直したのでした。
なんたる時間の無駄。十数分ですね。苛々しながら見ていました。もっとも、新聞を読みながらだったりして集中はしていません。
集中して見たいとは感じなかったからです。
少しは期待していたのですが、期待は裏切られるものですね。

「EV推進の嘘 10」を見てmlodinが問題を感じたのは、実は、補助金の話題の方ではありませんでした。
見ていない方に見ることをお勧めする気はないので、mlodinから見た概略を書くことにします。そうそう。確認のためにGoogleでの検索もしていて、その結果からの情報を補足しています。

「EV推進の嘘 10」は続きものです。池田氏のほかに、お二人、池田氏との共著で「EV推進の罠」という本を書かれている、加藤康子氏、岡崎五朗氏での鼎談の形で進められているようでした。
正確ではないな。Googleでの検索で得られた情報では、「EV推進の嘘」が書籍化されたのが「EV推進の罠」となっていました。
「EV推進の嘘」のYoutubeは、Googleでの検索では、最近は追加はされていないようです。
雑な説明でごめんなさい。

話が逸れてしまいますが、「EV推進の嘘 10」での補助金についての池田氏の主張に、ほかのお二方は同調したというわけではないようですね。いままで、その点は、意識していませんでした。
加藤氏の「成功した事例もあった」というコメントと、岡崎氏の、「ウーブンシティも補助金は貰っていない」というコメントが記憶に残っています。
三人揃って「補助金は成果が出ない」と言われていたという記憶はありません。
だから、twitterで
>池田直渡さん「そもそもね、失敗するかもしれないところなんか
>に金を出すなってことですよ」
>研究開発をやったことをない文系「当たり籤だけ買ってこい」失
>敗して当然なのに…
というコメントがついたのでしょう。
で、池田氏が激怒されたと。

「EV推進の嘘 10」の冒頭からの話しに戻ります。
見だしてすぐに感じたのは、三人のお友達で話をされているなということでした。当然、緊張感はありません。
ほかの回は知らないのですが、何かテーマを挙げて、話をして行くという感じで進行するらしいことは判りました。
「EV推進の嘘 10」のGoogleの検索結果には、「この動画には3件の重要なシーンがあります」と書かれていて、56秒のところに「今回のテーマは経済安全保証とは何か?」と書かれているのですが、そのことは全く記憶に残っていませんでした。というのも、ぼくが見るのを止めたあとからが、その話題だったからでしょう。
逆に言うと、38分のうちの半分近くは、今回のテーマとは別のお喋りだったということになります。
で、最初の話題が、加藤さんが口火を切られたのかな。「日本電産の永守会長が、EVの価格が1/5になると言っているのが記事になっているけれど、、」というようなものでした。Youtubeで視聴していたときには、1/2というように理解していたのですが、Googleで関係していそうな記事を検索して確認したところでは1/5みたいですね。
まぁ、そんなことは本質ではありません。三人で、「どう考えたって、そんな数字にはならないよね」というようなことをお喋りされていたのでした。まさに井戸端会議です。
みなさんの発言を聞いていた限りでは、永守氏の発言をじかに聞いたということではなく、記事を読んだ上での話しということのようでした。ニュースソースに当たったというような話はなかったと記憶しています。
お三方はモータージャーナリストではないのかしら。ニュースソースに当たるという感覚はないのかしらなどと、苛々しながら、三人のお喋りを聞いていて、「おかしいと思うなら、本人に聞くか、会社に問い合わせればいいだろう」と脳内で突っ込みを入れていたという記憶があります。
mlodinはこの動画を見たあとにGoogleで検索して、永守会長のインタビューで、次のような説明をされているのを見つけました。
>5分の1と言っても、500万円の車が100万円になると言っている
>のではない。今、世界の新車販売台数は8千万~9千万台だが、
>車をほしい人は3億~5億人はいる。そういう人達が買えるよう
>な安い車ができると、全体の平均価格が5分の1になるという
>意味だ
専門家が三人でお喋りをしながら、こういうことに考えが及んでいるように見えなかったことには、呆れるしかありませんでした。
「補助金」ではなく、こちらの方のやりとりがtwitterでコメントされなかったのはどうしてなのかな?とも思っています。
まぁ、コメントがあったとしても、逆切れするのは無理筋だろうと思いますが。
で、このだらだらした話が終わって、「補助金って、、、」と池田氏が話し出したというのが、mlodinの記憶になります。

池田氏が力を入れていた番組だったので、少しは期待していたのですが、残念ながら、「ただただ、無駄に時間を費やした」ということになりました。
「mlodinのポリシーは、間違っていない」ということを確認できたのが、成果になるのでしょうか。

ここまで書くことで、溜まっていたものはだいたい出たようです。
出たことにしたいと思っています。

あと一回は、池田氏の記事の中でmlodinが強い違和感を感じた、「お役所に責任を押しつける」という考え方について、お役所への窓口業務を担当していた経験と、それを踏まえた考え方などをコメントして、この「自明ですか?」の店仕舞いをしたいと考えています。

自明ですか?」の問いかけに池田氏が答えてくれることはなさそうですね。