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【観た/2022年42本目】映画「リコリスピザ」観ました。

【感想】
「ビジネスパートナー以上、恋人未満」。
この不安定な関係を見事に映画化した、青春映画以上の青春映画。

まず脚本、ストーリー。
70年代、ロス、ボーイ・ミーツ・ガールという手堅い設定。
それを男女間の年齢差、キャリアの捉え方を軸にうまいことこじらせにこじらせ、
緩めたり崩したりしながらお話を推進していくのはさすがの手腕。
精密すぎる職人芸を味わえます。

そして演出、俳優陣。
「豪華で手堅いベテラン」と「フレッシュで危うい若手」を見事にミックス。
音楽も時代の雰囲気をきっちりと捉え、カメラワークもあたかもその時その場にいた、目撃者のような視点を持ち込んでいます。

何より秀逸なのは「走る」シーン。
どの走りにも別々の意味があり、別々の感情があり、そしていつも不格好。
ああ、そうだ、いつだて誰だって美しいわけじゃない。
青春が持つほろ苦さをこれもまた絶妙に表現していたように感じました。

強いて言うならですが

タイトルのリコリスピザ、レコード屋さんの名前らしいんですが、そのへんの意味がわかりにくい。
ロス近郊の地理がわからないとこれまた理解できないシーンが結構ある。

のはマイナスでしょうか。

それにしてもです。

16歳。何をしていただろう。
25歳。何を諦めずにいたのだろう。

もはや走ることの意味なんて健康維持ぐらいしかなくなってしまった日々に、
薄い甘みと強めの苦味を持ち込む、久々に芯を食った映画になりました。

【価点・つけるとしたら】
☆4.4です。

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