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ブラインシュリンプの話

ブラインシュリンプとはその名の通り塩水湖に生息する小型の甲殻類の一種です。(ブラインは「塩水」,シュリンプは「小エビ」という意味)鑑賞魚の飼育・繁殖用や水産・養殖の分野では餌として重宝されています。

餌としてのブラインシュリンプの有用性

①小さくて食べやすい
ブラインシュリンプはサイズが小さいので、メダカの稚魚でも食べる事ができます。産まれたてのメダカの針子にはちょっと難しいですが、生後10日ほどで食べる事が出来たりもします。

②嗜好性が高い
ブラインシュリンプは活発に泳ぐため、稚魚でも直感的にエサとして認識しやすく、かつ動きは緩慢なので食べやすいです。嗜好性も高いため、食いつきが良いのも特徴です。

③栄養価が高い
孵化直後のブラインシュリンプは餌を取らず、体内(ヨークサック)に貯蔵した栄養を消費して活動します。なので孵化したての幼生が最も栄養価が高い状態になります。栄養素としてはたんぱく質が比較的多く含まれている代わりに、脂質が少ない感じです。

ただし、海水魚に使用する際には必須脂肪酸であるDHAやEPAなどの高度不飽和脂肪酸不足しているので栄養強化する必要があるそうです。

淡水では、植物プランクトンや動物プランクトンに高度不飽和脂肪酸が含まれていないため、淡水魚はこれを自分で合成する必要があり、脂肪酸の1種のリノール酸とリノレン酸からDHAやEPAなどの高度不飽和脂肪酸を合成しています。そのため、淡水魚は高度不飽和脂肪酸をエサから摂取する必要がありません。

④色揚げ効果がある
ブラインシュリンプにはアスタキサンチンと呼ばれる赤い色素が含まれているので、メダカに与えれば赤やオレンジの発色が良くなります。

⑤長期保存ができる
ブラインシュリンプは乾燥した耐久卵の状態であれば長期間の保存が可能です。耐久卵は冷蔵庫にて保存するのが良いです。必要な時に孵化させて使うことができます。


ブラインシュリンプの孵化する環境

❶塩分濃度
大体2.5%~3.0%程度の濃度が適しています。産地によって最適濃度が異なりますので、使用する商品に説明書きがあれば、それが適正濃度です。

❷水温
多くのネット情報から調べると28度前後が適温とされています。水温が低いと孵化に時間がかかります。水温が高すぎると孵化率が低下したりします。

❸光量
光を当てている方が孵化率は上がります。そもそも耐久卵は、好適環境下で孵化するようになっているので、元々生育している環境を再現すると良い様です。

❹酸素
水中の溶存酸素量が少ないと孵化しません。また孵化した後も酸素が少ないと幼生が死んでしまいます。


ブラインシュリンプの孵化方法

エアレーション式と皿式の2通りの方法があります。それぞれ上記のブラインシュリンプの孵化する環境の内
❶塩分濃度 ❷水温 ❸光量 を満たしつつ、❹酸素の取り込み方に違いがあります。

⑴エアレーション式
深めの容器(市販の孵化器やペットボトルを使って自作もできます)にエアレーションで酸素を取り入れつつ塩水を攪拌しながら孵化を促す方法です。

よく見かけるコレを使用しています

⑵皿式
平べったい容器に浅く水を張って、空気中から自然に酸素を取り込ませて孵化させる方法です。(深く水を張ると水面の酸素は満たされますが、循環もしないため下部は酸素が不足するので、浅く水を張ります)タッパーなどの口が広い容器に浅く(1〜2cmの深さ)塩水を張って、孵化を促す方法です。エアレーション式より必要なものは少ないので気軽に始められるやり方かと思います。

どちらの方法をするにしても、ブラインシュリンプの卵の量は塩水1ℓに対して1gが適量と言われています。孵化させたい量や置き場所なんかと相談して選択すると良いかと思います。

僕の場合は無加温で沸かせています。なぜならヒーターを使うのが面倒だからです。照明も家にいる時しか当ててません。なぜなら家の中では水槽スペースが限られており、常に照明を当てていると飼育している生体にとって良くないからです。孵化率は多少落ちているのでしょうが、特に問題は無いと思っています。


ブラインシュリンプの給餌方法

ブラインシュリンプの分離は一番面倒な作業です。孵化後の卵と未孵化の卵は魚に与えると消化不良などを起こす可能性もある為(特に稚魚)、分離する必要があります。

分離するには色々なやり方があるので、自分で良いと思うものを選択したので良いかと。

*孵化したあとの卵は浮きます
*未孵化の卵は沈みます
*ブラインシュリンプは容器の下に行きます
*ブラインシュリンプは光に集まります

と言った様な特性がある為、それらを利用して分離する方法もあります。

僕はブラインシュリンプを沸かした後にエアレーション止めて何分待って、なんて作業が面倒と言うか時間が勿体ないので、道具を使って分離させています。

ブラインシュリンプ分離ネットなんかもありますけど、1500円〜2000円ほどするので、万が一そのネットが使えなかった場合、ただのゴミになる為、購入には踏み切れません。と言うのもブラインシュリンプは産地によって大きさなども変わってくるので、その辺が微妙だったりします。代わりに使用しているのが、ディスポフィルターなる器具です。

コスパを重視するなら最強です。ディスポフィルターは塗料を濾過する器具で、メッシュの細かさでいくつかに分類されています。僕は#100#120#135の網目のものを使用しています。

↑の感じで24時間経過したものを水道水で塩抜きしながら分離させて使用しています。塩分に関しては生体だけの水槽なら多少は問題ないですけど、水草が入っている水槽は抜いておくに越したことはありません。


ブラインシュリンプ給餌の注意点

嗜好性や栄養価が高く優れた生き餌ですが注意点もあります。
・孵化させたり、分離させたり一手間かかる。
・淡水の場合は数時間程度で死滅してしまうので、食べ残しが出ないように与えないと水質の悪化に繋がってしまいます。
・水槽内にヒドラがいる場合には、ブラインシュリンプを餌として大量に増殖する危険性があります。


ブラインシュリンプはミジンコを維持するより手間がかからないし、使いたい時に必要な量沸かせられるし、栄養価も優れているので、オススメの生き餌です。

この子は息子が夜市のメダカ掬いで捕まえた子です。
恐らくミッドナイトフリル漆黒かなと思っています。

メダカ愛好家目線でいくと、ブラインシュリンプを追いかけ回して、バクバクと喰らいつく様子は堪らないものがあります。無限に眺めてられる感じですね。

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