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一番古い記憶

まと。さんの記事を読んで、私の一番古い記憶ってなんだろう、と考えてみました。

私の一番古い記憶は、2歳の時。
曽祖母のお葬式?又はそれ前後の頃。

仏壇のあるお部屋で、曽祖母が布団に寝ていて、父母や叔父叔母達が、それを取り囲むように座っていた。
それ以前、曽祖母が一番奥の部屋の隅で座っていたような微かな記憶。
そしてそのお婆さんが、今布団に寝ている。
あれ? なんだかへん。

その頃の私には「死」なんてものはわからない。
でも、ただならぬ雰囲気は感じていたようだ。

実はこの時の話を、大きくなってから母に聞いたことがある。
その頃私は、ひ孫の中で一番小さかった。
年上のいとこ達が、バタバタ追いかけっこをして、寝ている(亡くなっている?)曽祖母の頭側をバタバタと走っていった。
一番最後に、走っていとこ達を追いかけていた私は、この時一人だけ。頭の上を通らずに遠回りして足側を通ったそうなのです。

叔父叔母達が、この時えらく私を褒めて、母は嬉しかったと言っていた。

私は一人を除き叔父叔母達から、好かれていなかった記憶があり、怒られはしても、一度も褒められたことはなかったと思っている。
でも、その時には一度だけ褒められていたんだな…

その時に、頭の方通っちゃダメじゃないのかなーと思ったような記憶があるけれど、それが本当にその時の記憶なのかわからない。

小さい頃の記憶って、本当の記憶もあれば、人から聞いたことを、自分の記憶と思い込んでいたり、その時の写真を見て、実際にそれを覚えているように錯覚していることも多いような気もするのです。
だから、躊躇して足側を通ったという記憶が、本当の記憶なのか、後から刷り込まれた記憶なのかは自信がありません。

ただ寝ていた曽祖母の姿と、その時に何かを「はっ!」と思ったのは、確かな記憶だと思います。

また、3歳になる少し前、交通事故にあいました。
蝶々を追いかけて、道路に飛び出して轢かれたのです。
死んでいてもおかしくなかった大変な怪我で、半年入院しました。

交通事故の記憶はないのだけれど、加害者(ある意味被害者)のおじさんが、何度もお菓子を持ってきてくれるのが嬉しくて、おじさんが顔を出した時のウキウキした気持ちを覚えています。
そしてある時、小さな丸い籠に、飴がたくさん入った物を持ってきてくれた。
ベットの上でその籠を受け取った。すごく可愛い籠で、姉の分と二つあった。
そんな場面。

また、もう3歳になっていたと思うのだけど、入院中車椅子に乗って、看護婦さんが病院の中庭を散歩させてくれた、その時の一瞬の風景。

痛かった記憶、術後水が飲めなくて、覚えたての、ありったけの水っぽい食べ物の名前を言って食べたいと言った時、母は涙が出た、なんて言っていたし、リハビリも痛がって大変だったらしいけど、そんな辛い記憶はこれっぽっちも残っていない。

今でも、辛いことがあったはあったけど、楽しかった記憶の方がたくさん残っているのは、私が能天気なのか、はたまた防衛本能なのか…

まと。さんのコメントにも書いたのですが、私の記憶は、ある一コマを写真に撮ったかのように、ほんの一瞬の画像であることが多い。
しかし、そんな写真はない。

大阪の万博も、人の壁で全く何も見えない状態の中、上を見上げたら、ほんの一瞬見えた、太陽の塔。
すぐに見えなくなってしまったけれど、その光景も写真のように、記憶に残っています。

実は先日姪に、4歳くらいの時九州に来た時のこと覚えてる?と聞くと、覚えているのは娘にポケモンのシールをもらったことだけだと言われて、え?そこ?と思いました。

そこで子供達にも聞いてみると、息子は、3歳頃私の友人の結婚式にで広島に行った時に、ガンダムのおもちゃをもらった事なんだそうです。それが広島という事も、結婚式に出た事も、厳島神社の鹿をあんなに怖がったことも覚えていなかった。

娘は、3歳と3ヶ月、保育園の納涼祭の花火が怖くて大泣きしたことだそうです。
その前、赤ちゃんの頃から、花火の音を異様に怖がって泣いていました。太鼓の音もダメでした。
それが今ではライブの大音量にノリノリなんですものねえ…

娘は、あんまり小さい頃の記憶がないそうだけど、息子は、入園時お友達のF君が大泣きしていたとか(3歳の記憶)、スーパーで私が知らぬ間にお菓子を手にしていて、スーパーから出た時に私が気づいて慌てて返しに行ったという記憶があるそうです。
それって、きっとまだ本当に小さい頃…
私に似て色々覚えているようです。

子供は2歳くらいまで、お母さんのお腹の中の記憶があると聞いたことがあり、息子に尋ねたことがありました。
その時に息子は、何か言っていましたが、よく覚えていません。
その時は、それって本当?想像で言ってない?なんて思うような内容だった気がします。

大きくなってからの記憶も、よく覚えているつもりでも、同級生と話していると、全く覚えていないことや、同じ場面なのに違って記憶していて、どれが本当なのかわからない、なんてこともあります。

意外と記憶って、知らないうちに塗り替えているのかもしれない。

そんな記憶も、もしかしたらいつか思い出せなくなるのかもしれない。
自分の記憶だけでなく、友人や家族の記憶も、失われる日が来るのかもしれないし、来ないのかもしれない。

過去を忘れて、未来を、前を見て歩いて行こうなんていうけれど、思い出が自分を頑張らせてくれたり、癒してくれることもあるから、私は、失われるその日まで、大切にしたいな、と思います。

あなたの一番古い記憶はいつ、どんなシチュエーションですか?

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