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春の少女 3

明日から春休み。

春休みは、ハルカと会えないのかな?
そんなの嫌だな

そう思ったので、ショウタは
ハルカちゃん、春休みも一緒に遊ぼう。
と言うと、
ハルカは、にっこり笑って
うん!
と言いました。

ハルカちゃんのおうちってどこ?
あっち!

え? あっちってどこ

あっち!

今度は違う方向を指さします。
聞くたびに違う方向をを指すハルカに、
ショウタは、おうちの場所教えなくないんだな、
と思った。

そういえば放課後、ハルカはいつの間にか帰ってしまっていて、気がつくといない。
朝も気がつくと教室にいる。
登下校の時に会った事がない。
どこに住んでいるのかなあ…

ショウタは、ハルカに、
初めてあった公園で会おう!
と約束した。

春休み初日、朝10時頃公園に行ってみた。
でも、ハルカは来ていない。
午後からかな?

午後1時過ぎに行ってみたけど、
ハルカは来ていない。

今日は用事があったのかな?

しかし、翌日も、その翌日も
ハルカは来なかった。

ショウタは、もういくのやめようかな?
と思いながらも、毎日足は公園に向かっていた。

4月1日
夕方ショウタが帰ろうとした頃、
公園の入り口に立つハルカを見つけた。

ショウタはハルカのところに走っていった。
ハルカちゃん、
こんな時間にどうしたの?

来れなくてごめん
ママが、外で遊んだら行けないって…

ショウタは驚いた。

外で遊んじゃいけないなんて!

どうして外で遊んじゃダメなの?
ハルカは、俯いたまま、答えなかった。

それでも、それをショウタに伝えようと、こんな時間に来てくれたんだ。

ショウタは、それ以上聞いたらいけない気がして、ちょっとだけなら、遊べる?
と聞いた。

ちょっとだけ…

遊ぶと言っても、なんとなく二人でおしゃべりしただけだった。

初めてあった時に、ここで何してたの?

梅の花が咲いていたから見に来たの。

僕もだよ。
この木はね…

ショウタは、お母さんと最後にあった時の話をした。

するとハルカは

木はね、目の前であったことを、みんな覚えているのよ。
ずっとずっと忘れないの。

だから、私とショウタくんが初めてあった日のことも、ちゃんと覚えている。

だから、忘れそうになったら、教えてもらうのよ、こうやって…

そしてハルカは梅の木に両手で触り、おでこをコツンと木に当てた。

それから、
ショウタくんもしてみたら?
と言うので、
ショウタも同じように両手で木に触れて、おでこをコツンと当て、目を閉じた。

目の前に、まだ幼いショウタとお母さんの姿があった。
ショウタを抱きしめたお母さんは、
「これからもずっとずっと愛してるよ」
と言った。

そういえば、お母さんは最後にそう言ったんだ。
ショウタは、寂しさと同時に、ちょっと心が温まるようだった。

その時、
ハルカ〜
と呼ぶ声がした。

ハルカのお母さんが、こちらに走ってくる。
そしてハルカを抱きしめて

よかった…心配したじゃない、
お願いだから黙って出て行かないで!
と言った。
本当に心配していたようだった。

あなた、ショウタ君ね。
いつもハルカに優しくしてくれてありがとうね。
ごめんね、
ハルカは外で遊べないの

ハルカのお母さんは、そういうと、
さあ、早く家に帰らないと…
と、ハルカの手を引いて、帰っていった、

僕は、じゃあね、バイバイ
と手を振った。
ハルカは何度も何度も振り向きながら、お母さんに手を引かれて帰っていった。

つづく

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