ヒラメの話
私はプールの底が大好き。
プールに行くと、いつもプールの底に寝転んで、上を泳ぐ人を眺めている。
上を泳ぐ人の腹を見ながら、
あれはサメ、アレはカツオ、アレは金魚?
なんて思いながら眺める。
天気がいい日は水面がキラキラしてとても綺麗だ。
とはいえドキドキ踏まれそうになるので、気をつけなければならない。
プールの底に沈むときのコツは、空気を全部吐いてから潜ることだ。
長く潜るために息をたくさん吸い込んで潜ろうとしても、すぐ浮いてしまう。
私は、昔から息止めが長くできる方だったので、息を吐き切っても30〜40秒くらいは平気で沈んでいられた。
潜る時は、下を向いて潜り、底についてから仰向けになるのだが、その日は上向きのまま潜ってみた。
手足で水をかきながら、斜めに沈んでいくと、思ったより深く感じる。
まだ底につかないのかな?
ようやく底についた時、下が砂になっていた。
プールに砂溜まっている?
しかしよくみると、周りには岩もあり、上を泳いでいるのは、本物の魚だった。
え?ここ海?
全く苦しくなかったので、そのまま上を向いて、美しい水面や魚達を眺めていた。
その時何やら目の前に、何やら小さな魚が漂っていて、思わずそれに食いついてしまった。
その瞬間、私の体は海の上に高く引っ張り上げられた。
おお!大きなヒラメだ。
なんと私はヒラメになっていた。
そして、ヒラメになった私を釣り上げたのは、釣りが大好きな私のお父さんだった。
お父さん、私だってば!
離してよー
と暴れる私を見て、お父さんは、
イキがいいヒラメだな、
と嬉しそうにクーラーボックスに押し込んだ。
私は家に帰ると、まな板に乗せられた。
お母さんも、嬉しそうに覗き込んでいる。
お父さんが、包丁を持って今にも私を切ろうとしている。
きゃー‼️ やめてー‼️
私は大声で叫んだ。
その時、
ヒロミどうしたの?
ちょっと降りてきてごらん!
気がつくと私は2階の自分部屋のベットでうたた寝していたようだった。
プールから帰ってきて、疲れて寝てしまったようだ。
一階の台所に降りていくと、お父さんとお母さんが、何かを覗き込んでいる。
そこには、まな板の上に載せられた大きなヒラメがいて、お父さんが今にも包丁の刃を入れようとしていた。
私は思わず
きゃー‼️ やめてー‼️
と叫んだ。
この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?