落語台本の部屋

素人台本作家。オリジナル新作落語台本やその解説。口演・朗読歓迎。主な作品:「吉田課長」…

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素人台本作家。オリジナル新作落語台本やその解説。口演・朗読歓迎。主な作品:「吉田課長」(第1回落語協会台本コンクール入選。柳家小ゑん師匠口演、CD化)、「タトゥーに込めた愛」(第21回入選)、「王選手」、「燃える男」(最終選考)、「訴えられたい」(三遊亭天どん師匠口演)。

最近の記事

落語台本「タイムマシン・第1号機」

「タイムマシン・第1号機」  最近のケータイの進化は凄いですね。アプリやらなんやら色んな機能がありますが、そんな携帯電話の第1号機はどうだったか、といいますと、ショルダーホンと言いまして肩からでっかいカバンみたいなのを下げてたんですね。重さ3㎏!こんなの持たないよ!なんて言われてたんですが、まあ、第1号機というものは、往々にして、どんなにすごい発明でも、こんなの使えるのかねえ、なんていうことを言われるわけでして、、、 石田「お疲れ様です!博士!どうしたんですか、急に研究室

    • セルフ解説」:落語台本「タイムマシン・第1号機」

       「数分後にしか行けないタイムマシン」というアイデアを思いつき、凄いけど凄くない!意味ないじゃん!というのも面白いかな、、、と思って執筆。  いわゆる発明モノ。出オチなので、シンプルにマシンの面白さにフォーカスしようと思い、人間(博士と助手)的な葛藤みたいなものは省いたが、案の定、「落語っぽくない」との批評を受けるハメに。コント台本、としたほうがいいのかも。  面白さには自信があるけど、発明モノで、博士と助手というベタな設定、人情の機微とかとは無縁、なので、台本コンクール

      • 落語台本「三題噺を作りたい!」

         落語に三題噺というものがあります。お客様から三つのお題をいただいて、その言葉を取り込みながら噺を作る、というものでして、有名なものでは、「酔漢」、「財布」、「芝浜」の三つのお題から作られた「芝浜」があります。三つの題をうまく使ってまして、非常によくできた話なんですが、とはいえ、三題噺がいつもうまくいくというわけではないようでして、、、。 高木「おお、近藤、悪いな、呼び出して。」 近藤「高木、久しぶり。(見回しながら)この喫茶店も久々だなあ。」 高木「同級生のたまり場だった

        • セルフ解説:落語台本「三題噺を作りたい!」

           三題噺を作るのに、変なお題が出されたりしたらいやだなあ、と思ったところから広げていって完成。途中の、三題噺大喜利、みたいな部分は楽しみながら作れた。2024年5月の作品。  台本講座での披露で、途中の難解な言葉に引っかかり思考停止する人続出。ストーリー的には必ずしも理解する必要がない言葉なのだが、そういう場合は、登場人物に「そんなものはわからないよ!」と『わからなくていい!』という情報を観客に与えることが重要、と聞いてナルホド!と勉強になった(のでその部分は加筆している。

        落語台本「タイムマシン・第1号機」

          落語台本「世紀の大発明!」

           最近の技術の進歩は凄いですね。スマホなんか、どんどん新機能が追加されていってます。なかなか追いつけません。ついこの前まで、どの家も黒電話だったんですが、若い人はそんなの見たこともないんですよね。まあ黒電話なんて、別に知らなくても大丈夫なんですが、昔のことを知らないと、おかしなことが起こってくる場合もあるようでして、、、 前田「課長、ちょっとお話が。」 課長「なんだね 前田くん。」 前田「私、すごい発明をしました。」 課長「発明!?何の話だよ。」 前田「画期的な発明ですよ。

          落語台本「世紀の大発明!」

          セルフ解説:落語台本「世紀の大発明!」

          2024年4月執筆。 「既にあるモノを、自分の発明だ!と思いこんでしまう人」が面白いなあ、と思って執筆。 「既にあるけど、若い人なんかは知らなくて、でも便利だから発明したといいたくなるようなモノ」。灯油ポンプはすぐに思いついたんだけど、それだけではねえ、と試行錯誤。  家族と話して、ウーバーイーツ(出前)が浮かんできた。家族に感謝。  書いてみて、それぞれは、単体でいい流れだと思うけど、2つの組み合わせが「モノ」と「サービス」で統一感がないし、なんだかなあ、と少し不満。

          セルフ解説:落語台本「世紀の大発明!」

          セルフ解説:落語台本「成人式で町おこし」

          2023年12月執筆 もともとは十数年前に執筆し、協会のコンクールに落選後、塩漬けされていたもの。なんとかなるかな、と思い修正し、読売カルチャースクールの天どん師匠講座に提出後、講評をもとに再修正したもの。 昔は「荒れた成人式」はあったけど、最近はヤンキーの仮装大会みたいになっていて、成人式が「荒れる」というニュースもなくなってきたので、そういう意味でも時代から遅れている感は否めない。 いろいろいじってみたものの、これ以上面白くできないなと感じ、再びどこかのコンクールに出

          セルフ解説:落語台本「成人式で町おこし」

          落語台本「成人式で町おこし」

          少子高齢化が進み、日本の人口も減ってきまして、地方都市は過疎化が進んでいます。 観光に力を入れたり、特産品の開発など町おこしの対策もいろんなものがありますが、なかなかコレ!というものがないようで、、、。 町長:困ったな、、、。 副町長:町長、どうしました? 町長:困った、、、って言ってたらわかるだろ。 副町長:はあ、、、。 町長:キミは副町長なんだから、真面目に考えろよ。我が春川町の過疎化だよ、過疎化!商店街もシャッター街。若者は町を出て、残るは老人、老人、老人、、、。 副

          落語台本「成人式で町おこし」

          セルフ解説:落語台本「万引き犯」

          2023年11月執筆 読売カルチャースクールの天どん師匠講座に提出後、講評をもとに修正したもの。 最初は「店員と万引き犯」の設定で、お互いの「内面」を交互に描くような話を構想していた。中年女性店員の説教に、万引き犯が反省しているようで実は「店員が独身か既婚か?で真剣に悩んでいる」とか、面白いかなと思ったが、考えていくうちにが、万引き犯と店員に何らかの関係性があったりすると面白いかも、となり、この形に至った。 当初、超複雑な三角関係=「男性店長と不倫相手の部下(女性店員)、

          セルフ解説:落語台本「万引き犯」

          落語台本「万引き犯」

           万引きGメンって、テレビでよくやってますよね。買い物客のふりしてスーパーの棚の陰で見張って。「今、取りました!」、「ちょっといいですか?」なんて言って捕まえて。でも、万引きっていうのは、捕まえたら捕まえたで、お店はその後も色々大変なようで、、、   店長(男性)「中野さん、今日の売り上げどう?」 中野(女性)「あ、店長、さすがに今日は厳しいですね」  店長「そうだよな。大手のスーパービッグが今日オープンだもんな、しかもウチの向いに。」 中野「完全にウチを潰しにきてますよね」

          落語台本「万引き犯」

          セルフ解説:落語台本「課長のこだわりレシピ」

           2023年11月執筆  そもそもは、「チワワ料理」を考えたが、犬好きの人を不快にさせる危険大なので、万人受け?と、音の響きで「グッピー」を採用。チワワであらかたのストーリーはできていたので、書き始めると2時間ほどで一気に書き上げた。  10月から通い始めた、よみうりカルチャースクール(自由が丘校)の「あなたにも書ける!「落語作家への道」」で提出。講義中に三遊亭ごはんつぶさんに音読してもらい、生徒及び先生(三遊亭天どん師匠)にいただいた講評をもとに若干修正。非常にありがたい

          セルフ解説:落語台本「課長のこだわりレシピ」

          落語台本「課長のこだわりレシピ」

           食べ物の好き嫌い、ある人にはありますよね。知り合いの子供で、大体のものは食べられるんですが、何故かエビだけが嫌いな子がいまして。ピラフも、エビだけはよけちゃうんですよ。でも、この前好きなお菓子聞いたら「かっぱえびせん!」。訳が分かりません。まあ、好き嫌いも人により様々なようで、、、 田中「こんにちわー、課長、今日はご自宅の新築パーティーにお招きいただきありがとうございます。」 藤巻(課長)「おー田中君、さ、あいさつはいいから、どうぞ上がって」 田中「へー、これが課長念願の

          落語台本「課長のこだわりレシピ」

          セルフ解説:落語台本「燃える男」

          2012年の落語協会台本募集に応募し、最終選考に残ったが、結果は残念!の作品。 ○できるまで  当時は協会のコンクールに応募制限はなかったので、本作を含む3本を応募したが、作成の経過は忘れた。「燃える男」が本当に燃えていたら面白いな、というところから発想した、、、気がする。 ○選考結果  今は亡き円丈師匠のHPに載っているが、本作への言及は「新入社員が、燃えるであたまが燃えてる。さあ、どうする。どうなる。」のみ。円丈師匠に言及していただけただけでも大変光栄であるが、落選の

          セルフ解説:落語台本「燃える男」

          落語台本「燃える男」

          「燃える男」 ここは、この日初出社の新入社員を迎えるとある会社のオフィスでございます。 戸田「斉藤!」 斉藤「なんでしょう?戸田課長」 戸田「今日から来る新入社員、そう、桑野君だっけか。彼、いつ来るんだっけ?」 斉藤「人事部での手続きが終わって十時くらいに来るって聞いてますけど、(腕時計を見て)もう十一時ですね。」 戸田「そうか、、、。しかし、我が営業二課にも久々の新人だな。」 斉藤「ええ、どんな子ですかね。」 戸田「やっぱさ、若い奴はさ、エネルギッシュで、熱い奴がいいよな

          落語台本「燃える男」

          セルフ解説:落語台本「お父さんのVR体験」

          2023年の落語協会台本募集に応募し、かすりもしなかった作品(>_<) 最終選考には残って欲しかったが、J実力不足ということですね。 ○できるまで  協会のコンクールに向け、VRゴーグルで何か書ければと漠然と思っていたのが、頭の中で徐々にストーリーとなり、書けそうだと思って執筆開始。書き始めてからは苦労もなく、3時間ほどで初稿完成。その後家族の感想を聞いたり、折を見て推敲を重ねて公募初日に応募!そして落選! ○セルフ解説  産みの苦しみはなかったけど、その分スケールの小さ

          セルフ解説:落語台本「お父さんのVR体験」

          落語台本「カリスマ美容師」

          2005年頃、円丈ギャグアカデミーの生徒として書いたもの。授業中に円丈師匠が読み上げて頂いた思い出深い作品。円丈師匠演じる老婆の巧さ!に感激・感心したのを思い出します。短い作品です。 「カリスマ美容師」  地方都市の一見何の変哲もない美容院。ここへ、ガイドブックを片手に若い男が歩いてくる。 男「ここだよな、、、カリスマ美容師の店って、、、。(手元を見つつ)大丈夫かなあ、この『週刊水戸ウォーカー』。だいたい、「水戸」なのに週刊の必要があるのかな、、、。」(ドアを開けつつ)「す

          落語台本「カリスマ美容師」