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ピッチイベントに出る起業家に伝えたい「10のこと」

Nice to teeth you! Oh my teethのMakotoです。忙しいビジネスパーソンのための、通院不要の歯科矯正D2Cブランドを運営しています。

先日、ICCサミット FUKUOKA 2021「スタートアップ・カタパルト」というピッチコンテストに参加し、Oh my teethのビジネスモデルについてプレゼンしてきました。

*1 ICCサミット FUKUOKA 2021
ICCは「Industry Co-Creation」の略。ICCサミットは「ともに学び、ともに産業を創る」をコンセプトとするカンファレンス。

*2 スタートアップ・カタパルト
第一線で活躍する経営者・幹部・投資家・プロフェッショナルで構成される審査員に対して、1社あたり7分間のプレゼンテーションを行うプログラム。

結果は、全15社のうち5位。優勝を目指していたので、正直、悔しいです。

しかし、このプレゼンを聞いた経営者さんや尊敬する大先輩起業家の方から「歯科矯正やってみることにしました!」「歯型スキャン、早速予約しました!」といった嬉しいメッセージをいただき、登壇してよかったなと思っています。

そこで今回は、過去にOnlabにて最優秀賞を獲得した経験も踏まえ、これからピッチコンテストに出る起業家のための、事前準備や工夫・反省点を残しておきます。

▲本番で使用したスライド

1. プレゼンの「目的」を明確にする

まず、プレゼンの目的を明確にすることです。ここを決めないと「誰に向けて発信するのか?」がわからず、ボヤけたプレゼンになってしまいます。
今回、Oh my teethの場合は、ユーザー獲得・採用を目的としました。

理由は2点。

①ICCの参加者層(経営者、ほぼ男性、30〜40代)がOh my teethのコアターゲットにドンピシャだから
②採用に力を入れたいフェーズだから

この2つの理由から、ユーザー獲得(=ハードルの低さや実際の成果を知り、使ってみたいと思ってもらう)と採用(=目指している世界に共感し、携わってみたい)を最大化するための7分間にしようと決めました。

このように「目的」を明確にすることで、必要な話と不要な話を整理することができます。

ちなみに、ピッチコンテストにもいろいろあるため、参加する種類に応じても目的観が変わってくるでしょう。わかりやすい表があるので引用します。

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▷引用元:君のピッチは相手に何を残したか?|Tips for a Successful Pitch - Open Network Lab (オープンネットワークラボ)

Oh my teethでいえば、今回の目的は資金調達ではなく、「ユーザー獲得」と「採用」です。

そのため、ビジネスモデルや競争戦略の説明よりも、「市場規模の大きさ」や「Oh my teethがどんな世界を目指したいのか?」をビジュアルも使いながら丁寧に示すことで、Oh my teethに興味を持ってもらうことを重要視しました。

2. スライドを作る前に台本を

「プレゼンを作るぞ」と思うと、すぐにスライド作成に入りたくなりますが、まずは話の筋道や見せ方を丁寧にfixさせてから作るのがおすすめです。

伝え方や見せ方を固めておくことで、スライドを作成する自分自身のための「台本」になるのです。

しかも僕の場合、いきなりスライドを作り始めても、文字の大きさや色づかい、微妙な画像の位置さえもしっくりこないと先に進めないため、「気づいたら1枚のスライドに1時間も使っていた......!」なんてこともあるあるです

できるだけスムーズに作るためにも、まず何よりも先に「台本」を作るようにしています。

3. サクッと「ラフ版」スライドを作る

台本ができたら、台本に沿ってスライドの「ラフ版」を一気に作り上げましょう。

ここで重要なのは、ディティールは後回しにして、過去に使用したスライドやありものの素材を使って、「とりあえず最後まで作りきる」こと。

ここまでいけば、フィードバックをもらえる状態になります。

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▲実際に僕が作った台本。今見ると、前半は結構変わっていますね。。

今回はデザイナーのさとみさん(@satomi_n0810)に協力していただき、台本を共有してラフ版を作ってもらいました。(さすがに台本丸投げだと作れないので、頭にあるスライドイメージをZoomでざっくり補足しました。)

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▲上の台本を元にしたラフ版のスライドが完成

ラフ版とはいえ、普通に使えるスライドを高速に仕上げてもらえると、その後の本番用スライド作成のやりやすさとスピードが違います。

ちなみにOnlabで優勝した際のスライドも同じ手法で作成しました。(さとみさん、いつもありがとうございます......!)


4. 第三者からのフィードバックをもらおう

実は、ICC登壇者は、ICCパートナーズ代表であり、ICCサミットオーガナイザーの小林雅(まさ)さん(以下、雅さん)によるメンタリングが受けられます

これは個人的に、ICC登壇者に選出していただいてよかったなと思っていることの1つです。

雅さんは、誰よりもICCサミット参加者のことを知っているので、
「そこはあんまり興味ないと思うよ」
「逆にXXXをもっと伝えたらいいのに!」
「普通のピッチだったらA→B→Cでいいけど、C→B→Aにしてみたらどう?」
と、参加者目線の的確なフィードバックやアイディアをいくつも得ることができました。

アドバイスだけでなく、「こういうことを伝えたいのですが、正直わかりづらいと思っています。雅さんならどう表現しますか?」といった相談にも乗ってくださいました。

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▲相談に対し、雅さんが図解しながら説明してくれた

「メンタリング」と聞くと、上から指導されるようで憂鬱になるイメージがあるかもしれませんが、雅さんのメンタリングは、むしろ毎回気持ちよかったです。

メンタリングを受けて気持ちよさを感じたのは、おそらく2つの理由があります。

●「事業の魅力を最大限に伝えるにはどうすればいいか?」を共に考えてくれているのが、純粋に伝わってくるから

●いつも必ず「西野さんのキャラもあるし、僕の指導を全部反映させなくてもよい。いろいろ試行錯誤してみて、しっくりくるエッセンスを取り入れてみてほしい」というスタンスだったから

日本で一番スタートアップのピッチを見てきているからか、引き出しと組み立て力が半端ない印象。僕のピッチを聞いた次の瞬間には、「みなさんこんにちは、Oh my teethの西野です」と即興で僕よりもうまい(「まさにそういう伝え方したかった!」と思うような言い回しなど)7分ピッチがはじまり、笑っちゃいました😂

懇親会で他の登壇者と話したら、どうやらこれは雅さんのお家芸のよう。スタートアップへの貢献力、相当ですね…...。

5. 台本を「ゼロから」書き直そう

フィードバックをある程度インプットしきった段階で、台本を完全に白紙にして、ゼロから書き直すようにしています。(この作業、本番までに地味に何回かやっている気がします)

というのも、高校生くらいの時に読んだ何かの本に、次のようなことが書いてあったのです。

「修正を重ねれば重ねるほどコテコテの文章になり、シャープさがなくなっていく。なので執筆し終えたら一度ファイルを削除して、ゼロから書き直している。その方が結果的に良い文章になる」

まさにその通りだと実感しています。

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▲ゼロから書き直した今回の台本

今ではauto-save、cloud-syncがあたりまえなので、滅多に発生しませんが、昔は「せっかく作ったWord文書が消えてる!」「しかも保存していない!」「ゼロからやり直し!」ってシーンありませんでしたか?

そんな、地獄のような状況に陥ったとしても、むしろ視点が変わり「こういう構成にした方がシンプルじゃない?」といった発想が出てきたりする。

「ゼロから」書き直すことで、意外と筆が進むものなのです。

そんな実体験とも重なり、文書のみならずコードや資料作成など、今となっては、あらゆることで無意識に実践している気がします。

6. 最適なフォーマットを選ぼう

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先ほど紹介した雅さんのフィードバックの中に「画像だけでなく動画があったほうがより伝わるんじゃないの?」というのがありました。

事業の魅力を伝えるために「どんなフォーマットが最適なのか?」を考えることは非常に重要なのです。

雅さんのメンタリングで特徴的だったこと。それは、メンタリングに臨む際は「画像でも動画でも、ある素材は全部持ってきてください」と指示があったことです。

スマホで歯並びを3Dスキャンした動画やシミュレーション(未来の歯並びが3D動画で確認できるビューア)を見せると、「これ絶対プレゼンで見せた方がいい!」となり、デモ動画を入れることにしました。

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ちなみに、もともと女性メインのコンセプトムービーライクなものを考えていました。

が、ここで雅さんのメンタリング。

男性ができるだけ自分ごと化できるような動画にすべきだよね」

その言葉を受け、僕は今回のピッチの目的に立ち返りました。

そこで急遽、ペルソナに近い前職の同期である、ひでさんにお願いし、撮影に付き合ってもらいました。感謝。。。

▲動画はデザイナーさんの紹介で、こちらの会社さんにお願いしました。

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短納期にもかかわらず、前日ギリギリまで微調整に付き合ってくださり感謝しています。急ピッチで仕上げないといけない状況においては、担当者と直でやりとりできるのは伝言ゲームにならずスムーズでした。

▲実際に使用したデモ動画

7. デザインへのこだわり方は「目的」で変わる

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計3回のメンタリングを終え、台本を修正したら本番用スライドを作成しました。あとはデザインです。

スライドの「デザイン」にどの程度こだわるかは、冒頭に挙げた「ターゲット」やピッチの「目的」によると思っています。

Oh my teethの今回のピッチでは世界観=クールな歯科矯正ブランド、を伝えたいというゴールがありました。

「ただの矯正サービスではなく、Appleのようなクールなテクノロジーブランドを目指すって宣言するなら、スライドもそれを感じさせるようなものになっていないと説得力ないよね。全スライド、クールかどうか自問自答してみては?」

雅さんからそんなアドバイスをいただき、スライドデザインも、前回(2020年)のOnlabで使用したスライドから変えることにしました。

8. 出場者や審査員情報をチェック

ざっくりでも、「どんな審査員がいるのか」を調べておいて損はないでしょう。(WAmazingの加藤さんは、絶対に勝たないといけない大会では徹底的に調べて対策するそうです......!)

今回は賞を取ることもそうですが、会場の方にすこしでも共感してもらい、興味を持ってもらうことがゴールなので、ICCならではのメーカーなども意図的に入れるようにしてみました。

たとえば、このあたり。

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●審査員に実際のマウスピースを配布してイメージを持ってもらうようにした
●MODULEの展開場所例として(ICCに協賛する企業にも含まれている)「ドラッグストア」を強調する(これは当初から入っていたのですが・・)
●ターゲットの説明で「スーツはFABRIC TOKYO、ビールはよなよなエール、じゃらんではなく一休」と紹介する(※すべてICCのオフィシャルスポンサーです。)

9. あとはひらすら練習

あとはKeynoteのリハーサルモードを使ってひたすら練習です。

このあたりは原稿を覚えるのが得意だったり、アドリブでいけちゃったりする人もいると思いますが、僕はSmartHRの宮田さんの「徹底的に原稿を作り込み、あとは読み上げればOK」のスタイルが一番しっくりきています。

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とはいえ、実際やってみたらわかりますが、「読み上げるだけ」といっても本番はめちゃくちゃ緊張します。

なので、口を慣らしておくのが重要。とにかく何回も、録音→聞いてみる→違和感があれば原稿修正、、、を繰り返し、スムーズに言葉が出てくる=ほぼ暗記している状態まで続けました。

なにしろ、ピッチには制限時間があります。

ICCは7分。

ICCの場合は7分ちょうどで打ち切られるほど厳密なわけではありません。とはいえ、「どうせならぴったりに終わらせたほうがかっこいい!」ということで、ある程度まで口が慣れたら、あとはひたすら時間を見ながら話す練習をしました。

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▲練習用の画面

「このスライドはXX分XX秒」と目安をメモしていくことで、少なくとも時間切れになるリスクは減らせますが、ジャストで終えるには慣れが必要です。「時間が押しているから、次の最終行は端折ろう」といった、咄嗟の判断がいる。

練習のときから意識した結果、本番でも原稿を頭の中で調整しながら7分ジャストで終えることができました。

10. 悪あがき大事

僕は登壇の直前までスライドをいじっていました。(実際、あまりよくないかもしれませんが。。)

というのも、リハーサルのときに登壇者のプロフィール写真が流れたのですが、登壇者の多くが口を閉じているなーと気づき、土壇場で次のスライドを作成してみたのです。

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結果、何人かに「最後のスライドおもしろかった!」と言ってくれました。

最後までこんな「悪あがき」をしつつ臨んだ、ICCサミット FUKUOKA 2021「スタートアップ・カタパルト」。

前回優勝者である「Medii」の山田さんは、「楽しんでください」とおっしゃっていましたが、まあそんな余裕はありませんでしたね(笑)。

おまけ:自社ロゴパーカーおすすめ

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#Tシャツ起業家 「食べチョク」の秋元さんではないですが、ICC期間中だけでも、自社ロゴ入りの服を着ることをおすすめします。

実際、会場でもこのOh my teethパーカーのおかげで、声をかけていただけることが何回かありました。

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しかも、この記事を福岡空港のラウンジで書いていたら、某大企業の店舗事業統括部長が「ピッチ見ましたよ!」と声をかけてくださいました......!

★参考にした記事、本、動画

この記事で取り上げられている動画。特にSmartHR、WAmazingをよく見ていました。いつ見ても発見がある。

Oh my teethの「バレずに矯正できる」という特徴を説明する際に使った「実は今もつけているんですよ」は、ジョブスの「実はもう私のポケットに入っていますよ」のオマージュ。このネタは知り合いのマーケターにもらいました。

プレゼンといえば三輪さん。事前のICCワークショップがおもしろかった&勉強になったのでその場で購入。「歯科矯正というマスから多少距離のある商材に興味を持ってもらうには?=事業に共感してもらうためには?」のヒントが詰まった本。ピッチイベント直前に読んでよかった本No.1。

「AIR Design」を提供する株式会社ガラパゴス代表の中平 健太さんのICCピッチ。

「自分にはできないな」と思ったけど、間の使い方など、「こういうプレゼンしたいな!」と思ってよく見ていました。「その成果、XX倍!」が良い意味で胡散臭くて好きです。

余談ですが、まさにこのICCのピッチをきっかけにOh my teethを知ってくださった方が、店舗にも来てくださってうれしかったです!!

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