パワフル
パワフルな旅が始まった!
アイコちゃんとの2人旅。
元々は、用事のついでにパリに1日遊びに行くだけのはずが、なんだかんだと様々な理由が重なって、サバイバルの2日間になった。
まずパリへ行くと言っても、簡単に行ける場所に今私はいないことを実感した。
「田舎だよ」と聞いてはいたけど、「田舎」を舐めていたし、それ以上に私はこの国を舐めていた。
通常ルートだとまず自宅最寄りからバスに乗り、40分かけて少し大きめの街へ出る。そこから新幹線に乗り、2時間半程度でパリのモンマルトルに到着する。
往路はこのルートで順調に行けるのだけど、問題は帰りだった。
まず帰りの新幹線が予約を取れないという事態。
本数が少ない上に、混んでいるからなのか、ストライキなのか、とにかく予約したいと思ったときには遅かった。
ここでまず、最短距離の最短時間で家に帰ることが不可能になった。
パリで1泊は避けたい。パリ発のバスで、何か良さそうなものはないかアイコちゃんは調べてくれていて、そこで目をつけたのがボルドー行きの深夜バス。
ボルドーとは、位置関係でいうとパリから出発して、私たちの家を軽く通り越してもっと南に進んだところにある。
パリから出たくて家と同じ方角で深夜バスは安い。
私たちは全く予定になかったボルドーもついでに観光して帰るプランに挑戦することにした。
深夜バスなんて学生ぶり。(確か東京から大阪までの深夜バスで嵐のコンサートに行った)アイコちゃんは日本でも深夜バスに乗ったことがないらしい。日本でさえ、居心地がいいとはとても言えない深夜バスに外国で挑戦するとは、私たちはかなりチャレンジャーだと思う。
想像がつかない。こんなトリッキーな帰り方他にしている人いないと思う。
海外は危ないから夜は出歩くなって聞いたことあるのに、出歩くどころの話じゃない。
どんな危険とどんな汚いバスが待っているのかと思うと、もう逆に燃えてきた。
そんな風に順調にプランを進めて、そして出発2日前になんと深夜バスが勝手にキャンセルされるという意味のわからないトラブルが発生した。
なんなんだ!という怒りよりも、日本が本当に全て整備されすぎているんだと感心した。人間ってそうだよね、そもそも勝手な生き物だもんな。トラブルは迷惑だけど日本よりよっぽどみんな人間らしく生きてるんだな。
この国の人は常にこういうトラブルと戦いながら生きているのか。
アイコちゃんはすぐさま他のバス会社で同じ時間帯のボルドー行きチケットを確保してくれた。運良く同じ行き先のチケットが他にあったのが本当にありがたい。
ストライキだのボイコットだの、そんなはた迷惑な事が日常に浸透している国で生きていくためには、自分を強く持って、怒りを主張しないとやっていけないんだろうな。フランス人はみんな覇気と戦闘力が強い。深夜バスで1人でキャリーバックを3個も4個も抱える女性、まだ歩けないような子供を連れている夫婦、車内で周りを気にせず電話してる人、爆音音楽が音漏れしまくってる人、日本にいたら「マナーを守れない迷惑な人」の部類だけど、そういう人たちがみんな自由で、生きるバイタリティに満ちてる人に見えた。世界は広いな。
私たちはまだ日も登ってない早朝にボルドーに無事に到着して、半日観光した。深夜バスに揺られて8時間の後の観光。体はバキバキに疲れているけど、ボルドーはすごく素敵な街並みで歩いてるだけで楽しかった!
日本食を扱っているお店を途中で見つけて、そこでアイコちゃんが5キロの米を買って帰ると言い出したときには、この人もバイタリティ半端じゃないな。。と思った。
正気か?と思ったけど本当に買って担いで帰った。
日本食のお店のおばさんが、近くに崩れた建物があって、そこを工事してる貴重な光景が見られると教えてくれた。
フランスの建物は石造りで、地震のない国だから何百年という年季の入った建物が多い。その石造りの建物が崩壊するという事故が最近近くで起きたらしい。死人がいなかった奇跡もあったとかで、その崩壊事故があってから、建物ごとに壊れそうにないかチェックが入り、壊れそうな建物には、支えるための木材が取り付けられていた。今から崩れそうな建物は崩れる前に支えとくということらしい。なんとも斬新な光景で驚いた。
そんなこんなで。予定になかったボルドーだけど、また行きたいと思うほどいい街だった。
帰りはボルドーからバスに乗ってポワチエという少し大きい街まで出て、ポワチエからバスで自宅まで。
という流れのはずが、ポワチエ行きのバスがまたもや勝手にキャンセルされていて乗れないという事態が起きた。しかもバスの運転士はスペイン語で説明してきて、アイコちゃんも何を言われてるかわからなかったらしい。
もうめちゃくちゃだ。
私たちがバスに乗れなくても、相手はなんのフォローもなく、「じゃあね!」という雰囲気で走り去ってしまった。予約はできてたのに、勝手にキャンセルしたのはそっちだ。
怒りを軽く飛び越えてくる奴らが多いな。フランス。
もはや潔い。こちらももうバスになんの未練もなく途方に暮れることができる。最初からそういう国だとわかっていれば、ショックも怒りもないことを知った。日本でこれをやられたらもっと怒り浸透していたと思う。アイコちゃんはそこそこに怒っていたけど私は楽しい旅だったからなんでもいいやという気持ちだった。
しかもそのあとポワチエ行きの電車を運良くチケット取れた。正直ここで本当に帰る術なしでボルドーで野宿でもしていたら、もうこんな国嫌だ!ってなったかもしれない(笑)
結果良ければ全て良し!
私たちは無事に20時ごろ家路についた。
家の安心感は国を超えても変わらない。お風呂に入って爆睡した。
バキバキで次の日どうなるか怖かった体は、次の日起きてみるとびっくりするくらいスッキリしていた。
過酷な旅だったのかもしれないけど私たちは楽しかった。アイコちゃんは「もう疲れたね」とか「早く帰りたい」とか「辛い」とかそういうネガティブワードを1回も言わない人だったので、それにつられて私もかなり楽しむことができた。
なんでもそうだけど、困難は楽しんだもの勝ちだと思う。楽しむか、それか徹底的に怒りを持って立ち向かうか。西洋人からそんなバイタリティを学んだ楽しい旅でした。
また行きたいなー!ボルドー!!
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