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錦鯉釣る雲【毎週ショートショートnote】


ある日お母さんの背中で遊んでいた雲の子供が、うっかり滑り落ちてしまった。

落ちたところは池で、美しい錦鯉が泳いでいた。
錦鯉は、落ちてきた雲の子供をパクッと食べてしまった。

それをみたお母さん雲は大慌て。
その錦鯉を捕まえようとしましたが、捕まえられません。

それならば釣ることにしよう。

何を餌にしたらいいかしら…

空に舞う桜の花びらをとって餌にしましたが、すでに池の上にもたくさん桜の花びらが落ちていて、鯉は見向きもしません。

カラスに相談すると、それならばと、拾ってきたパンくずを分けてくれました。

パンくずをつけて糸を垂らすと、あっという間に、雲の子を食べた錦鯉が食いつきました。

雲は錦鯉を空高くまで釣り上げました。
そして風にも協力してもらって、
鯉の口を大きく開けて、お腹の中の雲の子を助け出しました。
しかしその時鯉の口から尻尾まで大きく穴が空いてしまいました。

軽くなった鯉は空を泳ぎました。

空を見た子供が叫びました。

わあ、綺麗な鯉のぼり!


     本文ここまで 415文字

これは、たらはかにさんの企画
♯毎週ショートショートnote
に参加したものです。
今回は裏お題
「錦鯉釣る雲」

このお話を読んだ大人の方は、
え、雲の子供とはいえ、落ちることはない。
鯉は雲を食べない。
雲に鯉が釣れるわけない。
そもそも雲は、固体ではない。
なんて思うかもしれません。

でも、雲が綿菓子みたいなものだと思っていた子供の頃を思い出して、読んでみてくださいね。

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