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自分を正しく評価する(国際感覚をもって働くということpart.2)

以前、「国際感覚をもって、働くということ」をテーマに、外国人社員に対して、必要以上に「特別」というレッテルを、日本人社員が無意識に貼っていることが気になり、国際感覚をもって働くということは、ナショナリティでカテゴライズせず、すべての人に平等な環境を与えることだという記事を書いた。

今回は、仕事で採用を担当する機会があり、その時に目立った「謙虚さ」について、書きたいと思う。

わたしは仕事で英語メディアの運営を担当している。いわゆる編集長みたいな仕事をしているのだが、先日既存ライターが辞めてしまったため、新しく採用することになった。
そこで新規ライターの募集をかけたところ、送られてくるメッセージの中で、少し驚いたことがあった。英語で募集文を書き、ある程度の英語力を持った人しか応募できないよう、フィルターをかけたにも関わらず、「わたしは英語があまり上手くないのですが…」「英語が上手くなりたいので…」「英語は自信がないけれど、頑張ります!」など、いや、これ採用する側だったら絶対に採用しないのわかるでしょ!と言いたくなるような、自信なさげなメールがあまりにも多かったのだ。
結局、英語がネイティブのアメリカ人を採用したのだけれど、日本人特有の謙虚さというか、自分の能力をあまりに低く評価する姿勢は、正直もったいないと思った。
というのも、そうやって「英語は上手くないのですが…」という一文がなければ、全然違和感もないくらい、英語に問題がない人がほとんどだったからだ。
そもそも、「わたしの英語は…」と前置きをおかなくても、やりとりを英語で行うことで、採用側はその人の英語力や語彙力をはかっている。
いざという時の言い訳や保険みたいなものなのかもしれないけれど、自信がない様を採用の場で表現してしまっては、せっかくのチャンスを失うことになってしまう。
英語をメインに使う仕事、または外資系の会社などに応募する場合、自分の英語力がどれだけすごいか、ということに気を取られてしまう人が多い印象を受けるけれど、「何ができるか」をまずアピールしなくてはいけない。少なくとも、今回の採用過程でわたしが求めていたのは、英語力があることはまず前提であり、その上で何ができるか、ということだった。たぶん海外経験者が多く集まる会社だったり、ベンチャー企業に多い傾向だと思うのだが、誰かに教えてもらいながらやるというよりは、自分から仕事をつくり、試行錯誤しながらチームを巻き込んで邁進する、という風土を持っていると、「英語が上手くなりたいから」では当然採用には至らない。これはよく考えると普通のことで、英語が上手くなりたいなら自分がお金を払って学校に行けばいいのであって、会社がお金を払ってまで自分を採用したいと思わせる根拠こそが、用意しなければいけないものなのだ。特に、お金にそれほど余裕があるわけではない中小企業には、新人社員にゼロから懇切丁寧に教育できる時間もお金もないのが現状だ。
しかしこのような考え方は、海外で働く場合(わたしはアメリカしかあまり知らないのだが)にも通じると思う。そして英語で転職活動やフリーランスの仕事を探す場合にも、自分を正しく評価し、それを相手に伝えることが重要になってくる。そこで謙遜の姿勢を持つことは、必ずしもプラスにはならないし、出来ることは出来ると、素直に言うべきなのだ。自分で自分を評価したときの基準や証拠(分かりやすい数字や経験)を用意しておけば、説得力もある。

自信があることと、威張ることは違う。自分の実力を正しく理解することと、自慢することもまた違う。それを頭の中で勝手にごっちゃにしてしまう人が、多いのかもしれない。

極端な話、「こんにちは」と「ありがとう」が言えるだけで、「日本語が話せます!」と胸を張る人だっている。そんな大胆な姿勢が必要な人が、まだまだ日本にはたくさんいるように思う。


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