この汚れには「重曹」と「クエン酸」どっちを使う?
洗剤(ナチュラル重曹・クエン酸・セスキ・アルカリ電解水)の違いと使い分け
年末が近づき、そろそろ大掃除の季節ですね。
そこで多用したいのが、人と環境に優しく「ナチュラル洗剤」と言われる
①重曹 ②クエン酸 ③セスキ炭酸ソーダ ④アルカリ電解水 です。
100均やドラッグストアに並び、テレビ番組でもよく取り上げられますが、「どの汚れにどれがいいんだっけ?」となりがちで、使い分けが難しいですよね。
今月は、それぞれの特徴や使い分けなどを紹介します。
汚れの性質に合わせて使い分けて、家のお掃除に役立ててください。
重曹・クエン酸・セスキ・アルカリ電解水の違い
洗剤には、酸性⇔アルカリ性までpH値によってどんな汚れに効果があるのかが違います。
まずは4つのナチュラル洗剤である、重曹・クエン酸・セスキ炭酸ソーダ・アルカリ電解水のそれぞれのpH値をまとめた比較表をご覧ください。
水はpH値が7と中性になり、食器用洗剤(中性洗剤)もここに入ります。
重曹やセスキ炭酸ソーダは弱アルカリ性で優しい洗浄力となっており、アルカリ電解水は強アルカリ性で強い洗浄力を持っています。
反対にクエン酸は酸性で、重曹やセスキ炭酸ソーダ、アルカリ電解水とは違った性質であることが分かります。
「クエン酸」は酸性/pH2程度
【得意な汚れ】水垢・尿石・アンモニア臭・タバコのニ
オイ・石けんカス・消臭・殺菌
【使い方】クエン酸ペースト・クエン酸水
「重曹」は弱アルカリ性/pH8程度
【得意な汚れ】油汚れ・皮脂汚れ・汗じみなどたんぱ
く汚れ・フライパンや鍋の焦げ落とし・消臭・除湿
【使い方】粉のまま・重曹ペースト・重曹水
「セスキ炭酸ソーダ」は弱アルカリ性/pH9程度
【得意な汚れ】油汚れ・皮脂汚れ・消臭・血液を含む
たんぱく汚れ(重曹より汚れ落ち効果が高い)
【使い方】セスキ炭酸ソーダ水・洗濯は粉のまま
「アルカリ電解水」は強アルカリ性/pH12~13程度
【得意な汚れ】油汚れ・皮脂汚れ・汗じみや血液など
たんぱく汚れ・食べこぼしのシミ抜き・除菌・ヤニ落と
し(重曹やセスキ炭酸ソーダより効果が高い)
【使い方】スプレータイプなのでそのまま使用
「クエン酸」の特徴
クエン酸は果物や梅干しに含まれる酸味の部分で、お酢などと同じ部類ですが掃除に使うとどうしてもお酢のニオイが部屋に充満してしまうのが難点ですよね。
その点クエン酸は、揮発性がないので使用時にツンとしたニオイがないのが特徴です。
揮発性がないので蒸発してもクエン酸の成分がそのまま残り、雑菌の繁殖を防いだりアルカリ汚れを予防する効果が期待できます。
ただし、成分が残ることで傷む可能性がある材質は、しっかり水で流したり、重曹水などを使って中和させる必要があります。
クエン酸は、酸性のパワーでカルシウムを溶かす性質を持っているため、水垢や尿石を落とすのに効果的。
あまり知られていませんが、まな板や三角コーナー、カーテンやクッション、トイレの消臭にもgood◎
クエン酸スプレーとしてだけでなく、粉のままクレンザー代わりとして頑固な水垢落としにも使うことができますよ。
「重曹」の特徴
重曹は別名『炭酸ソーダナトリウム』といって、料理の際にベーキングパウダーとして使ったり、胃薬の成分として使われたりしています。
アルカリ性なので酸性の油汚れや焦げに強い洗剤です。
pH値は8程度の弱アルカリ性で手荒れの心配がほとんどありません。
食品にも添加されるとあって安全安心に使えると、小さいお子さんやペット、高齢者がいるご家庭などで人気のナチュラル洗剤となっています。
人気の理由はほかにもあり、重曹は粉のまま、ペーストとして、重曹水として、加熱して使うなど、あらゆる形状で汚れに合った使い方ができるので使い勝手が良いです。
粉を溶かして使うことが多いのでコストパフォーマンスが高く、お財布にもうれしいですよね。
消臭や吸湿効果もあるので家中さまざまなところで大活躍してくれます。
「セスキ炭酸ソーダ」の特徴
セスキ炭酸ソーダはセスキ炭酸ナトリウムとも呼ばれており、入浴剤などに配合されています。
重曹と同様に人と環境にやさしいナチュラル洗剤として知られており、重曹よりもサラサラとした結晶状の粉で水に溶けやすい性質を持っており、洗濯にも使用することができます。
アルカリ性なので酸性の油汚れだけでなく、血液といったたんぱく質汚れにも効果的です。
pHは9程度で重曹よりもややアルカリ度が高いのですが、重曹と同様に手荒れの心配もほとんどありません。
ただ、重曹と違って研磨効果はないので、使い方が水に溶かして使うのみに限られてしまいます。
ですが、重曹と同様にセスキ炭酸ソーダも水に溶かして使うので経済的です。
「アルカリ電解水」の特徴
アルカリ電解水は、水に電気を流してマイナス(アルカリ)の部分だけを取り出した100%水からできている洗浄水です。pHは12~13ほどと強アルカリ性を示し、使用中は顔や肌に触れないよう注意が必要ですが、乾くと水になるため安心です。
100%水から作られているので掃除後に洗剤が残ることはありません。
アルカリ度が12以上になると除菌できるので、アルカリ電解水を使えば掃除と同時に除菌効果が得られます。
アルカリ電解水はスプレーボトルで販売されているので、水に溶かして使うことが多い重曹やセスキ炭酸ソーダと比べるとコストパフォーマンスが悪いといえるでしょう。
ですが、重曹などのように溶かす手間も2度拭きする必要もなく、スプレーするだけで油汚れなどがスッキリ落ちるので、浸け置き以外の掃除にはアルカリ電解水がおすすめです。
4つのナチュラル洗剤の使い分け
「クエン酸」は水垢、尿石落としに
クエン酸は、ほかの洗剤と違って酸性の洗剤です。重曹・セスキ・アルカリ電解水で落とせない汚れの場合、酸性のクエン酸で落としてみましょう。主に、水垢・尿石落としに効果があり、リビング・トイレなどの消臭除菌効果も期待できます。
水垢や尿石落としに 水200mlに小さじ1杯のクエン酸を溶かしてクエン酸水を作りましょう。スプレーボトルに入れておくと便利です。お風呂の鏡や蛇口周りなど水垢が気になるところや、トイレの尿石にスプレーし、キッチンペーパーやラップ、尿石ならトイレットペーパーを貼り付けてパックしましょう。2時間ほど置いたらスポンジなどでこすり落とします。
頑固な水垢や尿石の場合、1度では落ちにくいので何度か回数を重ねて落としましょう。
消臭・除菌 なかなか洗うことができないカーテンやソファー・クッション、ペット用品などの消臭にもクエン酸水は効果的。スプレーしたら、固く絞った布などで拭き取ると、消臭と同時に除菌もできます。
粉のまま使う 頑固な水垢や尿石には粉のまま使ってクレンザーのようにこすり落としていきましょう。
また、重曹と合わせることで排水口に詰まったドロドロの石けんカスも落とせます。
重曹を排水口に振りかけたら、だいたい重曹の半量のクエン酸を振りかけていきます。
ぬるま湯をカップ1杯ほどかけると炭酸ガスが発生するので、発泡パワーで石けんカスが落ちてきます。
放置時間は長くても30分。あとは水でしっかりと流して完了です。
「重曹」は油汚れ、焦げ落としに
重曹は、粉のまま・重曹ペースト・重曹水スプレーとしての使い方があり、キッチン周りの油汚れ・皮脂汚れ・頑固な油汚れや焦げ付き・消臭効果や除湿効果が期待できます。
粉のまま使う 粉の状態の重曹を使うときは、容器に入れて靴箱などに入れておくと消臭や除湿効果が期待できます。
また、油を吸着する作用もあるので、換気扇フィルターに振りかけて油を吸着させてから、歯ブラシなどでこすり落とす方法もあります。
重曹ペースト 粉状やペースト状の重曹は研磨作用があるので、こびり付いた焦げなどの汚れをこすり落とすことも可能です。
重曹ペーストは重曹と水を3:1の割合で作ることができます。
漂白剤と混ぜると 重曹と酸素系漂白剤を混ぜて使うと、襟の皮脂汚れ・汗じみを落とすことができます。粉状の酸素系漂白剤の場合は、60℃程度のお湯と混ぜてペースト状にしましょう。
しっかりすすいで乾燥させましょう。黄ばみが落ちるまで洗剤塗布→すすぎ→乾燥を繰り返してください。
黄ばみが取れたのを確認できたら、洗濯機に入れて通常通り洗濯しましょう。
重曹水 重曹水は、水200mlに小さじ2杯の重曹を溶かして作ります。電子レンジの掃除では、水500mlに重曹小さじ1杯で作った重曹水をレンジにかけて重曹が混ざった蒸気を庫内に行き渡らせます。
冷めたら布などで浮き上がった油汚れを拭き取って水拭きし、乾燥させたらキレイになります。スプレーボトルに入れればキッチン全体の油汚れだけでなく、フローリングの食べこぼしやお風呂の皮脂汚れもスプレーして拭き取れば、たいていの汚れは落とすことが可能です。また、ゴミ箱にスプレーすれば、生ごみ臭を消臭することができます。
重曹水を加熱するとアルカリ度が増す
鍋やフライパンの焦げ付きは重曹水を加熱したもので簡単に落とすことができます。水3Lに重曹大さじ3杯ほど入れてから火にかけます。
60℃以上になると重曹水のpHが強アルカリ性になるので、焦げの部分をつけて冷めるまでそのまま置きましょう。冷めたら軽くこするだけで焦げを落とすことができるので、キレイになったら水でしっかりすすいでください。換気扇や五徳、魚焼きグリルなど油汚れがひどいものも、加熱した重曹水に浸け置きするだけで簡単に油汚れを落とすことができます。
「セスキ炭酸」ソーダは手垢や血液などたんぱく汚れに
セスキ炭酸ソーダは主にセスキ炭酸ソーダ水スプレーとして使います。洗濯の場合は粉のまま使用しましょう。
セスキ炭酸ソーダ水 水500mlにセスキ炭酸ソーダを小さじ1杯入れて、基本のセスキ炭酸ソーダ水を作りましょう。
汚れが落ちないときは濃度を上げて作ると良いです。
キッチン・お風呂・トイレ・フローリングなど、油汚れや皮脂汚れ、食べこぼしが気になるところにセスキ炭酸ソーダ水をスプレーし、数分置いてから布などで拭き取りましょう。
消臭剤代わりに 重曹と同じようにセスキ炭酸ソーダ水にも消臭効果が期待できます。
生ごみ臭やソファーやクッション、洗濯かごの消臭に便利です。
直接肌が触れるソファーやクッションに使用した場合は、最後に乾拭きして水分を拭き取っておきましょう。
セスキ炭酸ソーダの加熱 キッチンの五徳・換気扇フィルターなどの部品・ステンレス製の小物など・カトラリーは、セスキ炭酸ソーダ水を加熱したものを使えば、しつこい油汚れなどを落とすことができます。
セスキ炭酸ソーダ水を60℃以上になるまで加熱、またはぬるま湯にセスキ炭酸ソーダを溶かしましょう。
お湯3Lに対してセスキ炭酸ソーダを大さじ1杯入れましょう。冷めるまで浸け置きし、スポンジで磨けばキレイに汚れが落ちるはずです。ステンレス製品やカトラリーのくもりもキレイに取れてピカピカに蘇ります。
粉末のセスキ炭酸ソーダ 血液が衣類などに付いてしまうとなかなか落ちないのですが、すぐにセスキ炭酸ソーダを使えば簡単に落とすことができます。ぬるま湯を使ってセスキ炭酸ソーダを粉のまま少量ずつ振りかけて揉み洗いしましょう。
血液が取れたらすすいで、あとは通常通り洗濯機に入れて洗濯するだけでOKです。
「アルカリ電解水」は油、皮脂汚れと除菌に
アルカリ電解水はスプレータイプなのでそのまま使いましょう。除菌効果も期待できるので、家中あらゆるところを掃除しながら除菌することができます。
油汚れや皮脂汚れ キッチンのあらゆる油汚れや、ドアノブや照明のスイッチ、窓ガラスに付いた皮脂汚れ、リビングのテーブルやフローリングの掃除についでに除菌もできます。
汚れ具合によっても変わりますが、スプレーして30秒~5分ほど置いてから拭き取りましょう。
茶渋落としに アルカリ電解水をスプレーしてラップで覆ってパックすると、茶渋も簡単にこするだけで落とせます。
消臭・除菌に アルカリ電解水も重曹やセスキ炭酸ソーダと同じように消臭効果があるので、ゴミ箱や洗濯かご、魚焼きグリルなどニオイが気になるところにスプレーしておきましょう。
衣類の食べこぼし うっかり衣類に食べこぼしてしまったら、すぐに当て布をしアルカリ電解水をスプレーして叩いていくと、簡単にシミを落とすことができます。
ナチュラル洗剤を使うときに気をつけたいこと
重曹・クエン酸・セスキ炭酸ソーダ・アルカリ電解水は、人や環境にやさしく使える洗剤ですが、使用時には注意しなければならない点があります。変質や変色の原因になるなど使えない素材もあるので、しっかり頭に入れておきましょう。
アルカリ性洗剤は物の材質に注意
重曹・セスキ炭酸ソーダ・アルカリ電解水は「アルカリ性」の洗剤です。以下のものには使えないので注意しましょう。
漆器 銅/アルミ/真鍮製品/金箔 ニスが塗られた家具/コーティング加工がされたもの
テレビの画面/パソコンの液晶モニター メガネ 皮革類/シルク製品 宝石類/貴金属 車の塗装面
クエン酸は塩素系漂白剤と混ぜない
「酸性」の性質を持つクエン酸は、塩素系漂白剤と同時に使うことができません。
一緒に使うと有毒ガスが発生して大変危険なので注意しましょう。
もし、排水口などの掃除でどちらかを先に使用した場合は、日を改めるか、よく水を流してから使用するようにしましょう。
クエン酸が使えない以下の素材にも注意してください。
大理石などの石材 コンクリート 鉄など錆びやすい金属
重曹・セスキ炭酸ソーダ・アルカリ電解水はアルカリ性で、順に汚れ落ち効果が高まっていきます。
クエン酸だけが酸性なので、水垢や尿石落とし、アンモニア臭やタバコ臭、リビングの消臭に効果的です。
重曹・クエン酸・セスキ炭酸ソーダ・アルカリ電解水を持っておくと、家中の掃除や除菌ができます。
あなたもぜひ活用して、エコなナチュラルクリーニングをはじめてみましょう。
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