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勝手に読後レビュー【爆弾】 〜フィクションである事が唯一の救い〜

どうも、みことのは です。
【このミステリーがすごい!2023】の国内第1位、呉勝浩先生の【爆弾】を読ませて頂きました。2023年度版は、気にはなっていたけど読んだ事の無い作品も多かったので、第1位から第4位くらいまでは読んでみようと思っています。

本作【爆弾】は、2022年4月に発売されたミステリー小説。全編分厚く400ページを超える長編大作で、正直『読み切れるかなぁ・・・』と思っていましたが、なんと3日で読了してしまいました。

それくらい、面白いです!本当に面白い!

ですが、個人的な読後感は【フィクションで良かったぁ】です。この結末に納得しきれていない自分もいます。が、フィクションと割り切らないといけないくらいに、感情をのめり込ませてしまいました。

袖を引っ張られて引きずり込まれる没入感とでも言えば良いのか・・・。

今回も、なるべくネタバレにならない様に勝手にレビューを書いてみようと思いますが、ストーリーに触れる事もありますので、その点はご容赦くださいませ。

・簡単なストーリーの流れ


事件は、小さな小さな火種のように始まります。

酔っぱらった中年男性が、夜の繁華街で自販機を壊そうとし・・・そのうえで酒屋の主人と揉めて、知らせを受けた警官と共に事情を聴くために警察署へ。

小さな傷害事件。そんな印象で始まります。
傷害事件の被疑者である、酔っ払いの中年男性の名前は、スズキタゴサク。

ん?スズキタゴサク?本名?

ここから少しずつ、何かが少しずつズレていきます。おかしくなっていきます。スズキタゴサクの口から発せられる【十時に秋葉原で爆発があります】の言葉。予言?ブラフ?

そして、それが実現した瞬間から幕を開ける、小さな取調室で繰り広げられる、まだ見ぬ爆弾をめぐる攻防戦。

人質は東京、どこに?何個?知っているのは目の前のスズキタゴサクだけ。相手は目に見えない症状を盾に、関わる全員を手玉に取ろうとしてきます。・・・憎たらしい不敵な笑みと共に。

日本の警察の内情のドラマと、交渉・会話・駆け引きのオンパレードで織りなすサスペンス。このミステリーがすごい第1位の称号は嘘じゃないと思います。

・本作のミスとリー小説としての醍醐味・感想


本作は、いわゆる推理探偵が活躍する様な作品ではなく、もう少しリアル側に振ったミステリーだと思います。

どの辺がミステリーなのか?
スズキタゴサクの言葉1つ1つであったり、登場人物1人1人の思惑や過去であったりしますが、最大のポイントはタイトルにもある通り、【爆弾】です。

東京のどこに何個仕掛けられているのか?
誰が仕掛けたのか?目の前のスズキタゴサク?
そもそも、スズキタゴサクって誰?何?

密室トリックも古びた洋館も出てこない代わりに、見知った地名や駅名が出てきます。なので読み進めるにつれ、『これはフィクションなのか?』と境界線を見失いそうになります。だから余計に登場人物に感情移入しそうになります。

本当に面白い!ですが私は感情移入し過ぎて、結末にスッキリできず、自分自身の【善悪】の価値観やボーダーラインが、この【爆弾】という小説によって、吹っ飛ばされた気分になりました。

この感情と向き合っても、フィクションだからどうにもできないのですが・・・ね。あんまり書き過ぎるとネタバレになってしまいますので、この辺で。

ご興味あればぜひ、ご一読ください。
第1位の称号は伊達じゃないと思いますよ。

では、また。
最後まで読んで頂き、ありがとうございました。

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