見出し画像

大学の新入生に「勉強に関してやるべきことはありますか」と訊かれたら

先日、私の Twitter のダイレクトメッセージに突然次のような質問が届きました。

画像1

このメッセージをひと目見て、最初に思ったことはこれでした。

なぜこの人は私にその質問をしてきたのだろうか。

そして(ちょっと厳しい物言いかもしれませんが)すぐに私はこう答えようかと思いました。

1. あなたの質問が抽象的すぎてよくわからないので、もっと具体的な質問をしてください。
2. この質問が具体的にできないなら、大学に来るのを辞めておいた方がいいです。

要は「もっと自分でよく考えてください」と返したいわけですが、これだけ返すのもちょっと不躾かと思ったので、一旦それは留まり、このような返事を返そうと思った背景についてここに記述することにします。

質問の意図はなんだろうか

今年総合理系で入学しました。学校始まる前に勉強に関してやるべきことはありますか?

この質問に対して私が本当に思ったこと(邪推)は、正直に言えば「コイツ適当に質問してるな」でした。

当然ながら、私はこの質問者がどんな背景を持った人なのか全く知りません(ツイートを辿ると、どうやら欅坂グループのアイドルが好きらしいというのはわかったが……)。もし「惑星科学に興味がある」「気象学に興味がある」「火星気象に興味ある」ということであれば、何か本でも紹介したり、勉強しておくとよいことをアドバイスすることもできたでしょう。ところがそういうわけではなさそうです。

画像3

「総合理系」とあるので北大の総合入試制度(学部 2 年生への進級時に学部学科を決められる制度)の学生として、どんな学部・学科があるのでしょうか、という質問だったら、「理学部地球惑星科学科は……」と答えられたでしょうが、それもはっきりしません。

つまるところ「勉強に関してやるべきことはありますか?」という質問は相当に抽象的で、あまりにも回答者任せな質問だと思ったので「適当に質問してるな」という感想を抱かざるを得ませんでした。

もしかしたら彼は、メッセージのやり取りを繰り返すことで、質問を掘り下げてもらうことを暗に期待していたのかもしれません。そうだとしてもいきなり「失礼します」の一言で始めるその姿勢はちょっと甘え過ぎなのではないかな、と私は思いました。

大学は勉強を教えてもらう場ではない

画像2

私の考え方ですが、大学は勉強をただ教えてもらう場ではありません。もちろん教えてもらうことも多いのですが、それ以上に何を学ぶのか、なぜ学ぶのかということも含めて考えることが許されている場が大学という場所だと私は思っています。

もちろん「何を学ぶのか」というのをある程度考えた上での質問は歓迎できるでしょう。しかしそれもないまま「勉強は何をしたらよいですか」と聞かれても、「知らんがな、自分で考えろ」としか答えようがないです。

ただこのような質問を彼(彼女)がしたことをあまり責めることはできない気持ちもあります。昨今の大卒至上主義の中で、ほとんど皆が高校に進学するように、あまり深く考えずにとりあえず大学に進学するという人も多くなっていることでしょう(質問者のプロフィールに「自称進学校」とあることからも少し窺える気がする)。すなわちそのような状況において「大学で何を学ぶのか」ということをきちんと向き合うことが少ないまま、とりあえず進学している、という人が多いのではないでしょうか。

画像4

そのような環境におかれた結果、今回のように「勉強に関してやるべきことはありますか」という漠然とした質問しかできないというのは致し方ないところもあると考えます。しかしせっかく大学にきたのだから、そういったことに向き合えるようになってほしいと思うところです。

もしもこの質問者が上記のように自分で考えることにほとんど関心がなく、自分の質問が具体的でないことを疑問視できないようであれば、正直いって大学にいるべきではないし、いる意味もないと思っています。いい成績で単位を取ろうとするのに頑張るぐらいだったら、とっとと就活でもしたほうがよいです。

以上が、一言で言えば「もっと自分で考えてください」と答えようとしたことの背景になります。全然質問に対する答えになっていませんが、何かものことを考えるきっかけになりましたら幸いです。あなたの大学生活が新しい発見に満ち溢れることを願っております。

最後に

私は性格上、文章がうまくまとめられず、不足なく書こうとするために、やたらと長文を書きがちです。今回も彼(彼女)に返事するのが長くなりそうだったので、一つの記事という形でまとめさせていただきました。質問者さん、話の出汁にしてごめんなさい。

ご寄進ください。念を送ります。