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駅や電車で一時保育

 

駅や電車を「保育園」にする試み「駅いく」

 一時保育の予約サービスを提供する会社と鉄道会社が提携し、駅や電車を保育園として活用する新しい試み「駅いく」が始動しました。このサービスは、電車好きの子どもたちに特別な体験を提供しつつ、保護者にも自由な時間を提供することを目的としています。5月18日には、東急世田谷線で初の実施が行われ、多くの親子連れが参加しました。

親子で楽しむ「駅いく」の一日

 その日、世田谷区太子堂の三軒茶屋駅近くのビルに集まった親子連れは、まず受付を済ませ、親は自分の時間を過ごすために街へ出かけました。年中と年長児22人は、保育士4人と共に貸し切り車両に乗り込み、景色を楽しんだり、運転席をのぞいたりしました。また、クイズや車内アナウンスの体験もあり、三軒茶屋から下高井戸までの往復を楽しみました。その後、ビル内の会議室に戻り、駅員への質問や塗り絵、記念撮影などを行い、夕方まで楽しい時間を過ごしました。

 参加した目黒区の斎藤陽太郎くん(4歳)は「電車が好きなので楽しかった」と笑顔で語り、母親のしずかさん(30歳)も「母娘でゆっくりでき、息子も笑顔。みんなが満足できる時間になりました」と喜びました。

 新たな保育サービスの発展

「駅いく」を初めて実施した東急の担当者は「子どもたちが心から楽しんでいた。今後も鉄道会社ならではの『預けたくなる保育』を提供していきたい」と話しています。この取り組みを主催したのは、一時保育の検索・予約サービスを提供する「grow&partners」です。同社代表の幸脇啓子さん(45歳)は「子どもたちに特別な体験を提供し、鉄道が保育と学びの舞台になれば。育児をもっと楽しく、幸せにしたい」との思いを語ります。

 幸脇さんは自身の育児経験から、一時保育の必要性とその利便性を強く感じ、LINEを使った一時保育の検索・予約システム「あすいく」を開発しました。現在、都内を中心に約80の保育施設が登録しており、多くの親子に利用されています。

 社会全体を「園庭」に

幸脇さんは、9年前に長男を出産した際、育児の負担と罪悪感を感じながらも、実家に預けて自由な時間を得たことで、育児に対する見方が変わりました。この経験を元に、一時保育の必要性を感じ、システムを開発しました。昨年6月には、JR東日本の子会社とコラボし、上野駅で初めて「駅いく」を実施しました。今年はさらに東急、小田急電鉄、西武ホールディングスも参加し、実証実験が行われています。

 幸脇さんは「親が罪悪感なく自分の時間を持つことが、子どもに向ける笑顔につながる」と強調し、今後も一時保育の場を広げ、社会全体を子どもたちの「園庭」にしていきたいと考えています。この新しい取り組みは、育児の新しい形を提案し、多くの家庭に喜びと安心をもたらしています。

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