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#13 授業の実態と疲弊する先生たち

定期考査の時期になりました
新学年の初めての定期考査。
日々の授業の成果を発揮してくれるのか…



生徒は「テスト勉強」の成果を発揮してきます。

今回はそんな生徒たちと対峙する先生たちの姿を考察していきます。

この内容は中学、高校段階の授業について述べていきます。

授業とテストは別物?

私たち教員の本業である「授業」、その定着度を測る「定期考査」

その二つは切っても切り離せない関係のはずです。

私の担当教科の国語でも、教科書本文について創意工夫をしながら「わかる授業」を目指しています。

そして生徒によく言われる言葉がこれです。

「本文を読むのに時間が掛かって、解く時間がなかった」

おかしいぞ。
ほとんどの授業で50分×4時間も本文を読んでいるのに。
嫌といわれようが、「本文読み」の時間を取っているのに。

はじめてその本文に出会うわけではないでしょう?

悲しいかな、現状はそうなのです。

授業でやった本文を、なんなら問題を、初めて見るかのような反応を示す生徒たち。
特に古文範囲においては、それが顕著になります。

ここから見えてくる、生徒たちの姿が
授業は授業。テストはテスト。

授業中にやった本文でさえも内容をほとんど説明できない。

確かに、生徒たちは週30コマ程度の約10科目くらいの授業を日々受講しているわけで、「知識の抜け」があるのはわかる。
高校時代に、我ながら良くやってたなとも思います。

しかし、それでもある程度は、授業中にやった内容くらいはわかるでしょう。

テストのために勉強をする。

彼らは、出席日数のために学校に来ます。
そして、テストのためにテスト勉強をしています。

教員にとって、授業とテストが「教科指導」という一つの業務だとしても、生徒たちにとって、授業とテストは乖離しています。

ある時、持ちクラス全員に簡単なアンケートを取ってみました。
質問内容は以下の通りです。

  1. あなたは普段、授業以外に1日にどの程度勉強をしますか?
    ①1時間以上
    ②30分くらい
    ③全くしない

  2. テスト期間中、どんなテスト勉強をしますか?
    ①授業の復習をメインに
    ②テスト範囲をゼロから
    ③全くしない

  3. 【自由記述】どんな方法のテスト勉強をしていますか。また、「全くしない」のはなぜですか?

40人×5クラス分ですので、一概に全ての高校生がとはいえませんが…以下が結果です。

  1. あなたは普段、授業以外にどの程度勉強をしますか?
    ①1時間以上
     ……28.6%

    ②30分くらい
     ……41.3%

    ③全くしない
      ……30.4%

  2. テスト期間中、どんなテスト勉強をしますか?
    ①授業の復習をメインに
     ……26.3%

    ②テスト範囲をゼロから
      ……71.5%

    ③全くしない
      ……2.2%

1の質問に対しては、まあこの程度であると予想はつきましたが、2の質問は正直びっくりです。「全くしない」は置いといて、質問内容が曖昧なので仕方がないですが、ゼロベースから学習をしている現状が少なからずいる事実は、「授業」の意味を疑わせます。

次に、気になる3の自由記述から抜粋します。
まずは「全くしない」の理由から。(原文まま)

  • やる意味ないから

  • 何からやったらいいかわからん。

  • やっても点数あがらん

らしいです。笑

では、残りの回答(抜粋、一部改変)です。
大体3つに分類されます。

授業で使用した教材で復習

  • ノートやプリントを見て、板書を見返して復習します

  • 板書事項と教科書を見比べて、勉強

独自の方法、教えてもらう

  • とにかく紙に覚えるまで書く

  • 塾の先生に聞きます

  • 先生や友達にはじめから教えてもらう

  • 赤ペンで書いたやつを赤シートで隠して勉強

インターネットの利用

  • ネットで検索して、解説を見る

  • YouTubeで勉強しています

  • ノートとプリントを見ながら、解説動画を見てる

  • YouTubeがわかりやすい!!

こんな感じです。
ここで気になるのは、やはり「YouTubeで勉強する」ということでしょうか。
結構な回答数がありました。
私個人的には否定したいものではありませんが、正直鼻につきます。

テスト対策動画の存在意義

試しに生徒のお薦めするYouTuberを教えてもらい、視聴してみました。

正直な感想を…

授業内容を薄めた感じ。です。

動画の特性上、連続性のあるものではないのは仕方がないですが、学校の授業と比べ、とにかく薄味。ただ本文の解説をしたものも多くありました。

ただ、悔しいのは、それを見た生徒が「わかりやすい!」と言っていること。
何なら、これを見ておけば授業を受けなくても、ある程度はテストの点が取れてしまうこと。

それもそのはずです。
そのYouTuber達は、それを売りにしたいのだから。
しかも、生徒たちは「テスト勉強」ができたらいいのだから。

それが「存在意義」なのでしょう。

授業の存在意義

テストの点さえで取れれば、いいんでしょう?と生徒に言われた時ことがあります。

きっと、そう勘違いしている子も少なくないのでしょう。
そう簡単な話なのでしょうか?

私たち教師は、その科目を「修得」させるために「履修」させます。
生徒も「履修」しなければ「修得」できません。

あえて、難しく表現しましたが、
日々の「授業出席」が「履修」で「成績獲得」が「修得」です。
学校によって「履修要件」や「修得条件」は異なります。

では、授業の存在意義とは。

それは、「出席」したかどうかです。

どれだけ授業で不真面目であろうが、理解してなかろうが関係なく「出席」になります。
そこで変わるのは「成績」の良し悪しくらい。

生徒が言っていた言葉はあながち間違いではないということです。

基準以上の出席とテストの点数を取る。

これが成績を貰える方法です。
貰えるだけですけどね。

「そこ」で勉強をしない生徒たち

だからこそ、こんな生徒が現れます。
授業は出席するが、授業中に勉強しない生徒
です。

何のために学校に来ているのか不思議でたまりませんが、こんな生徒が一定数いるのが現状です。

授業は出席するが、授業中に勉強しない生徒の姿を挙げるなら、こんな感じでしょうか。

  • 睡眠(居眠り)

  • お絵描き(落書き)

  • 次の時間の小テストの暗記

  • 他の科目の課題をひたすらやる

集中できていない生徒の典型ですね
僕にとってもいい思い出です笑
これをたまにやるのは仕方がない。と少し割り切っています。

しかしここで問題になるのは、こんなことを「毎時間」「全ての授業」でやる生徒がいる。ということです。


わからないから集中できない。
集中できないから、授業とは別のことをやる。
その時間の授業の内容はわからない。
次の時間に、前の時間の内容がわからないから着いていけない。
だからわからないから集中できない……

そんな生徒が陥っているのがこんな状況です。

いわゆる「負のスパイラル」。

そんな生徒を「掬い出す」のが教師の腕の見せ所なのですが、教室にいるのは、そんな生徒だけではありません。

真面目に「勉強」している生徒もいます。
板書を写すだけ写して「勉強」した気になっている子もいます。

教室にいる生徒の全ての状況に合わせるためには、相当な準備と覚悟と技術が必要です。時間も必要です。

しかし、そんなこともお構いなしに、テストの時期はやってくる。校務分掌などの別の仕事も舞い込んでくる。

そして教員は疲弊していくのです。

後書:疲弊しない為に出来ること

本業であるはずの授業。
そんな授業で疲弊していく教員。
それが仕事なので、疲れるのはわかります。

しかし、心まで蝕まれてしまう教員が後を立ちません。

教員が授業をしっかりやろうとも、生徒の主眼は「テスト」の点。

テスト勉強さえできればいい。
テスト勉強なんて後からやれば大丈夫。
だって、教えてくれる人が、道具があるから。

非情にも生徒たちからその態度が伝わってくる時に、日々の授業が徒労にも思えてきます。

そうなって悩み始める前に、授業中に「遊び」ましょう

全部の授業をかっちりしっかりやってては身も心も持ちません。

テスト範囲が終わらないから
入試があるからここまではやらないと

と「計画的」に全部の授業を「有意義」しようとするから、疲れちゃいます。
疲れて、心と体が動かなくなっては、元も子もありませんので…
すでにその時は、計画が破綻してしまっているのですから。

そんな教員こそ、授業中に遊んでみてください。
遊ぶ時間なんていくらでも創出できます。
生徒たちは、いくらでも自分で勉強できるらしいので。

学校で全部を教える時代は終わり、テスト対策YouTubeのように学校外の学習コンテンツが「無料」で転がっています。
時には紹介してもいいかもしれません。内容の精査は必要ですが。
それでテスト範囲を終わらせてもいいと思います。
(私自身、内容が薄いと文句を言っていますが笑)


計画的に「遊ぶ」授業を設定してみてください。
疲弊してしまうその前に。
ただし、他の教室に迷惑がかからない程度でお願いします。笑


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