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MBA学校選び編、名古屋商科大ビジネススクール(NUCB)のリフレクション その①

社会人大学院「名古屋商科大ビジネススクール」(略称:NUCB、正式名称:名古屋商科大学大学院マネジメント研究科マネジメント専攻)を2023年9月に修了・卒業した。その2年間の航海を振り返ると、多くの学びと経験が詰まっている。以下の5つのテーマに焦点を当てて詳述する:①初めに抱いていた入学の動機と選定基準、②大学院での教育と学び、③日常生活、④卒業後のキャリアパスと展望、⑤今後の社会人大学院を検討している者への助言。特に注目すべきは、NUCBの教育手法として採用されている「ケースメソッド」である。この手法は、実際のビジネス環境での意思決定過程を参加者が自らの視点で追体験することを通じて、実務家としての世界観や視野を広げる効果がある。ケースメソッドを通じて、私たちは「知識の修得」に留まらず、主体的な「議論と思考」の体験を追求した。この経験は、私たちのキャリア形成やビジネス環境での意思決定に対して大きな影響を与えている。

1.入学の動機と選定基準

1-1.社会人としての背景と動機

当時、ビジネスパーソンとして新規事業に取り組んでいたが、その新規事業が思ったように伸びなかった。その後、私は異動になったが、その理由をマネジメント面で知りたいと思ったのが入学動機だった。MBAを通じた学びを生かして”自分なりの問いに対する答え”が欲しかった。
大問は「シュリンクする市場において祖業が中核事業である伝統的企業の変革は可能か?どうやるのか?」、小問は「自社の中期経営計画の評価」と、「新規事業マネジメントへの評価」だった。以下に入学当時の志望理由(抜粋)を添付する。
なお、よく転職目的なの?と聞かれるが、私にはたいした実績もない45歳(当時)のサラリーマンに転職機会はあまりないと言っていいだろう。

大学院で身に付けたい学問領域は「経営戦略、マーケティング戦略、組織と人材」です。その中でも特に「市場衰退期における国内外企業、特に祖業が経営危機に陥ったケース」にフォーカスして研究したいと考えます。例えば、「ビジョナリー・カンパニー3 衰退の五段階」(ジム・コリンズ)や
「名古屋商科大学ビジネススクール ケースメソッド MBA 実況中継 01」(牧田幸裕)で取り上げられている IBM のケースには高い関心があります。
私がなぜ「シュリンクする市場×祖業」に着目するか―。それは私が務める業界が同じ難問に直面しているからです。(略)先ずは、会社が持っている過去の成功体験を捨て去り、もう一度ミッションとコアコンピタンスに立ち戻り身軽になってから思考を始めようと思います。(略)企業戦略とマーケティングと組織をどのようにアラインメントさせていくことができるのか。(略)我々の業界や会社には残された時間はありません。先達の知恵の結晶である「学問」の力を借りて、成功と失敗の要因を分析して解釈をしていく必要があると感じています。そしてこれからの分析に基づいて正しい意思決定ができるスキルを身に付けること。これがビジネススクールの志望理由です。特に、名古屋商科大学ビジネススクールでは、古今東西のケースメソッドを豊富に扱っているで、そのケースを触媒に教授や学友の問いから新たな気付きを得ることにすごくワクワクする自分がいます。

筆者が提出した入学のための「課題エッセイ」から一部を抜粋

経営戦略に強い関心を持っていた。さらに経営戦略を理解する上で、財務や人事、マーケーティング全般の知識を得たいと考えていた。

1-2.他の大学との比較

他大学との比較の前提

他大学との比較にあたり、その選択肢の前提は以下の通り。

一橋大学大学院 経営管理研究科 経営管理プログラム

  • 特徴: 一橋大学はその高い学術水準から多くの学生に憧れられる存在である。特に経営管理プログラムは、その厳選された学生層と質の高い教育で知られる。

  • 立地: 千代田キャンパスの立地は非常に便利で、多くのビジネスエリアに近接している。

  • 学歴: 一橋大学という名前自体が、その響きで多くの人々を引きつける。

  • 時間帯: 主に平日夜間と土曜日に授業があるため、多忙なビジネスパーソンには通学が難しい。

  • 費用: 公立大学であるため、学費は比較的安価である。

東京都立大学大学院 経営学研究科 経営学専攻

  • 特徴: 博士後期課程が設置されている点が特に魅力的。研究志向の強い学生や、アカデミックなキャリアを考えている人には最適な選択肢である。

  • 立地: 丸の内サテライトキャンパスはビジネスエリアに位置しているが、本キャンパスへのアクセスは一考が必要。

  • 学歴: 都立大学という名前には一定の響きとブランドがある。

  • 時間帯: 主に平日夜間と土曜日に授業があるため、多忙なビジネスパーソンには通学が難しい。

  • 費用: 公立大学であるため、学費は比較的安い。

筑波大学 人文社会・ビジネス科学学術院、ビジネス科学研究群、経営学学位プログラム(博士前期課程・博士後期課程)

  • 特徴: アカデミックな研究が強調されており、特に博士課程に進む人々にとっては、修士論文の指導が充実している。

  • 立地: 茗荷谷という立地は一部の人にとっては不便かもしれない。

  • 学歴: 筑波大学という名前には一定の響きとブランドがある。

  • 時間帯: 主に平日夜間と土曜日に授業があるため、多忙なビジネスパーソンには通学が難しい。

  • 費用: 公立大学であるため、学費は比較的安い。

明治大学 グローバル・ビジネス研究科 グローバル・ビジネス専攻(専門職大学院)

  • 特徴: ファミリービジネス経営者や新規事業担当者を対象とした特色あるMBAプログラムである。

  • 立地: 千代田区神田駿河台はビジネスエリアとしても人気の場所である。

  • 学歴: 明治大学という名前は、6大学の一つとしてその響きがあり、ブランド力が高い。

  • 時間帯: 主に平日夜間と土曜日に授業があるため、多忙なビジネスパーソンには通学が難しい。

  • 費用: 私立大学であるため、学費は高い。

グロービス経営大学院大学

  • 特徴: 企業研修も手がけるマンモス校であり、人脈作りに優れた環境が整っている。

  • 立地: 東京以外にも多くの都市にキャンパスがあり、転勤族にも配慮されている。

  • 学歴: グロービスという名前は一般にはまだ新しいが、ビジネス界ではその価値が認められつつある。

  • 時間帯: 平日夜間、週末、オンラインと多様な授業形態がある。

  • 費用: 私立大学であるため、学費は高い。

早稲田大学 大学院 経営管理研究科

  • 特徴: 早稲田ブランドの力を背景に、研究と実務のバランスが取れた高品質な教育が行われている。

  • 立地: 西早稲田は一部の人にとっては不便な場所である。

  • 学歴: 早稲田という名前には強いブランド力と響きがある。

  • 時間帯: 平日昼間の授業が多く、働きながらの通学は厳しい。

  • 費用: 私立大学であるため、学費は高い。

慶應義塾大学 大学院 経営管理研究科

  • 特徴: 日本で最も歴史のあるビジネススクールであり、ケースメソッドの先駆者とも言える。

  • 立地: キャンパスは都心に位置している。

  • 学歴: 慶應義塾という名前には非常に高いブランド力がある。

  • 時間帯: MBAはフルタイムであり、多くのビジネスパーソンには通学が難しい。

  • 費用: 学費が非常に高い。

青山学院大学 大学院 国際マネジメント研究科

  • 特徴: 青山アクションラーニングという独自のプログラムと、英語教育に力を入れている。

  • 立地: 青山・渋谷エリアはビジネスとカルチャーの中心地である。

  • 学歴: 青山学院という名前には一定のブランド力と響きがある。

  • 時間帯: 平日夜間の授業が多く、多忙なビジネスパーソンには通学が難しい。

  • 費用: 私立大学であるため、学費は高い。

立教大学 大学院 ビジネスデザイン研究科 ビジネスデザイン専攻

  • 特徴: ビジネスデザインに焦点を当てた独自の教育プログラムが展開されている。

  • 立地: キャンパスは都心部に位置し、多くのビジネスエリアへのアクセスが便利である。

  • 学歴: 立教大学という名前には一定のブランド力がある。

  • 時間帯: 授業は多くのケースで平日夜間と土曜日に開講されている。

  • 費用: 私立大学であるため、学費は高い。

法政大学 大学院 イノベーション・マネジメント研究科 イノベーション・マネジメント専攻

  • 特徴: イノベーションとマネジメントに特化した教育が行われており、新しいビジネスモデルや技術革新に興味がある人に適している。

  • 立地: キャンパスは都心に近く、多くのビジネスエリアへのアクセスが良い。

  • 学歴: 法政大学という名前には一定のブランド力と響きがある。

  • 時間帯: 平日夜間と土曜日に授業があるため、多忙なビジネスパーソンには通学が難しい。

  • 費用: 私立大学であるため、学費は高い。

以上が選択肢のMBAスクールでした。最後の決め手は何だったのか?

1-3.なぜ名古屋商科大学大学院を選んだのか?

NUCBを選んだ理由に焦点を当てる。そのために私の基準をつくるための前提を説明する。

  • 〔立地〕東京都中央区に職場と自宅がある。必須条件は都内、希望条件は山手線沿線及び内側。オンラインのみ完結のコースはスコープ外。海外渡航が必要な学校やプログラムもNG。

  • 〔時間帯〕今の会社を長期休職(又は退職)してまで通学する決意ができないので必須条件はパートタイム(平日は授業がない)。希望条件は「土日のみ通学可能」。

  • 〔費用の低さ〕費用は、必須条件は「2年間学費の上限300万円台」。希望条件は「2年間で300万円以下」。

  • 〔定員の多さ〕人脈作りには同期や卒業生の多さと相関が高いと感じている。必須条件は「年間入学定員50人以上」。希望条件は「年間150人以上」。

その上で、NUCBを選んだポイントは以下の通り。

第一の理由は「通学の容易性(時間と立地)」である。本研究者が以前に修了した事業構想大学院大学事業構想研究科事業構想専攻では、平日夜と土曜日の授業が主体であったが、職務上、平日夜の通学が困難であった。この経験から、NUCBの土日のみの授業と東京駅前の丸ビルという立地は、通学の容易性として評価された。
第二の理由は「対面授業の多さ」である。せっかく立地がよくてもオンラインばかりでは交通利便性の意味が無い。NUCBでは、特に一年次においてはほぼ全てが対面授業であり、教室の空気感や教員、学生間の非言語的コミュニケーションが豊かであった。
第三の理由は「教育の質と国際認証」である。NUCBはAACSB、AMBA、EQUISの三つの国際認証を有しており、これが教育の質の保証に直結している。教授陣や授業内容はこれらの基準に基づき練られており、同級生もその高い教育水準を評価している。ただし、これは単位獲得の難易度が高いという側面も有する。
第四の理由は「入学の容易性」である。一橋MBAや早稲田MBAなどの高名なプログラムに比べ、NUCBは入試の倍率も比較的低い(公表していない)。入試回数も多く、春と秋に入学の機会があるため、入学の敷居が低い。
以上の理由により、NUCBは、私にとって魅力的な大学院であると結論する。特に、教育の質と柔軟な入学制度は、社会人大学院としての魅力を高めている。

正直に言うと早稲田ビジネススクールには憧れていたな・・。

(次回に続く)

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