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シンエヴァ、1つの青春の終わり。イラスト付レビュー


注意!

このお話はただいま公開中の「シン・エヴァンゲリオン劇場版:||」の盛大なネタバレを含みます!

鑑賞予定の方、ネタバレは嫌だという人はお気をつけください!

あと、映画本編を思い出し描きしたイラストを含みます!

イメージが崩れる!と感じる方はブラウザバックしてください!


昨日観にいってそのままのテンションで書いています!

考察は全く書いてません!本当にただの感想です!

これ書き上げたらいろんな人の感想、考察見まくります!



楽しかった運動会、みんなで還ったL.C.L融解

私が中学生、今から15年くらい前。

今ほどアニメ文化が市民権を得ていない時代にしては珍しく、私の中学校はアニメ好き、漫画好きがたくさんいた。

テレビ版公開当時は3歳くらいで所謂「エヴァが青春直撃世代」ではないけど、周りがそんな環境だったのでエヴァンゲリオンに興味を持つのは必然でした。

「旧劇場版」(新劇がまだ出ていない頃ですがわかりやすさのため旧劇表記)を観たことにより、私にとってエヴァの存在が強大なものになりました。

明かされなかったテレビシリーズの補填、それは私が思いもしないスケールで人間の内面性を描き、人間とはの哲学に至り、そして神話へ。


旧シリーズは今でも、私自身を構築する揺るぎないものの一つです。

序の公開から14年。

とびっきりのおしゃれをして新宿へ。



目から摂取するタイプのタバスコ

ビジュアル面は、映画全編通してさすが庵野秀明監督…といった演出盛りだくさんでした。

すべてのシーン、丁寧に時間をかけて練りに練って制作したんだろうなというのがひしひしと伝わってきました。
前作Q以上の挑戦的、未来的表現で、「よ〜こんな表現できるな〜すげ〜な〜製作陣みんな天才やな〜」とバカみたいな顔で思ってました。

パリの街並みひとつとっても、幾何学模様のようなエッフェル塔のアングル、それが現実ではありえない色味で表現されています。

今作は美しい原風景の村の描写があるのですが、そこにもニアサーの脅威が隣合わせといった感じとして、電車や破壊されたビルがホログラムのように村に浮いている、ネルフの廃墟、村の端にある相補性L結界浄化無効阻止装置、その先はコア化が進む真っ赤な世界、首なしエヴァ。

この違和感がしっかり表現されていてもうたまりません。

全く飽きさせない画面の面白さがシンプルに刺さるので、上映中一回もスクリーンから目を逸らしませんでした。全てを脳に焼き付けました。

機械の細かい動きはエヴァ全部通してすごいのですが、今回も例に漏れずメカメカしくて非常に助かりましたね。

そして戦闘シーン本当にかっこいいです。
カメラアングルぐるんぐるんで、効果音、BGMなど全部隙がなく没入感半端ないです。
目がジッッガジガして脳みそにダイレクト描写されアドレナリンブッパです。

ヴンダーと冬月率いるエアレーズングの戦闘は庵野さんこれやりたっかたんやなぁ〜(笑)みたいなのが露骨に分かる演出もありますww

自然の音、足音、戦闘の音、布が擦れる音、すべての音が効果的で綺麗でこれがまた世界観にグッと引き込みます。


(唯一のギャグシーンはマイナス宇宙をテレポートしている13号機に乗るゲンドウのみです)





世界の美しさを描ききった先

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何よりびっくりしたのが「第3村」ですね。ここにきてこの感じ?という驚き。
しかしこのパートがシンエヴァのとっても重要なパートになります。
村、人間、子供達、全部現実的に描いていて日本人が思い浮かぶ美しい田舎の原風景まんま。

黒レイが人と触れ合い心を育てていき、感情が芽生え始める美しいシーンの連続。

廃人化したシンジくんの成長。


このパートで人間の営み、美しい感情、希望、未来、を意識させてからの後半の戦い、破壊、終焉、恐怖。村で描いた美しさが、ゲンドウが行おうとしている人類補完計画とのギャップになってとてもよかったです。

まだ希望はあると言っていたカヲルくんの言葉を思い出します。


ここをじっくり丁寧に描いたのは本当に素晴らしいです。
Qでなんとなく置いてけぼりになったところをこのパートでゆっくり引き戻してくれた感覚もあります。



そして懐かしのメンバーを紹介するぜ!と次々にクラスメイトが登場するシーンは胸熱…みんな!生きとったんかワレ!

んでケンスケよ…お前…やりやがったな!!
アーーーーそこくるかって感じでめちゃくちゃいいです!最高ォ!!

アスカはケンケン呼びで、裸のアスカを見ても動揺せず大人な対応のケンスケ。これはもうね、確定ですよ。

ケンアスをpixivで漁る日々の始まりです。

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アスカが腹を立ててシンジくんにレーションを無理やり食わせるシーン最高でしたね。
シンジくんの他人を怖がる気持ちを大人たちは、ほっといたらその内元気になるよ、というけどアスカだけはそれを許しません。
アスカとシンジくんはこの感情のぶつかり合いが最高なんです。
やっぱりオリジナルアスカと比べても根本的な性格はあまり変わってなさそう。

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深々度ダイブ用耐圧試作プラグスーツをきて移動するマリとアスカのシーン好き。


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船の上の同窓会


最後の戦いに向けてはキャラクターそれぞれの気持ちの描写が増えていきます。

このあたりは旧劇と対比的な部分が多いなと思います。


女を捨て、研究者として生きることを選んだリツコさん、旧劇では叶わなかったゲンドウに鉛玉をぶち込むことに成功します。
旧劇だとナオコとリツコはゲンドウに振り回され欲と嫉妬に溺れ死んでったた女って感じでしたが、新劇はゲンドウとリツコの愛人関係は一切描かれていない(はず)なので、躊躇なく撃てたのかもしれません。震えてましたが。

シンジくんを見送るミサトさん。
ここも本当に良かった。

「艦長」ではなく、一緒に暮らして一緒に戦ってきたミサトさんとしてシンジくんと対等に会話していた。
旧劇のように大人のキスはなかったけど、抱き合う二人が今までの距離を溶かした気がします。ミサトさんはずっとシンジくんを信頼していたんだと。
この別れは旧劇になかった希望を感じました。

あまりにも悲しい別れだった旧劇を思い出し、この希望に感涙しました。
このあとのシンジくんの顔がもう男前のなんの。
また旧劇との比較になりますが、もう全く顔が違うのです。

戦いに向かう気持ちも、理由も全部違うのです。

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さらば、全てのエヴァンゲリオン


そしてゲンドウの生い立ち。
ここまでのゲンドウの発言ってずっと「ここまでは想定内だ」「あらゆる存在は道具に過ぎない」とかばかり言っていて、なかなか心情描写がなかったのですが、終盤でゲンドウのことが語られます。

目的は旧劇から変わらず、「ユイとの再会」
人間を魂だけの一つの生命体に昇華させそこでユイと再会する。
ATフィールドがない、貧富も差別も戦争もない単一で浄化された魂だけの世界。これがゲンドウの望む世界です。

旧劇にはなかった素晴らしいことの一つに、直接シンジと会話しているということ。
「一人でいたかったが、ユイと出会い、ユイを失って、初めて一人の辛さを知った」
この気持ちをシンジくんに直接吐露したことでお互い理解し合えました。

そしてシンジくんと心の隔たりがなくなり、シンジくんの中?初号機の中?にあるユイの存在に気づいたのです。

「そこにいたのか、ユイ」


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旧劇だと結局人類補完計画はなされてしまい、シンジくんと深く理解し合えないままゲンドウは死にます。

ユイの存在だけを求めていたのは旧、新と変わらないですが、シンジくんの中にユイの存在を見つけたことがゲンドウにとっての救済です。
拒絶し、恐れていたシンジくんの中にずっといたんですね。

このあたりから感極まり興奮し過ぎて鼻息がすごかったと思います。


また自分の命と引き換え最後の希望である「ガイウスの槍」をシンジくんに託し、ミサトさんは死にます。

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シンジくんはミサトさんの死を察しながらも、託された思いを果たそうとします。

ここも旧劇と違うところですね。
旧劇だとミサトさんが命がけで逃がしてくれたことが受け止められず泣きまくり、嫌々初号機に乗り(初号機が動き中ば強制)、人類補完計画へ。
その中で「他人は怖いし嫌だけど、それでも人がいる世界を望んだ」結果が旧劇のラストです。

シンエヴァのシンジくんはしっかり人の思いを受け止められる人間になったんですね。

このエヴァンゲリオンの世界では人間は「使徒に地球を譲り、滅ぶ」or「人という存在ではなく一つの完全生命体となる(ATフィールドの消失、魂の補完)」しか道がないんですよね。
ユイは人間がいた証として初号機に残り続けています。
誰よりも人間の可能性、創造性を信じてこの選択をしたんですね。

ミサトさんがガイウスの槍をシンジくんに託したのを見て


「ついに人類はここまできたよ、ユイさん」


とマリが言っていました。
んもう私は震えが止まらずハンカチで鼻を押さえつけていました。

シンジくんが望む世界は

「エヴァのいない世界」

最後は初号機の中にいたユイがシンジくんの代わりをつとめます。

エヴァがいなくなることで魂を補完する概念がなくなり、体と魂の分離が起きず一人の「人間」として存在できるようになる。と考えたらいいでしょうか。
新たな槍の誕生により、新しい世界を造り直したって感じでしょうか。


私たちの生きている世界のように、他人がいて、友人がいて、家族がいて、恋人がいて、嫌なこともあれば、嬉しいこともあり、残酷なこともある。

シンジくんは、多様な人間の中で辛くても苦しくても人として生きていくことを選んだんです。


最後に行き着く考えは旧劇と変わらないけど、そこに至るまでのシンジくんの心情が違いますね。


あと過程も違うので違うエンディングになったんですね。


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青い海を見た少年は何を思う


もう処理が追いつかない展開に目が霞んでいました。


シンジくんによって新しく作られた世界は私たちの住む現実世界とまるで変わりません。


電車を待つシンジくん、向かいのホームにはレイとカヲルくん、アスカ。


シンジの元にマリがやってきて二人で手を繋ぎ駅を出ておしまい。


旧劇になかった完全なる新世界エンドで新劇場版シリーズは幕を閉じました。


最後のシーンに描かれていなかったキャラクターはどうなっているのか、シンジくんたちの関係性は、など考えたらきりがないのですが、それよりも、シンジくんたちがエヴァのいない世界で一人の人間として生きていることが嬉しかったです。

スタッフロール流れてほしくないな〜と思いました。
もう少し、この新しい世界を見せてくれと。


えもいわれぬ感情によりスタッフロール中は呆然と流れる文字を眺めていました。

終わったなー、14年待ったなー、やっと終わったんやなー、シンジくんたちもこの終わりを待ってたんやなぁ〜ということをぼーっと考えていました。

なんという種類の感情なのかわかりませんが、おそらくもうこんな気持ちになることはないやろな〜と思います。


「終劇」


真っ白なスクリーンの光が気持ちよかったです。

光を目に閉じ込めるようにギュッとつぶりました。

この体験を光と一緒に脳に染み込ませようと思いました(笑)

そんなことを考えてたらシアターの明かりが灯り始めました。

みんなたっぷり10秒くらい固まっていた気がします。

私も席を立つことができず終わったと実感するまで時間がかかりました。

帽子をかぶってまだ震えている手でバッグと、上映前に買ったパンフレットを持って家路に着きました。



旧劇を超えることはないと思ってました。
新劇でゴリッゴリの設定が一気に増え、みんなであーでもないこーでもないと考察し合うのが新劇の主な楽しみ方だと思っていました。
だから旧シリーズほど自分の内面をえぐってくるような、感情が揺さぶられるような、そんな作品の毛色ではないと思っていました。

でもやっぱりエヴァですね。

あの複雑で謎の多い世界観から、よくあのエンディングに落とし込んだと思います。

しっかりキャラクターの内面も描いてくれたし、旧劇にはなかった気持ちよさがありました。
愛がある、哲学がある、そんな作品だったと思います!
私の大好きな旧シリーズ、人間と向き合うことの大変さ、理解されないことの苦しさ、心の葛藤、そもそも人間とは?他人とは?自分の存在って?
見直すたびに違う答えが出る不思議な作品です。
自分の今の環境や考え方で感情移入するキャラクターが違ったり、違う哲学が見えてきます。

新劇も自分にとってそんな作品になったと思います。

過程やエンディングこそ違いますが、旧シリーズとは違う新たな価値観でエヴァンゲリオンが昇華したと思います。

この体験をずっと大切にしたいです。

本当に最高の作品!

もう思ったこと殴り書きしたので、これからゆっくり各キャラクターを見つめ直していきます。

まだまだ考察したり、エンディングの妄想したり、忙しいですね!


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