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サブカル大蔵経554さいとう・たかを/原作戸川猪佐武『大宰相』⑨⑩(講談社文庫)

この一年読み続けてきた漫画『大宰相』(文庫版)が全10巻で完結した。

吉田茂の退陣を一回生の田中角栄が止めるシーンから始まり、いきなり官房長官や大蔵大臣に抜擢される佐藤栄作と池田勇人の関係、鳩山首相擁立を目指すひとりだけ主人公感のあった三木武吉あたりまではスケールも大きかったが、その後、岸を挟んだ三角大福中にはそんなに魅力を感じられなかった。

総理在任中よりも、辞める辞めないの瞬間のみを描いた、稀有な作品だった。

9巻では、突如総理の座に推された鈴木善幸は、地味だったかもしれないが、本作の総理では唯一辞める理由が無いのに自分から退いた描かれ方をしていた。現総務会長の俊一氏もその流れにならないだろうか。

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最終の10巻では、満を持して中曽根内閣の誕生と中川一郎の自殺で、未完のまま終了となっている。中曽根が角栄と同じ歳だったのには驚いた。行革の人・中曽根は、ダンディな推しとして描かれていた。

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また、この両巻で目立っていたのは田中六助、二階堂進、宮沢喜一か。三人とも走り回っていた。全十巻を通して、とにかく半沢直樹のように飛び回り、人を訪ねていくことが〈政治〉として描かれていた。

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鈴木善幸の冗談で笑う桜内、福田、安倍、中曽根、宮沢、渡辺ら。珍しいシーン。(9巻・p.444)

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田中派と河本派の宴会も河本以外は笑顔。(9巻・p.491)

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現官房長官の義父、加藤六月の目に涙!(9巻p.495)

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最後にに森元首相も登場。(10巻・p.402)

さいとう・たかを先生、お疲れ様でした!

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