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サブカル大蔵経74畠山理仁『黙殺 報じられない“無頼系独立候補”たちの戦い』(集英社文庫)

 マック赤坂やN国の立花目当てで買って読んだが、その他の人たちの方が凄かった。その方たちと、著者がかなり選挙の本質まであぶり出してくれた。

 東京都知事選も始まる今、読んでおいた方が東京都民以外も楽しめる。

なぜ都構想に反対なのか?有権者のためです。今回、都構想に反対の人は投票する先がないです。二野宮は公共心にあふれる候補者だった。p.91

 有権者優先の姿勢。選択肢という選挙。

あなたも110番する!維新の会は暴力団だ!p.104

 マックの叫び。

マックは橋下の街宣車の下まで来て正対すると、道路に正座して合掌した。p.118

 土下座された橋下徹は。

誰にでもいつか立候補する時がくるかもしれないと考えれば、全国民が「立候補予定者」だと言える。となると、実際の立候補予定者をあらかじめ差別する事は、自分自身をないがしろにすることと同じだ。公正な選挙の結果は真摯に受け止めるべきだが、結果が出る前の段階で差別が生じることに対しては異を唱えたい。p.149

 著者の真骨頂。本書のテーマ。

ミッションを成功させれば職員全員に年俸2千万円を支給、失敗した者年俸− 2千万円にする。また東京都民全員に毎日1時間の独学の勉強を義務づけ、これを怠ると強制的に預金を引き落とすなど財産を募集しますとも書かれていた。中川はにこやかにドンブリ勘定政策を説明した。p.162

 にこやかなどんぶり勘定^_^

攻略は当選してから発表する!なぜと聞き返すと、どうせ当選しないんだから!東京は全国の注目が集まる。とにかく怒りを表したい!酒向英一。p.194

 これ、すごい。

私は幸福実現党が政治活動を始めた2009年から選挙戦を見ているが、だんだんと選挙戦術が洗練されていくのがわかる。p.266

 幸福党は地方議会では当選している。

高橋尚吾は第一声から立花隆志の街宣車を借りてヤドカリ選挙をしていたが、高橋は立花に対してだけでなく選挙中に小池百合子が村に行くと知ったときには、小池のTwitterにリプライを飛ばし一緒に連れて行ってください、と呼びかけたりもした。しかし候補者が別の候補者に直接リプライを飛ばすと言うのも斬新な作戦だった。p.291

 斬新すぎる、ヤドカリ選挙^_^この項での立花はすごくいい人。

ヨシモトさんは、ひょっとして広告代理店の人ですか?まぁそんなところです。広告代理店の営業マンは立候補届書類を取りに来た人たちを見つけると名刺を渡し、選挙ポスターや選挙広報の原稿作成を提案し、営業をする。新聞広告を出してもらうために営業をする。候補者の荷物持ちを買って出る。そして様々なアドバイスをする。p.310

 そういう人がいるんだ。選挙と広告。

こんなやつ(後藤本人の事)が出るより、俺が出てやろう、と有権者に思って欲しかった。後藤のその言葉を聞いて私は反省した。そうした若い世代が6分間誰も声を発しないスタジオで、あえて放送禁止用語だけを連発する政権放送しなければならない。若い世代がこんな奇抜なことをしなければと思うほど世の中は政治に無関心なのだ。p.320

 本書のクライマックスがまさか後藤だとは…。しかし、その思いを汲み取れた人はおそらく畠山さんだけなのではないか?畠山さんがいなかったら、無人列車の運行になっていた。それが選挙の本質か。

刊行されたばかりの「黙殺」を読了した時、私は自分がこれまで何度も目にしてきたはずなのに、実際には何も見てこなかった光景を目の前に突きつけられたような気がした。p.369

 選挙活動を見れるのは一部だけになってしまっている。では、選挙活動とは?

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本を買って読みます。