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【特撮】「だったらお前が書いてみろよ!」、書いてみたらめっちゃ難しかった件


【0】まえがき

みりんと名乗ったりみくすと名乗ったりしているものです。最近出会った方では郁田はるきさんが好きです。綺麗な世界観をしている。

昔から仮面ライダーが好きです。

電王あたりから見始めて、何度か離れながらも視聴しているわけですが、さすがに人が作った作品ですので毎作毎作が神作品!特撮サイコー!と評価出来るわけではなくって。ハマる/ハマらないとか、「ちょっとこの展開はどうなんだ…?」って思うことはしばしばあります。

このようにどうしても手放しに「良い」とは言えないな……って作品があるにはあります。とはいえ私はあんまり界隈の作品評価談義に加わらず、横から眺めているのですが。

界隈の炎上ギリギリの作品評価の言い争いに高みの見物を決め込むみりん氏の図

そういった場合、 たまに以下のような意見が上がります。

「そこまで言うならお前が書けよ」「この脚本家さん以上の作品が書けるのかよ」

そうかそうか。
じゃあつまり、「面白い作品」「見たい作品」を追い求めるならそれなりのことをしろ、ということだな?


・・・




【1】案じてたよりも産むは難かった


創作。
それは無から自分の見たいものを自由に描く極限の娯楽です。
対価として時間が無限に溶けることを除けば最高の趣味のひとつでしょう。

さて、今回のテーマは「特撮作品の脚本」。
要はヒーローがかっこよく活躍するシナリオを1年分、50弱のエピソードで制作するのがゴールに

なる、と思うか?甘い。


比較対象が現行の作品なら各配信サービス等のスピンオフ作品や応募者全員サービスの作品、冬と夏の劇場版、Vシネマ、その他諸々を、

玩 具 販 促 を 完 璧 に 成 し 遂 げ た 上 で

書き上げる必要があります。


無理だよ!!!普通に考えて素人には!!!!無理だって!!!!

冬優子からもなんとか言ってくれよ!


そう言わずに助けてくれ!
ふ、冬優子……ごめん……3月頭の大阪、現地行くからよろしくね


ということで、冬優子の助力は得られません。
自分で頑張って書く必要があります。

では作品を書くまでに、何が必要でしょうか。まずはここから考えてみましょう。

(1)作品全体のモチーフやテーマ

(2)それに沿った、バリエーション豊かかつ過去作に見劣りしない斬新なアイテムや武器

(3)上記を最大限に活かせるようなキャラクター、シナリオといった物語の大枠


といったところを用意する必要がありそうですね。
では、実際これどうするんだろう。

実際はそれぞれの制作は分業されるのでしょうが、逆に言えばそれは「お互いが想定した通りのそれがお出しされない」可能性もある、ということでしょう。

「え、このテーマで戦闘武器をデザインしろっていうんですか!」という要求とか。

「え!この題材で仮面ライダーをやるんですか!」という無茶寄りなテーマをノルマにされることさえあるということだよな、それって。
どう擦り合わせてるんだろう。気になるな。「ゴースト」のアイテム制作の現場とか特に気になる。

なんだよコンドルデンワー(ダイヤル式電話型のアイテム。鳥に変形するし、その上メイン武器と合体して弓モードになる)って。そんなアイデアどうやって出てくるんだよ。



また、放送時間を考えてみれば。

日曜日の朝ですよ。

お父さんやお母さんと一緒にお子様が楽しんで見られるよう、血みどろの残虐描写やエッチな要素を省いた、あるいはぼかしにぼかしたニチアサコンプライアンスを死守する必要がありますね。

さらには、現実には「納期」があります。放送スケジュールに穴開ける訳には行かないじゃないですか。
いくら制約に雁字搦めで難しいからといって悩んで遅れたらダメです。ある程度の筆の速さも要求されます。

さらには演出、スケジュール、ロケ地、予算、CG、役者都合、etcetc!!!

それを1エピソード24分の尺に納めてください。

様々な制約を受けるシナリオライターの図

では、面白く書いてみろ。



むずいよぉ………
遊び半分で書き始めた私は素人なりに要素を整理し、脚本家さんの気持ちを素人なりに想像するなり心の中でこう叫びました。

「リバイス」の中盤以降のことメタクソに言って本当に申し訳ありませんでした。制約だらけの中、特撮作品を1年分も書き上げて完結させてるだけで常人外れしてます。すごいです。



【2】では実際に書いてみよう


とりあえず、今回は趣味の創作だ。
テーマや大枠はぼくの「好き」な要素を詰め込んだ作品にしてみよう。


……「仮面ライダー」と「アイドルマスター」って融合させるとどうなるんだろう?

じゃあ……「この少女、ライダーでアイドル!」とかどうだろう。同じく人の笑顔のために活躍する存在でも、正体を隠して戦うヒーローと目立ってナンボのアイドル、そんなふたつの要素の対比からお話を広げてぇ……先輩アイドル/ライダーとのすれ違いや衝突を経て絆が芽生えてぇ………w
主人公は……思い切って女性主人公、JKで!wさぁまずは設定から考えてみよう!

うおおおおアイテムのアイデア出てこねー!!!!!誰だよアイドルなんてテーマにした奴!!!!!表出やがれぶん殴るぞこの野郎!!!!

アイドルっぽさがあってかつ遊んで楽しいライダーの武器ってんだよ!!!!!マイクでも振るのかよ!!!!!マイクじゃ届かねーんだよリーチがよぉ!!!!!じゃあスタンドマイク棍棒かぁ!???!?!!てめえ玩具安全基準って知ってっかァ!!!!!

お前がアイデアに挙げてるその剣、面白ぇな!!!!プレイバリューが低すぎて買ってもらった子供に10分でおもちゃ箱にしまわれそうな剣なんて見たことねぇぜ!!!半年後にはド○キで980円だな!!!!!

お前軽々しく「個別認識による多様な音声で遊びを広げて…」って言うけどさすがにほぼ全アイテムにそれ搭載するのは無茶じゃねーか?

あ!このベルトの機構、ゲーマドライバーでやったところだ!出直せ!

そもそも「なんでライダーとアイドルを兼任する必要があるの?」ってとこから意味不明だよ!!!理由頑張って考えないといけねーじゃん!!!!警察は何してんだよ!!!!

シンプルに設定がつまらん!!!!!どっかで見たよそれ!!!!!敵キャラがどう見てもドライブのハートとかゼロワンの滅とかの寄せ集め!!!!好みが透けてる!!!!!!

最近お前ミリオンライブを劇場で見たんだってな。お前の作品、どう見ても主人公が春日未来、2号ライダーが最上静香じゃねーか?影響されやすいタイプか?

みらしずの尊いFAを自薦他薦問わず無限に募集しております。


ということで、ミリオンライブを始めました。少し前のスクショですがプロフです


というか何と戦うヒーローなの?これ。
嫌だよ?私。「推しの子」をベースに芸能界のネチネチを100倍にしたようなニチアサ特撮なんて。気持ちよく怪人ぶっ飛ばさせてくれ。



この通り、難航&難航。まず設定は定まらず、アイテム案も全然固まらないし、1話書いては納得いかずに書き直し。


でもまぁ。
こうやって試行錯誤するの、なんか楽しいな。ということで、現在も鋭意制作中です。すっごく楽しい。


【3】なんか、やってよかったなって思う


はい。まとめます。

「作品を生み出す」ことは、特に特撮作品のそれは、とてもとても大変なことだと肌で感じました。

軽々しく「このシナリオ、そうじゃなくて○○すればよかったんじゃないの?」とかもうあんまり言えませんねこれ。

脚本家はじめスタッフの皆様へのリスペクトが一層増しました。制約と販促を乗り越え、納期や予算と戦い、そして私たちの元へと届けることがどれほど難しいことなのか。面白い玩具、かっこいいヒーローを生み出すことがどれだけの才の上に成り立っているのか。それを身をもって学ぶこととなりました。

おかげで、特撮だけでなく創作作品の一話一話をより大切に、深く見られるようになりました。

どんな作品にも、人気の多寡はあれ作り手の努力が詰まってるんですね。感服致しました。


もう批判はしない……とは言わないけど。私にも「あの……これはちょっと……」って言いたくなるポイントは最近見た作品にもちょくちょくある。それ言う自由はさすがに保証してくれ。

ほんの軽く触る程度であっても「自分で行う」経験をしたことは、実際に仕事として行っているプロの方々へのリスペクト、尊敬を深めるきっかけになる。それは創作の世界のみならず、もっと様々なところで行われているのでしょう。何事も、経験に勝るものはありませんね。

ということで、創作体験記でした。
創作って普通に楽しかったです。
自分の描写力不足に悶えることはあっても、見たいもの、やりたいものがどんどん形になって生まれて、自分の掌の端末の中にひとつの世界が生まれるような感覚はなかなか味わえませんね。
しかもこれ、「投稿するのはえらい」とかよく言われますけど、よくよく考えたらそんな必要ないんです。ひとりで始めて自分で読んで満足したらよし、そんな気軽にやれてしまうのも良いところですね。

せっかくなので、この体験のために制作したオリジナルの仮面ライダーの設定やシナリオは、自分が満足するまで書いてみたいと思います。出版やら持ち込みやらするわけじゃないけどね。
もしもこの「仮面ライダーイデアル」を完結まで書き上げることができたら、その時は……こう、二次創作的な作品も投稿してよさそうなところを探して放流してみたいですね。それになんだか主人公の満ちゃんに愛着湧いちゃって放置できない。彼女がいつか真の理想にたどり着くまでの物語を書かなければならない(使命感)。

おにいさんは心の中の炭治郎にこう叫ばれているけれど、みんなはこんなふうにならずに、きがるにものがたりをかこうね!


以上、創作って楽しいね!でした。
あと脚本家始め特撮スタッフの皆さん、まじリスペクトです。いつも面白く楽しい作品をありがとうございます、応援しています。

終わりだよ!帰れー!かえれー!!!

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