見出し画像

アフリカを知って、日本を知らなかった

オーストラリアから帰国後、約1年大学院で学ぶ。

1年も経つと、やりたいことができる。

「アフリカで働いてみたい」

このときには自惚れも大きかった。自分は海外で活躍するんだから、当然海外インターンくらい経験しとくべきだ。


いくら探しても、アフリカでインターンを経験できる企業もプログラムもなかった。途方に暮れて先生に相談すると、「こっちから直接メールしてみては?」

都市づくりと関係の深い建設コンサルタント業界で、アフリカでの実績のある企業に片っ端からメールした。「アフリカでインターンできませんか?」

その積極性のかいあり、ある企業のもとでインターンさせていただいた。メールをしてから1~2ヶ月後には、私はエチオピアにいた。


詳しい仕事内容は割愛するが、エチオピアについてご理解いただきたいことがある。

エチオピアといえば、世界最貧国でマラリア等の病気が蔓延し、先進国の支援を必要とする途上国のイメージがあるかもしれない。

しかし、今やエチオピアはアフリカ有数の経済大国である。

道路や衛星環境、治安等に課題はあるものの、人々は郊外の集合住宅に住み、車での生活が当たり前。地方格差は激しいが、都市間を結ぶ鉄道が整備されている。

田中角栄が日本列島改造論を掲げた、日本の60~70年代にそっくりで、まさに高度経済成長期である。

日本人の抱くアフリカのイメージはかなり古いものになっているが、このあたりのことは、白戸圭一氏著の「アフリカを見る アフリカから見る(ちくま新書)」を参考にされたい。


アフリカで最前線の状況を肌で感じられたことは貴重な経験になった。しかし、だからといって自分の人生の中で意味があったとは言い難い。またしても、思ったことが1つある。

ギリシャ人の航空整備士と食事をする機会があった。彼は僕が日本人ということで、趣味であるアニメの話をたくさんしてくれた。

しかし、かなりマイナーなアニメで、私が知らないというと、「何で知らないの?」とかなり残念そうだった。

たかがアニメとはいえ、私以上に日本のことに詳しい彼。

私はどれだけ日本のことを知ってるんだろうか?

情けなさと同時に妙な違和感を覚えている。


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?