シーズンデータの比較から考える今季の傾向

今季のレギュラーシーズン180試合を終え、ブレイク期間となった3月。
データの修正をしつつ、昨季との麻雀のデータに差異があったかどうか、Mリーグ成績速報(非公式)的な考察と感想を。

【2020シーズン打ち筋データ(速報値)】

#180個人打ち筋

【2019シーズン打ち筋データ】

【確定】レギュラー個人打ち筋

シーズンデータ比較

ズバリ、この記事のテーマの本質のキーワードは
【今季は親番で笑った者と泣いた者がくっきり分かれた】ということです。

今季のデータで最も注目したポイントは『親番平均収支』の項目。
Mリーグ公式ガイドブックにも掲載しておりますが、このデータは親番で平均どれくらい稼げるかを表している指標です。

データの定義としては
【親番での局による総得失点÷親番局数】であり、得失点には純粋な打点のほか供託、積み棒など局内で発生した点棒の動きを全て計上しております。

今季のリーグ全体で見た親番平均収支は571.67点。これは、全体傾向として親番1回を経験すると500点少々加点できるという正の期待値を表しています(つまり、親番をやればやるほど得点が増えていくので、点数は少ないながら連荘は得であるということが分かります)

昨季との比較をすると昨季は629.48点。今季のデータは昨季比で▲57.87点親番での得点期待値が若干下がったという結果になりました。

親番が加点有利であるというのはゲームの戦略上示されているところですが、麻雀においては子の2倍の失点を被るゲームの性質があるので選手によっては負の値となります。今季親番平均収支がマイナスとなったのは30名中8名。昨季は29名中4名でしたので、親番で加点をする機会を逸した選手が多く出たということになります。
更に数値的な面で見ても昨季のワーストがマイナス693点今季に至ってはマイナス1,444点と、倍以上の選手が出ております。平均が引き下がったとしても、データの分散はかなり大きくなっているので、親番での加点に成功した選手・失敗した選手がくっきり二分になるシーズンとなりました。

このデータをひも解くと、今季圧勝したABEMASの強さが伺える内容にもなっており、ABEMASの3選手(多井選手・白鳥選手・松本選手)は1,000点台をクリア連荘率も選手30名平均の33.10%をクリアしており、着実にチャンスタイムでの加点を成功させたのが如実に成績に現れました。

その最終形態が佐々木寿人選手であり、親番1回の平均収支が2,897点実質2翻の価値を持っております。数字で書かれるとピンとこない方のイメージとして説明しますと、

佐々木寿人選手の親番になった瞬間子の3人が無条件で佐々木寿人選手にリーチ棒一本を差し出し、佐々木寿人選手が連荘したらまた次の局でも有無を言わさずリーチ棒を差し出すゲーム

という狂気の沙汰の無理ゲーを強いられているという状況です。
連荘をする=親番の局数が増える=分母が増える→平均収支が減少するという理論のはずですが、佐々木寿人選手の連荘率も46.90%とんでもなく連荘して連荘の度に対戦相手から根こそぎ点棒を奪うという恐ろしいデータを記録しました。

期待値としては数百点の親番でも、きちんと加点をしないと痛い目を見る。そんな結果がこのデータが示しているのではないかと思います。特に今季はマイナスポイントが8選手も出てしまったことから、親番を活かせた選手・活かせなかった選手、その構造が大きく二分化したと言えそうです。
殊更萩原選手、和久津選手はマイナスが4桁なので、親番で押し過ぎまたは親番での親被り失点が大変に多かったと見て取れます。

結びに

表面上の数値での簡単な感想なので、今後は和了の形態やツモられ失点の分析、親番・子方の和了形態や平均打点、ロン・ツモの比率から更に細かな原因分析ができるものと思われます。引き続き、データ分析と検討を重ねて推察していきたいと思います。