アール・ブリュットについて考えるために③:ヘンリー・ダーガーの本とDVD
ダーガーの作品は、正直言ってあまり好みじゃなかったんだけど。というのも、「拙さ」がまず先に目に飛び込んで来てしまうような気がしたんだよね。
でも、アール・ブリュットの「発見者」たるジャン・デビュッフェの、
「われわれには、もっと波乱に満ちた海原を、はるか遠洋をめざす大航海をとっておくことにしよう(・・・)たとえそこに、「初歩的で未熟な」要素があろうと意に介さない人々(・・・)のためにとっておくのだ。むしろ彼らは、作品にそうした初歩的要素があることを、作者に感謝するはずである。」
という一文で、そう、これだけで見方は変わるし、そのうえでしっかり見ていくと、まるで戦争映画のワンシーンであるかのような躍動感を、作品の中に発見できたのでした。人物が、どれもこれも「アクション」しているところが描かれていて、動かないモデルをうつしとったものじゃない。
そうそう、ドキュメンタリーのなかで、ダーガーが戦争のニュース映画をみていたことがとさらりと示唆されていた。映画誕生の時代に生を受けた人間のまなざし。と言ったら深読みに過ぎるかな?
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