何のために旅行先で写真を撮るのか
今の時代、旅行に行ったら皆たくさん写真を撮ると思う。
一眼レフでちゃんとした写真を撮る人も多いけど、やっぱりほとんどの人はスマホで撮りまくる。
サッと取り出して片手ですぐ撮れるのは、本当に楽だ。
光も色も構図も、後で補正してしまえばいい。すごい時代だ。
僕は基本的に、自分の写真を積極的には撮らない。
もちろん、たまには連れが撮ってくれることもあるし、グループで旅行に行けば記念に集合写真も撮るけど、自分で自分を撮ることはまず無いよね。
で、この前の旅行中にふと思ったわけ。
いったい何のために写真を撮ってるんだろうかって。
だって、自分が映ってない写真なんか自分が撮る必然性が無いじゃん。
いや、そりゃ何かの特別なタイミングだったら別ですよ。
滅多に人が訪れない秘境の風景とか、たまたま偶然が重なってできたおもしろ写真とか。
でも観光名所に行ったら、普通にそれ単体で撮るじゃん。
自由の女神に行ったら、とりあえず「おお、自由の女神だー」って言いながら撮るじゃん。
ネットに山ほどあるのに。
有名な観光地だったら、プロが撮ったのも素人が撮ったのも、今の時代、腐るほどネット上にあるわけですよ。
だったら、わざわざ自分がそれを撮る理由なんてないけれど、でもとりあえず撮るじゃないですか。
アリバイ工作にすらならないっていうのに。
まあ、多少はいろいろありますよ。
後で思い出すためとか。
インスタに投稿してドヤ顔するためとか。
とはいえ、結局のところ、「あの人」に見せるためなんだろうなあと。
本当は一緒に来たかったけど、本当は一緒に同じ景色を見たかったけど、連れてこれなかった「あの人」に、せめて後で写真を見せたいんだよね。
遠い旅行先で、不意に現れた景色を前にして、
「ああ、これあいつに見せてやりたいなあ」なんて思ったら、たぶんその人のことが好きなんだよ。
たいたい、そのときはじめて気付くんだよね。
やかましいわ。