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IT人材、デジタル人材、DX人材の違いは?

経済産業省のDXレポートに始まり、デジタルトランスフォーメーションのバズワード化に合わせて、「IT人材」「デジタル人材」「DX人材」といった言葉が多く聞かれるようになった。

どの人材もデジタルトランスフォーメーション推進に欠かせない人材といわれているが、この3つの違いは何なのだろう?という疑問が浮かんだので、調べてみることにした。

① IT人材の定義

経済産業省「IT人材需給に関する調査」によると、IT人材は、IT企業及びユーザ企業情報システム部門に所属する人材と定義されている。

このうち、保守・運用サービスを担う人材は「従来型IT人材」、AI、IoT、ビッグデータなどを活用できる人材は「先進型IT人材」と呼ばれる。

デジタルトランスフォーメーション推進においては後者の先進型IT人材が不足しているため、重視される傾向にある。

先進型IT人材は後述の「デジタル人材」に含まれる。

② デジタル人材の定義

NTTデータ「デジタル人材定着に向けたアンケート調査」によると、デジタル人材は、一般的なDXに関連する先端技術、サービス・プロダクト、手法・方法論のいずれか1つにおいて、社内もしくは社外から認められている人材と定義されている。

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© NTT DATA INSTITUTE OF MANAGEMENT CONSULTING, Inc.

デジタル人材は、企業のDXの推進において、デジタルテクノロジーの知見と経験を持った必要不可欠な人材である。

③ DX人材の定義

DX人材はその名の通り、DXを推進する人材である。

IPA(独立行政法人情報処理推進機構)「DX推進に向けた企業とIT人材の実態調査」によると、DX人材のなかには、データサイエンティスト・AIエンジニアなどのデジタル人材だけでなく、ビジネス遂行部門に所属している先端IT非従事者も含まれる。ここには、DX実現を主導するプロデューサー、DXの企画・立案・推進を担うビジネスデザイナーなどが該当し、必ずしも先端ITのスペシャリストである必要はない。

これが示す事実として、DX人材は「進化したデジタル技術を浸透させることで、人々の生活をより良いものへと変革する」というDXへのスタンスおよびマインドセットを主とし、それを遂行するためにITリテラシーもしくはデジタルスキルが必要となる、という主従関係であることがわかる。

極端な例を挙げれば、一流のAIエンジニアであっても、DX推進に向けたマインドセットが備わっていなければ、それはデジタル人材であり、DX人材ではないといえるだろう。

実際に、IPA「DXに対応する人材のあり方研究会」第5回資料では、DX人材について「スキルセットとマインドセットの両方を組み合わせて考える必要がある」と言及されている。

以上を踏まえて、「IT人材」「デジタル人材」「DX人材」をベン図でざっくり表すと、以下のようになるのではないかと思う。

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© 2020 Monstar Lab

DX推進においては、どの人材が必要かをクリアにしつつ、充足・育成していくことが必要になると考えられる。

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