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はし子がうちにやってきた

買い物途中で、私は彼女と出会った。
彼女は、「はしもとさん」という名札をつけて、ハリネズミのはりやまさんや、ペンギンのぎんじまさんと共に、並んでいた。

私は、思わずはしもとさんを抱き上げた。

なんという心地よさ。
一度抱いてしまうと、もう手放したくなる気持ちよさと安心感。

彼女のタグには、3069円という値札シールが貼られていた。

身長48センチ(足を曲げた状態)、胴囲100センチの体格で、この触り心地の良さを考えると、破格だ。

しかしこの日は、父と友人の誕生日プレゼントを買いに来たのだ。

そんな自分のものなど…

棚にはしもとさんを置いて、振り返りつつお店を後にした。

ああ、はしもとさんを抱いていたら、
なんて幸せな気持ちになれたんだろう。
はしもとさんをずっと抱いていたい。
抱いているだけで、癒される。

買い物の最後の方で、もう一度はしもとさんの元へ。

でも、無駄遣い、ダメ!
私は心を鬼にして、はしもとさんに背を向ける。

そんな私をみかねて、娘が言った。
私が1,000円出してやるよ。

うっ…
2,000円で、はしもとさんが、私だけのものになるのか…

それに…
朝、アナミルさんが、毎朝占いで…

なんて言ってた。
買っていいのかな?って迷ったけど、
心がワクワク動いたんです!
この子を手放したくないって思ったんです!

えいやっ

私は、はしもとさんを抱き上げて、レジに向かった。

こうしてはしもとさんは、私のもとにやってきた。

エコバッグに当然入らないはしもとさんを、その後ずっと抱いて、残りの買い物をして駐車場へ向かう。

もう顔は緩みっぱなし。
娘がそんな私を、面白いものを見るように見て笑う。
お母さん、可愛い
などと言ってくる。
おいおい…

はしもとさんは、いつのまにか
「はし子」という名前になっていた。
(自然に、そう呼んでいた)

はし子、お家に帰りましょうね…
はし子は、フン
という顔をして、知らん顔。
それがまた、たまらん。

この、ツンデレめ!

考えてみたら私、自分のためにぬいぐるみを買ったことなんて、なかった。

でも、なんかとっても嬉しい。
心が踊る。

いつか、このはし子を主人公にして、お話書きましょうね♪

さあ、今晩は一緒に寝ましょう!

心なしか、はし子が嬉しそうに見えるのは、気のせい?

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