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難病の子のおともだち観

7歳息子のペグ(仮名)は難病だ。
それゆえ割と気軽に入院する。入院しないまでも病院は親戚のうちみたいなもの。
以前ちょっとだけ病棟に入ったら看護師さんに
「おっ、ペグくん、久しぶり!」
と嬉しそうに声をかけられた。ペグも「うん!」とまんざらでもなさそう。

ところで小学校に上がり、友達も増えてきた。
道を歩くと「おーペグくん!」と声をかけられることも多い。
ちょっと見た目に特徴があるので、割と覚えられているし見付けられやすいし。
校庭へ行くとペグは必ず誰かしらと遊ぶ。校庭に誰かいなくても近くの公園に行けば誰かしらいる。

「ペグはおともだちが多いねぇ」
とふと言ったら
「あいつはおともだちじゃないよ?」
と返される。大概いつでも。
「そっか、じゃあ知り合いか」
「知り合い…うん、知り合い!」
相手には聞かせられないな、と思っていた。

あるとき、
「ペグのおともだちって誰?」
と聞いたら
「うーん、お姉ちゃん!」
そっかおともだちか。お姉ちゃんはケンカするけど気持ちは通じてるもんな。
モヤモヤと思いながらも数日たち、ふと聞いてみた。
「Sさんはおともだち?」
Sさんというのは病院のスタッフさん。第二のマミーのような方で私は密かに姐さんと呼んでいるアネゴ。
「うん!おともだち!」
と真っ直ぐに答えてくれた。
ほほう、と思って聞いた。
「N先生は?」
「おともだち!」
だろうねぇ。N先生は主治医。

おそらく彼は、自分の命に真剣に向き合う人のことを『おともだち』と定義したんだ。
それじゃあ小学校の『おともだち』は『おともだち』にはならんわな。

人によって言葉の意味合いは本当に違うのね、ということを実感したというおはなし。

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