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工藤吉生歌集をもうちょい楽しむための二万字【評と初出】

工藤吉生 第一歌集『世界で一番すばらしい俺』(短歌研究社)をもうちょい楽しむための二万字です(正確には二万一千字以上あります)。



『世界で一番すばらしい俺』は本屋さんで販売されています。販売されていない本屋さんもあることでしょう。
ネットではこちらから買えます。1500円+税。

短歌研究社
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この記事の前半ではこの歌集の収録歌に対して過去にいただいた評をまとめています。主に紙媒体のものをまとめました。ネットでの評は、まとまった量があるものはリンクを貼ります。ツイッターは除外しました。
後半はこまかーい初出一覧になっております。



では前半。
歌集の収録歌について、これまでにいただいた評をまとめます。

ただし!
短歌の部分は全て【○p○首目】の形になっています。
歌集『世界で一番すばらしい俺』をご参照ください。
歌集がないと意味わからんようにしてありますが、評だけを見て作品を想像するのが好きな方はそのようにしてください。





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「校舎・飛び降り」50首

(『短歌研究』で発表したときのタイトルは「ヘ音記号みたいに」)

◇連作評

桑原正紀さん
〈次席となった「ヘ音記号みたいに」は、高校生の主人公が失恋・自殺未遂をして、この世に生きる意味を見失ってしまうというストーリーで展開される。作者が高校生にしては大人びた表現で、構成も巧みであり、ドラマチックな素材をうまくこなしている。〉

田中綾さん
〈次席「ヘ音記号みたいに」は、作中主体が男子高校生という設定。音楽部の女子に恋心を打ち明け、拒否され、校舎から飛び降りを試み、そして──という物語が、緊密に配列されている。ストーリーを第一とするあまり、事実列挙のみの説明的な歌もあったが、それをしのぐほどの物語構築の力に着目した。若さゆえの自意識との葛藤など、岸上大作の失恋詠を思わせる歌もあり、過去の秀作の鑑賞もおろそかにしない作り手と感じた。〉

時田則雄さん
〈高校の音楽部に所属する男子生徒の恋の歌を軸に詠い上げた一連。〈失恋〉、〈自殺未遂〉……。それらをみずみずしい感性でドラマチックに組み立てている。〉

※ここまで『短歌研究』2018年8月号「第8回 中城ふみ子賞」。



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「うしろまえ」20首

◇連作評

加藤治郎さん
〈相当な歌だと思うんです。【29p 2首目】こういった抽象的な歌はふつう失敗するんですけど「おそろしい形相をした歳月」って迫ってくるのが不思議な感じです。冒頭の【26p 1首目】から最後の【32p 3首目】 まで、一連を貫くこの悪夢のような感覚、なかなか迫ってきて読み応えのある一連でした。〉

岡井隆さん
〈相当な人だね、この人もね。こういうのが作れるっていうのも、羨ましいっていえば羨ましい。最初海から始まって、最後も海で終わるとかね、結構いろいろ考えてやっておられる。騙されちゃいけないよっていう感じもしないではないんだけど。読んでて何しろ楽しいっていうかな。面白かった、私は。〉

田中槐さん
〈【29p 3首目】この歌、凄いなと思う。意味がないと言われればなんの意味もないんだけど。〉

黒瀬珂瀾さん
〈【26p 2首目】にはすごく共感した。これを二首目に置ける思い切りのよさ。そこにこの人の詩精神の基礎があるのかなあ。【27p 2首目】この含羞と、自己紹介の時にも自己卑下のギャグを入れないと、なんとなく自分が落ち着かないという感覚。「おそろしい形相をした歳月が」もいい。【31p 1首目】は、ガチャなのか競馬なのかわかりませんが、ドブに捨てるようなものだ、と言いながら、そうしなければいられないんですよね。【32p 2首目】も世界の起点がある部屋、自分のいる地点イコール世界の中心、という感性がある。これで二十首まとめたのは凄い力技だなあと。読み応えがありました。〉

※ここまで『未来』2018年1月号



◇一首評

【32p 1首目】
▽穂村弘さん
〈「夜の電車の平凡の床」に臨場感が宿った。〉
「日本経済新聞」2016年2月21日「歌壇」






「校舎・飛び降り」~「うしろまえ」

松村正直さん
〈自己卑下の強さが基本的にはあまり好きじゃないんですけど、なぜ採ったかというと、最後に「校舎・飛び降り」という連作があって、結構沁みたんだすね。高校のときに同じ音楽部で好きな女の子ができて、その子に告白したんだけど、全然だめで、自分が情けなくなって、校舎から飛び降りて、という一連。そのことが作者にとって大きなトラウマになっていて、それがその後の人生に深い影を落としているということをかなり正面からがんばって詠んだな、と。歌としてうまいとかではなくて、胸を打たれるところがあって、それで5点入れた感じですね。〉
〈【27p 1首目】という歌が前半にあって、これが校舎飛び降りのことを受けてるんだと思うんですけど、作者はいま三十七歳で、十七歳のときの大きな出来事がその後の二十年間、影を落とし続けるということなんだなぁ、という・・歌としてどうこうより、そこに重みを感じて、こういうことを歌えるのも短歌のひとつの力だと思うし、「校舎・飛び降り」という連作を書いたことで、作者自身、区切りというか、それで何かが解決するわけじゃないんだけど、歌に詠めたということはすごいことなんじゃないかと、ちょっと思いました。〉
『現代短歌』2020年1月号「第七回 現代短歌社賞」



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「眠り男」15首。

◇一首評

【37p 3首目】
▽吉川宏志さん
〈「小さな」の繰り返しが印象的で、純真なまなざしで車椅子に乗った子を見つめている作者の姿が浮かんでくる。「かわいそう」と思うのではなく、小さな子の存在をそのまま受け止めている感じである。結句が「ゆっくり」で終わっているのも良く、やわらかな余情が伝わってくる。〉
『角川短歌』2012年12月号「角川短歌ライブラリ刊行記念 わたしの一首大賞」。



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「仙台に雪が降る」 30首

◇評

栗木京子さん
〈ゆるいみじめさをかかえながら、作者は仙台の冬を生きている。【46p 2首目】は三年前の東日本大震災の記憶であろう。景品の皿の無傷な白さが哀しみを際立たせ、おどけたような語調にかえって鬱屈の深さが感じられる。【42p 2首目】も、さらりと詠まれているが「ウサギとサンタ」が鋭い。軽みでコーティングされた心の叫びは予想以上に強い。〉

加藤治郎さん
〈仙台というポジションを明確に打ち出したことが新鮮であり作品の力になっている。震災が意想外の歌われ方をしている点にも注目した。【42p 1首目】とスローガンが拍に分解されていることが痛烈である。【49p 1首目】は最後の歌だが、ばらばらになった人々が空の青さを喜ぶ気持ちに束ねられてゆく。この希望が心に沁みる。〉


【48p 1首目】
▽加藤治郎さん
〈津波で流された人々を想像しました。流された人々がもう海底にいなくなった、でも、「そんな気がしてきただけさ」と言って、実はまだ流された人々の、霊魂とでも言うものがあるんだと歌っている。〉


【40p 1首目】
▽栗木京子さん
〈やや脱力のユーモアをまぶしながら詠んでいますけれども、実際にそこにずっと住んで暮らしていく人にとっては全身で雪風を受けながら歩いていくことは、がっくりするような苦しさがあるんだろうと思います。〉


【40p 2首目】
▽栗木京子さん
〈生活者としては雪をどけないと生きていけない。その点では、営業としてあやしげなことをやっていても真っ当なんだと。そこに住んでいないとわからないものだと思いました。〉


【44p 3首目】
▽栗木京子さん
〈普通に読めばパチンコの歌ですけれども、「特にあっさり消えたものへの」あたりに、震災、津波の犠牲者に対する思い、悔しさがあると思ったんです。〉


【41p 2首目】
▽穂村弘さん
〈好きだなあ、こういうこと、よく感じるから。何で僕の横にはいつも人が来ないんだろうとか。〉

※ここまで『短歌研究』2014年9月号「短歌研究新人賞」選考座談会。



◇一首評

【42p 2首目】
▽吉田隼人さん
〈平明な表現でシニカルな面白みを追求する作風はあまり好みでなかったのですが、その一貫した態度が社会問題に向かうとき、単純な肯定でも反対でもない微妙なニュアンスをうまく掬いとりうることに瞠目させられました。〉
『現代詩手帖』2015年12月号「極私的年間詞華集四十二首」


【42p 3首目】
▽俵万智さん
〈何かの勧誘の電話でしょうか。「しりぞけて」という動詞によって強い意志が伝わり、うまいなあと思いました。「あるある!」という共感と、くすっと笑えるユーモアが魅力です。〉
『仙台っこ』2017年4.5月号「第10回仙台っこ歌壇 俵万智賞 発表」


【44p 2首目】
▽山田航さん
〈この歌の後に省略されているのは、「僕はこんなことくらいしかできない」だろう。誰にでもできるようなことしかできない自分を情けなく思う気持ちが、すぐ消えてゆく吐息に託される。 〉
『小説 野性時代』2017年6月号「野性歌壇」


【48p 2首目】
▽佐佐木幸綱さん
〈突然、自身の内部のむき出しの本能に向き合った気がしたのでしょう。「恥じる」としか言いようのない感覚。的確な表現力に感心しました。〉
『NHK短歌テキスト』2016年2月号「いのち」

▽佐佐木幸綱さん
〈命っていうのは自分個人のものだというふうに我々は思いがちですけれどもこの作品はそうじゃないんですね。そういうふうに思っていたんだけれども実は何かもっと大きなものに支配されている。あるいはもっと大きなものにつかさどられている。そういう感じがするという事に気付いたというね日常生活の中ではふだんはなかなか気づけない事をきちっと表現されていてとても優れた一首だと思いました。〉
Eテレ「NHK短歌」2016年3月6日放送。テレビからの文字起こし



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「魂の転落」10首

◇一首評

【50p 1首目】
▽藪内亮輔さん
〈四つの雲の激突するすごい戦乱の中で、ぬぼーっと立っている場違いな電信柱に異様なものを感じる。ただそこにぬぼーっと立っている、あることの力。〉
『角川短歌』2018年6月号「歌壇時評」


【51p 2首目】
▽加藤治郎さん
〈自分に心のこもった礼をするつもりはない。相手も期待していないのだと分かっている。空疎な人間関係だ。〉
「毎日新聞」2014年9月29日「毎日歌壇」


【52p 2首目】
▽服部真里子さん
〈あんまり楽しそうなのでつい採ってしまった。 というばかりではない。この歌、私の中でダントツの一位だった。定型に対する言葉の斡旋がとても巧みなのだ。ドアとは一言も書いていないのに、おそらく誰もが「ああ、あのドアを開けるところね」と思い浮かべることができる。「肩で開けるぞ」ではなく、「肩からいくぞ」なのも高度な技。たしかに、例のドアを肩で押し開けるときの気分をよくよく思い返すと、「肩で開ける」より「肩からいく」が近い。「開ける」意識より、「入る」意識が勝るのだ。そして「いく」は「入る」よりも口語寄りの表現で、「分かっちゃったし」の「えへへへー」みたいな感じとよく合っている。 それにしても、ただドアを開けるだけのことで、この主人公はどうしてこんなに楽しそうなのだろう。やっぱり、あんまり楽しそうなのでつい採ってしまったのかもしれない。〉
「poecrival」vol.3


【52p 3首目】
▽穂村弘さん
〈『不吉において抜きん出た』という云い回しの可笑しさと奇妙なリアリティ。〉
「日本経済新聞」2014年5月25日「歌壇」

▽穂村弘さん
〈「不吉において抜きん出た」という云い回しがポイント。可笑しさの中に確かにリアリティがある。「重役」が「何人」かいれば、猪タイプや猿タイプに混ざって一人は死神タイプがいるものだろう。〉
『Maybe!』7号「銀杏を食べて鼻血が出ましたか」



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「黒い歯」10首。

◇連作評

▽やすたけまりさん
〈歯医者の待合室にいる時間と、そこで読んだ伝記漫画の「アインシュタイン」の時間がクロスする。一首だけ取り出して読むとシュールな雰囲気の歌になるのもおもしろかった。
【56p 2首目】〉
『未来』2017年9月号「ニューアトランティスoperaを読む」


▽朝倉冴希さん
https://t.co/MWg3MVrq2X
歌人・朝倉冴希の風花DIARY ~花と短歌のblog~ 【今日の短歌】


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「ピンクの壁」50首

◇一首評

【60p 1首目】
▽東直子さん
〈みんなの顔がそういう顔に見えてしまうという自虐的なところが面白かった。〉


【73p 1首目】
▽東直子さん
〈誰かに光が当たって、オレには光が当たらないことの暗喩としても見える。〉

【62p 1首目】
▽小池光さん
〈今の社会というものと向かいあっている感じがする。〉

※ここまで『角川短歌』2016年11月号「角川短歌賞選考座談会」


【62p 2首目】
▽松村正直さん
〈これなんか、ただごと歌だと思いますけど、落石注意の標識には必ず石は四つで、現実には真っ黒な石ってないと思いますが、標識では石が黒いよ、という発見を詠んでいる歌。〉
『現代短歌』2020年1月号「第七回 現代短歌社賞 」


【61p 1首目】
▽加藤治郎さん
〈スタンドの応援席だ。テレビでも見慣れたシーンである。よく見るとメガホンの奥で口が動いている。確かにそうだと追体験できる。こういう細部の発見が短歌に妙味をもたらすのである。〉
『短歌研究』2016年11月号「うたう★クラブ」


【66p 2首目】
▽松平盟子さん
〈これ不思議な歌です。つまり自分の思いを相手に対して投げかけているわけなんですけども投げかけつつ答えが、なんか、単純に求められているわけじゃないんです。
なぜかというと、「じゃあどうして僕と一緒になったの?」と訊いてみたいんだけれども、、、とくるその、、、の部分が深そうな森。これは相手のこころを読みとれないちょっと不安で、ちょっとまどろっこしく、ちょっとこわくって、答えが容易に出てこないことが最初からわかっているような、そんなふうでありながらでもやっぱり訊いてみたくなるような。
男性の側から女性への問いかけでありつつ同時に、人間てそんなに簡単に答えが出せないことがあるんだよってことを教えてくれるような、そんな恋というものの不可思議さを教えてくれる歌です。〉
YouTubeの動画【第十八回 万葉の里 あなたを想う恋のうた その2  秀逸講評・松平盟子審査員長】 https://t.co/uPM9AyNKWa
から書き起こした。


【68p 3首目】
▽伊藤一彦さん
〈実際の姿よりも美しく映りたいというのが人の一般的な欲望だが、作者は違う。美しかろうとそうでなかろうと、等身大の実像こそが大事、作者はそう言いたいように思える。「走る」の語もいい。〉
『角川短歌』2015年7月号「公募短歌館」


【70p 3首目】
▽穂村弘さん
〈「片方曲げた足」の角度や力の入り方やオーラに、「写真を撮るひと」の命の情報が集約されていたのでしょう。〉
『ダ・ヴィンチ』2013年10月号「短歌ください」


【72p 1首目】
▽馬場あき子さん
〈巨木──、この曲者のような太い幹や、縦横にさし交わし絡まる枝々、大地をわしづかみにしているような根。その地中もまた絡み合っているだろう。巨人のような妖しさを漂わせる老樹への問いかけが人間への問いのようだ。〉
『短歌生活』7号



【74p 2首目】
▽花山多佳子さん
〈この感想がとても懐かしい。どんな家か想像をかきたてられる。「うっかりと」に自分の心のセンチメンタルものぞくところがいい。〉
『塔』2014年9月号「選歌後記」



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「車にはねられました」10首

◇評

特になし。



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「この人を追う」30首

◇評

加藤治郎さん
〈不条理な日常である。底ごもるような思索と行為を通じて現れる人間性は濃厚である。柔軟な文体で暗喩が巧みだ。【80p 2首目】には、この人物の奇妙な性格が滲んでいる。九つを読み通すところにむしろ不信感がある。【84p 1首目】は、日常の片隅のちぐはぐさを捉えた。どうでもよいことだ。それを受容することで我々は何とかやっている。〉

穂村弘さん
〈【80p 2首目】【81p 2首目】【89p 1首目】など、おかしないい方になるが、高度な無力感が表現されている。その根っこにあるのは完成された社会システムに対する違和と諦念と絶望だろう。魂の叫びの持ち時間が2分と限られているのはテレビ番組としての都合。でも、我々の現実は限りなくその世界に近づいている。〉


【85p 1首目】
▽加藤治郎さん
〈これも日常的によくあることをうたっています。ポイントという奇妙なものが現金のように使える。そんなポイントのように、もう我々は無垢な心には戻れない。これも柔軟な文体で修辞として巧い。まず「現金のように」という直喩が来て、「ポイントの」、実に短歌的な「の」です。格助詞の「の」が比喩として機能するわけです。「現金のように使えるポイント」のように、と上句全体が下句にかかってくる。二つの比喩のパターンを巧く使っている。〉
▽米川千嘉子さん
〈「無垢の心に」だけだとすごく安直なんですけれども、カードのポイントなどを含めて細かい目くらましのようなものがあらゆる場面でごしゃごしゃとまつわりついて真の価値や純粋さを消してゆく、そういう時代の雰囲気も感じさせます。〉


【83p 2首目】
▽穂村弘さん
〈すごろくのルールに従って戻ると一回休みと言っていて、これがずっと続くとこの人は永遠に休みとなって、合意したルールのもとで真っ暗になっていく。そこが面白かった。〉


【81p 2首目】
▽米川千嘉子さん
〈女が、しかもてのひらでストップと止めているわけで、よく考えてみると現実的に絶対そんなことはできないわけです。その奇妙さにはっとさせられる。〉
▽穂村弘さん
〈「てのひらで」という初句もユニーク。手がばーんと出ているポスターが浮かびます。そういう目立たない巧さがありますね。〉


【81p 1首目】
▽穂村弘さん
〈「キスをする距離の二人」が、「せずにいてくれていた」という変な日本語がいい。「いちゃいちゃしやがって、けっ」みたいな感じじゃなくて、そこを感謝するというのも意外性がある。〉


【88p 1首目】
▽加藤治郎さん
〈一日の終わりの靴下という、あまりいい感じがしない事物を投げ出して「距離感を」という。「距離感」の「感」が面白いと思ったんです。普通は人間関係などで使われる言葉です。自分の靴下という日常のどうしようもないのがふたつ散らばっていて、ふと鳩時計が鳴く。「鳩」から醸し出されるとぼけたような平和的なものに解消していく。〉

※ここまで『短歌研究』2018年9月号「第61回短歌研究新人賞」



【85p 1首目】
▽本田一弘さん
〈「ポイントカードはお持ちですか」。買い物の際にポイントをため、たまったポイントで買い物をすることができます。そんな状況をシニカルなまなざしで鋭く突いた怪作です。「ポイントの」の「の」がまさにポイント。「~のように」という意味で下の句に係っていきます。買い物の際に現金だけを渡していた「無垢の心」。そこには「もう戻れない」私たちの心の浅ましさ、業の深さが「の」の響きとともに身に染みています。〉
「河北新報」2018年12月19日「うたの泉」



【80p 2首目】
【85p 2首目】
▽佐佐木定綱さん
〈本心はどうかわからないが、「九つ」もある「禁止事項」をすべて受け入れて「歩き出す」。二首目は何が起きても、生きるためにはとりあえずやることはやらねばならないという。不条理を緩やかに受け止める強さの感じられる連作だ。〉
「東京新聞」2018年9月8日「佐佐木定綱の短歌を掴む」



【80p 1首目】
▽松村正直さん
〈風が吹いて景色を映さなくなった水面を深夜のテレビに喩えていて鮮やか。〉
『短歌研究』2018年12月号・短歌研究年鑑「作品展望」



【84p 1首目】
▽大松達知さん
〈新人賞受賞作から。選考委員の栗木京子が言うとおり、「揶揄」「躱し方」「芸人さんのよくできたコント」という指摘は当たっている。しかし、一首一首はこう詠むことによってしか切り取れない現代社会を抉っている。これも質量ともに充実して安価な日本の外食産業(これはチェーン店の牛丼だろう)を「しきたり」一語でうっちゃっているのがいい。〉
『現代短歌』2018年11月号「作品時評」



【85p 2首目】
▽御殿山みなみさん
https://gotenyamaminami.tumblr.com/post/184653004916/190505
「ひざがしら」


▽フェデリ子さん
https://dainanasouko.hatenablog.jp/entry/2018/12/19/190606
ブログ「ワルツは食べ物ではない」 
オレたちがつとめて無為であるために 工藤吉生『この人を追う』を読んで



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「人狼・ぼくは」30首



【100ページ3首目】
▽平出奔さん
https://hiraide-hon.tumblr.com/post/187209676256/20190823
Tumblr「機内モード」

「この人を追う」~「人狼・ぼくは」

▽花山周子さん
2019年1月28日
https://sunagoya.com/tanka/?p=19976
2019年1月30日
https://sunagoya.com/tanka/?p=19986
2019年2月1日
https://sunagoya.com/tanka/?p=19990
砂子屋書房「日々のクオリア」



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「おもらしクン」30首

◇一首評

【102p 1首目】
▽穂村弘さん
〈面白い。「子」、「父」、「牛丼」の時間がぐんぐん巻き戻る感覚が、生々しい命の流れを感じさせます。〉
『ダ・ヴィンチ』2013年10月号「短歌ください」


【104p 1首目】
▽穂村弘さん
〈一読、唱えずにはいられない。「わんたんめんせんもんてん」〉
「日本経済新聞」2016年8月7日「歌壇」

▽穂村弘さん
〈そのまんまじゃないか。でも、面白い。呪文のように口ずさむとさらに楽しくて、誰かに教えたくなる。わんたんめんせんもんてん。〉
『NHKテキスト きょうの料理ビギナーズ』2018年3月号「青汁解凍中」


【104p 2首目】
▽俵万智さん
〈音を使った言葉遊びが楽しい。ポップコーンにも「ぱ」やら「ぷ」やら、色々あるのだ。弾むようなリズムも、内容とぴったり。〉
「読売新聞」2014年10月16日「読売歌壇」


【106p 3首目】
▽穂村弘さん
〈「早く負けよう」の意外性。試合ではなく「授業」ってところがポイントか。下句に臨場感がある。〉
「日本経済新聞」2016年3月20日「歌壇」

▽穂村弘さん
〈「早く負けよう」のきっぱり感が面白い。試合ではなく「授業」がポイントで、たぶん初めから望んでいない戦いなのだろう。「やわらかく踏む畳のみどり」が臨場感を生んでいる。〉
『群像』2019年2月号「現代短歌ノート」


【110p 1首目】
▽中地俊夫さん
〈どんなに傷つけられたことか。これはもう苛めを越えている〉
『角川短歌』2016年9月号「題詠」


【111p 2首目】
▽伊舎堂仁さん
〈新品ではないボールから、その職には就かなかった私、を思う際に、私についた〈土〉かのような書かれ方が苦い。丁寧語で、報告調の〈でした〉なのも。〉
『ねむらない樹』vol.1「新世代がいま届けたい現代短歌100」2018年



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「まばたき」5首

◇評

特になし



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「ぬらっ」40首

◇一首評

【116p 1首目】
▽なみの亜子さん
〈「ヒョウ柄」に元・大阪のおばちゃんとして反応ー。「なに見てんねん!」とか言うてまいそう。まあ「ヒョウ柄」をそんな大阪の定番ファッション寄りに解釈しなくても、「強そうな人」「後ろから見」という直観による掴みが「ヒョウ柄」の人に付与するものを改めて発見させてくれる。動物の柄はその生環境が必然的になしたものだが、人間の環境においてはなかなかに人間をヒかせるディスプレイにもなり得るとか。歌に現れるまなざしの新鮮さ。これ「服」とか言わないで、「~柄の人」とか「オレの柄」とか言ってて、そういう柄の生きもん同士みたいな空気が出てるのも面白い。「チェック」も抜群。〉
『短歌研究』2012年6月号「うたう★クラブ」


【116p 3首目】
▽穂村弘さん
〈「オレ」が自覚している「オレ」像が面白い。「非常時に壊せる壁」がここで出てくるとは。〉
「日本経済新聞」2017年4月22日「歌壇」

▽穂村弘さん
〈実際に試みる前から「オレには無理だオレにはわかる」ときっぱり逃げている面白さ。人生において「壊せる壁を壊す」という「非常時」に出会う可能性はかなり低いと思うけど、それを想定してしまうほどのビビリ方がいい。「非常時」が怖いのではない。自分自身が不安なのだ。世の中には壊れない壁を壊して子どもを助けるヒーローだっているのに。〉
『群像』2020年1月号「現代短歌ノート」


【117p 2首目】
▽竹中優子さん
〈例えば電車の中や喫茶店にいる時、他人の話が耳に入ってきてしまう。それは断片的で、脈絡も不明だ。だからこそ、その言葉の断片が妙に輝いて見えたりもする。この場合は、「品性がない」と言われたのは自分かと思って、どきっとしたという話ですね。こういうこと、あります。他には、私は「性格がでるね~」と誰かが言う時もどきっとします。振り向いていた、とあるから、特に振り向く必要がなかったわけで、この「品性がない」が自分に向けられた言葉ではないことは本人も認識している。他人の話である。なのに振り向いちゃった。それも、「自動的に」「首からグンと」。歌の肝は、この「自動的に」「首からグンと」にあり、そんな自分の反応にちょっと驚いている、という点にある。感情を言うのではなくて、具体的に行動の様子を表した点が成功している。振り向いていた、と自覚するとき、それはどんな感情だろう。ちょっと恥ずかしくて、怖くて、そんな自分を客観視するユーモアもここにあると思います。〉
「ネットプリント毎月歌壇」2017年12月号


【117p 3首目】
▽石井僚一さん
〈「おみこし」といえばお祭りの際にたくさんの人たちに担がれながら「わっしょい!わっしょい!」とまちをゆくパワーアイテムだが、この人はその「おみこしになって」そして「元気な人達にかつがれたいな」と言う。この「かつがれたいな」には「おみこしになってお祭りのいちばん真ん中で元気な人たちに囲まれてテンションを上げたい!」というような願望があるとおもうのだけれど、その願望に反して「かつがれたいな」という口調がゆるすぎて可笑しい。どうも完全に他力本願で自らテンションを上げようという意思が全くないのだが、その力みのなさに却って安心してしまう。とってつけたような「年に二回は」も面白くて、要するに「年に一回じゃちょっと足りない気がするので二回かな」というような、そこまで真剣に考えていない感じがチラッと見えてニヤッとしてしまう。このユーモア&脱力感は短歌でなかなか出せないだろう。グッド!年に二回、おみこしになれることをここで祈ります!〉
▽谷川電話さん
〈「~になりたい」系の短歌はよくあるが、おみこしになりたいだなんて! この人は、とても疲れているのだ。だから、少しでも元気になりたい。元気になるためには、元気になれそうな状況に身を置くことだ。この人が考えついたのは、「おみこしになって元気な人達にかつがれ」ることだった(うむ、疲れているな)。でも、ちょっと待てよ。結句で「年に二回は」と言っている。元気がないなら、「いますぐおみこしになって元気な人達にわっしょいわっしょいされたい!」と言えばいいのに。このよくわからない謙虚さに、心を打たれた。また、読後、「おみこし」というのがいいなあ、としみじみ思えてきた。この元気のない、謙虚な人が、「おみこしになって元気な人達にかつがれたい」と言うのだ。生きることは、疲れる。生きることの疲れが、作中主体にこんな実現不可能な願望を抱かせたのだ。疲れて、疲れて、意識が薄くなって、そんなビジョンが見えてしまったのかもしれない。わっしょいわっしょい、がんばれがんばれ!〉
「ネットプリント毎月歌壇」2017年1月号


【118p 2首目】
▽沢口芙美さん
〈針の穴を通った糸の直後はピンと張っているが、観察が細かく、それを糸の「やる気」ととらえているのが、工夫である。〉
▽佐伯裕子さん
〈思わぬユーモアが漂っていて、不思議な一首になっている。「糸」に感情はないから、これも擬人化といえる。作者がやる気になるのではない。針穴を通っただけなのに、その「糸」が元気に見えるのだ。アニメ的な面白さといっていいだろう。〉
『角川短歌』2015年7月号「公募短歌館」


【118p 3首目】
▽穂村弘さん
〈「女子」と「男子」では、スピード、打点、打球、つまりは迫力が違いますね。でも、たちまち「見慣れる」のが不思議。〉
『ダ・ヴィンチ』2016年6月号「短歌ください」


【119p 2首目】
▽奥村晃作さん
〈コンビニに買い物に行った。たまたまおむすびの特売を知る。いつも百十円が、百円。買う事に決め、二個を選んだ。自分なら南高梅と日高昆布だが、工藤氏は何を選ばれたか。〉
『現代短歌』2017年4月号「読者歌壇」


【120p 1首目】
▽加藤治郎さん
〈「ふわわわ」とはユーモラスな擬態語である。突然湧き出す感じだ。恥ずかしいことはそんなふうに思い出される。下句の身振りも面白い。とにかく否定したいのである。〉
『角川短歌』2017年11月号「公募短歌館」


【120p 3首目】
▽穂村弘さん
〈その「男性」には他人とは違う世界が見えているのか。単に不気味な人なのか。実際にやられたら落ち着かない気分になりそうだけど、言葉にされると面白いのはどうしてだろう。〉
『ダ・ヴィンチ』2015年4月号「短歌ください」


【123p 1首目】
▽小林邦子さん
〈「四十になろうというのに」とあるが、四十などはまだまた若者だと高齢の筆者は思ってしまう。 身構えて聞いた話は意義のあることだったかと印象深い。〉
『国民文学』2019年10月号「歌壇管見」


【123p 2首目】
▽水原紫苑さん
〈全く理由のない生に対する、理由のない憎悪が伝わって来る。〉
『角川短歌』2013年11月号「公募短歌館」


【124p 2首目】
▽加藤治郎さん
〈ばらばらな金管楽器の音に引き込まれてゆく春。不思議な味があったのだろう。自由を感じたのかもしれない。〉
「毎日新聞」2014年7月14日「毎日歌壇」


【125p 2首目】
▽森山晴美さん
〈日常のほんの些細な一瞬を詠み、生きてあることの愛しさのようなものを漂わせている。〉
『角川短歌』2015年4月号「公募短歌館」


【126p 1首目】
▽加藤治郎さん
〈Aと言われて反射的にBへ歩みだしたかのようだ。そんな選択を冷静に見るもう一人の自分がいる。〉
「毎日新聞」2014年4月13日「毎日歌壇」


【126p 3首目】
▽穂村弘さん
〈不思議そうに見ているのでしょうか。彼女には洋服とかも意味がわからないだろう。「オレ」と「アリス」との間には互いに解けない「謎」がある。そこにときめきを覚えます。〉
『ダ・ヴィンチ』2012年9月号「短歌ください」


【127p 3首目】
▽浜名理香さん
〈自分が生を終えた後の世を祝福している。宗教家だったら後世を頼むというような思想があるが、おそらく作者はそういうことではないだろう。初句の「このオレが」という宣言に強い自我を出しているからである。自分の死後の風景が大らかな愛と安寧に充ちているという想像は、心を嬉しくさせ、「死」を前提とした「生」を負う身がなぐさめられる。地の部分との区別に使った読点も上手い。〉
『現代短歌』2017年4月号「読者歌壇」



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「すばらしい俺」1首

◇評

▽木村比呂さん
https://note.com/rahiro/n/n65d7c5b73ef9
うたの日 一首鑑賞3


▽柳本々々さん
http://yagimotomotomoto.blog.fc2.com/blog-entry-1238.html
あとがき全集





評は以上です。



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ここまで前半
ここから後半


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後半は、工藤吉生 第一歌集『世界で一番すばらしい俺』の収録歌についての初出をここにまとめます。
おおよその初出は歌集のあとがきに書いてありますが、ここでは、より詳しく書きます。
初出以外の掲載は※を付けて書きます。
初出からの変更点があれば●を付けて書きます。

ただし!
ここでも短歌の部分は全て【○p○首目】の形になっています。
歌集『世界で一番すばらしい俺』をご参照ください。



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「校舎・飛び降り」50首

◆初出
『短歌研究』2018年8月号。「ヘ音記号みたいに」というタイトルで、第8回中城ふみ子賞の次席作品として以下の25首が抄録された。
1.【9p 1首目】~6.【11p 1首目】
8.【11p 3首目】
13.【13p 2首目】
15.【14p 1首目】
17.【14p 3首目】
18.【15p 1首目】
20.【15p 3首目】~22.【16p 2首目】
25.【17p 2首目】
34.【20p 2首目】
35.【20p 3首目】
38.【21p 3首目】
39.【22p 1首目】
42.【23p 1首目】
45.【24p 1首目】
47.【24p 3首目】~50.【25p 3首目】



●変更
【10p 3首目】結句「胸の中」を「胸の奥」にあらためた。



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「うしろまえ」20首

◆初出
『未来』2018年1月号。
二〇一七年度未来賞の受賞作。
1首だけ入れ替えた。



【32p 1首目】
→「日本経済新聞」2016年2月21日の「歌壇」から。穂村弘選。



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「眠り男」15首。

◆初出
短歌ミニコミ「ハッピーマウンテン」6号の「眠り男」10首を改作。2013年。

以下6首は別のところからこの連作に組み入れた。
2.【33p 2首目】
4.【34p 2首目】
5.【34p 3首目】
7.【35p 2首目】
10.【36p 2首目】
14.【37p 3首目】



【33p 2首目】
→ツイッター。2011年11月28日。

【34p 2首目】
→『公募ガイド』2018年8月号「東直子の短歌の時間」。東直子選・佳作。

【34p 3首目】
→ツイッター。「#短詩の風」でツイートしたもの。2017年2月26日。

【35p 2首目】
→『うたらばフリーペーパー vol.17「秘密」』。2016年。

【36p 2首目】
→『うたつかい』第24号。2015年。
※うたらばブログパーツ「絵」2016年5月。田中ましろ選。

【37p 3首目】
→『角川短歌』2012年12月号「角川短歌ライブラリ刊行記念 わたしの一首大賞」。吉川宏志選・大賞。



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「仙台に雪が降る」 30首

◆初出
『短歌研究』2014年9月号。
短歌研究新人賞の候補作として、30首連作のうち14首が掲載された。また、選考座談会のなかでそれ以外の4首が引用された。

以下15首は『短歌研究』2014年9月号掲載。
1.【39p 1首目】~4.【40p 2首目】
7.【41p 2首目】
9.【42p 1首目】
10.【42p 2首目】
12.【43p 1首目】
15.【44p 1首目】
17.【44p 3首目】
19.【45p 2首目】
20.【45p 3首目】
22.【46p 2首目】
27.【48p 1首目】
30.【49p 1首目】


5.8.13.14.23.24.26首目の合計7首は、誌面には掲載されなかったが2014年に短歌研究新人賞に応募した時から「仙台に雪が降る」30首に入っていた歌。
それ以外の歌はほかの場所から今回この連作に組み入れたものとなる。



【41p 1首目】
→ツイッター。2011年11月13日。

【42p 3首目】
→タウン誌『仙台っこ』2016年10.11月号「仙台っこ歌壇 俵万智賞予備選」。佐藤淑子選。
※『仙台っこ』2017年4.5月号「仙台っこ歌壇 俵万智賞」俵万智選・準賞。

【44p 2首目】
→『小説 野性時代』2017年6月号「野性歌壇」。山田航選・特選。

【46p 1首目】
→「河北新報」2016年6月26日「河北歌壇」。佐藤通雅選。

【47p 2首目】
→第4回角川全国短歌大賞。2013年。馬場あき子選・秀逸。
※『短歌生活 4号』掲載。
『角川短歌』2013年4月号掲載。

【48p 2首目】
→Eテレ「NHK短歌」2015年12月6日放送。題「いのち」一席。佐佐木幸綱選。
※おなじく「NHK短歌」2016年3月6日放送で発表された年間大賞に選ばれた。
※『NHK短歌テキスト』2016年2月号、5月号掲載。

【48p 3首目】
→ツイッター。2012年3月12日。



●変更

【43p 2首目】
三句「●●○●●」を「しらしらと」にあらためた。

【45p 3首目】
四句「上に左右に」を「上下左右に」にあらためた。



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「魂の転落」10首

◆初出
『短歌研究』2014年11月号「新進気鋭の歌人たち」を一部改作。

4.【51p 2首目】
7.【52p 2首目】
8.【52p 3首目】
の3首はほかのところからこの連作に組み入れた。



【51p 2首目】
→「毎日新聞」2014年9月29日「毎日歌壇」加藤治郎選・特選。

【52p 2首目】
→「poecrival」vol.3。2018年3月。服部真里子選。

【52p 3首目】
→「日本経済新聞」2014年5月25日。穂村弘選。



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「黒い歯」10首。

◆初出
1.【54p 1首目】
2.【54p 2首目】
4.【55p 2首目】
→『塔』2014年7月号。

3.【55p 1首目】
→未発表作品

5.【55p 3首目】 ~ 10.【57p 2首目】
→『未来』2017年6月号。タイトル「歯医者で読むアインシュタイン」。



●変更

【55p 2首目】四句以下「二日後となり二日を痛む」を「二日後 十七万秒痛む」にあらためた。

【57p 2首目】三句以下「アルベルト・アインシュタイン戦争の途中」を「アルベルトは黒い時代に置き去りのまま」にあらためた。



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「ピンクの壁」50首

◆初出
『角川短歌』2016年11月号。第62回角川短歌賞の候補作として、選考座談会のpに15首掲載。

以下の11首は『角川短歌』2016年11月号。
3.【59p 2首目】
5.【60p 1首目】
11.【62p 1首目】
18.【64p 2首目】
19.【64p 3首目】
25.【67p 1首目】
41.【72p 3首目】
42.【73p 1首目】
43.【73p 2首目】
47.【74p 3首目】
49.【75p 2首目】


1.2.4.6.7.10.12.17.20.22.28.29.31.32.33.36.38.40.50の合計19首は、誌面には掲載されなかったが2016年に角川短歌賞に応募した時から「ピンクの壁」50首に入っていた歌。
それ以外の歌はほかの場所から今回この連作に組み入れたものとなる。


【61p 1首目】
→『短歌研究』2016年11月号「うたう★クラブ」加藤治郎選・うたう★クラブ賞。

【61p 2首目】
→『未来』2016年1月号
※うたらばブログパーツ「無」2016年2月。田中ましろ選

【62p 3首目】
→ツイッター。2012年2月7日。

【63p 1首目】
→『短歌研究』2014年9月号「短歌研究詠草」。高野公彦選。
※うたらばブログパーツ「中」2016年2月。田中ましろ選。

【63p 2首目】
→『塔』2015年2月号

【63p 3首目】
→『未来』2016年6月号

【65p 3首目】
→『未来』2016年9月号

【66p 2首目】
→第十八回「万葉の里 あなたを想う恋のうた」秀逸。2016年。

【66p 3首目】
→『塔』2015年11月号

【67p 2首目】
→『短歌研究』2019年7月号。作品二十首「バラバラ事件」

【67p 3首目】
→ツイッター。2011年12月5日

【68p 3首目】
→『角川短歌』2015年7月号「公募短歌館」伊藤一彦選・特選

【70p 2首目】
→『未来』2016年3月号

【70p 3首目】
→『ダ・ヴィンチ』2013年10月号「短歌ください」穂村弘選

【71p 2首目】
→「朝日新聞」2019年1月9日夕刊「あるきだす言葉たち」

【72p 1首目】
→第7回角川全国短歌大賞。馬場あき子選・特選
※『短歌生活』7号掲載
『角川短歌』2016年1月号掲載。

【73p 3首目】
→ツイッター。2011年11月25日

【74p 1首目】
→第43回現代歌人協会主催 全国短歌大会。2014年。田村元選・佳作第一席

【74p 2首目】
→『塔』2014年9月号

【75p 1首目】
→ツイッター。2012年3月2日



●変更

【59p 3首目】三句以下「男性に見おろされれば行き急ぐのみ」を「男性の見下ろす視野を出ようと急ぐ」にあらためた。

【71p 1首目】「花々の」を「花々よ」にあらためた。



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「車にはねられました」10首

◆初出
1.【76p 1首目】~ 7.【78p 2首目】
10.【79p 2首目】
→ 『未来』2018年9月号

8.【78p 3首目】 ~ 9.【79p 1首目】
→『短歌研究』2012年9月号「短歌研究詠草」。高野公彦選



【79p 1首目】
※うたらばブログパーツ「結」2015年2月。田中ましろ選。



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「この人を追う」30首

◆初出
『短歌研究』2018年9月号「第61回 短歌研究新人賞」



●変更
【85p 2首目】結句「生活懸けて」を「生活かけて」にあらためた。

【90p 1首目】初句「見たくもない」を「見たくない」にあらためた。



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「人狼・ぼくは」30首

◆初出
『短歌研究』2018年10月号「短歌研究新人賞受賞第一作」

以下の5首はほかのところからここに移した。
4.【92p 2首目】
9.【94p 1首目】
14.【95p 3首目】
16.【96p 2首目】
26.【99p 3首目】



【92p 2首目】
→『未来』2016年1月号
※『あみもの 二十号』。2019年8月。

【94p 1首目】
→『現代短歌』2016年4月号「特別作品」

【95p 3首目】
→「河北新報」2016.1.17「河北歌壇」花山多佳子選

【96p 2首目】
→『うたつかい』22号。2015年4月

【99p 3首目】
→「読売新聞」2016年10月17日「読売歌壇」俵万智選



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「おもらしクン」30首

◆初出
「朝日新聞」2019年1月9日夕刊「あるきだす言葉たち」に掲載された8首を大幅に改作。

朝日新聞に掲載された「おもらしクン」8首に掲載された歌のうち、この30首に残っているのは、3首目と29首目のみ。



【102p 1首目】
→『ダ・ヴィンチ』2013年10月号「短歌ください」穂村弘選

【102p 2首目】
→『塔』2015年1月号

【103p 2首目】
→ツイッター。2011年11月3日

【103p 3首目】
【108p 3首目】
→『短歌研究』2019年7月号。作品二十首「バラバラ事件」

【104p 1首目】
→「日本経済新聞」2016年8月7日「歌壇」穂村弘選。

【104p 2首目】
→「読売新聞」2014年10月16日「読売歌壇」俵万智選。

【104p 3首目】
→『うたつかい』14号。2013年6月。

【105p 1首目】
→ツイッター。2011年12月1日

【105p 2首目】
→『塔』2013年5月号

【105p 3首目】
→『塔』2013年1月号
※「歌会たかまがはら」2014年6月号採用。しんくわ・田丸まひる・天野うずめ選

【106p 1首目】
→『短歌研究』2013年3月号「うたう★クラブ」斉藤斎藤選・佳作

【106p 2首目】
→ツイッター。2012年2月26日。
※うたらばブログパーツ「解」2012年2月。田中ましろ選。

【106p 3首目】
→「日本経済新聞」2016年3月20日「歌壇」穂村弘選。

【107p 1首目】
→ツイッター。2012年2月14日

【107p 2首目】
→ツイッター。2011年9月10日

【107p 3首目】
→ツイッター。2011年10月29日

【108p 1首目】
→ツイッター。2012年3月3日

【108p 2首目】
→うたらばの集い 2012年3月

【109p 1首目】
→『うたつかい』2016年夏号

【109p 2首目】
→ツイッター。2012年2月8日

【109p 3首目】
→『未来』2017年2月号

【110p 1首目】
→『角川短歌』2016年9月号「題詠」中地俊夫選。

【110p 2首目】
→『塔』2013年3月号

【110p 3首目】
→「読売新聞」2014年11月3日「読売歌壇」俵万智選

【111p 1首目】
→『未来』2017年6月号

【111p 2首目】
→『毎日新聞』2016年1月4日「毎日歌壇」加藤治郎選

【112p 1首目】
→『塔』2014年3月号



●変更
【110p 2首目】四句以下「アゲハのはばたきのもつやさしさ」を「アゲハやさしくはばたいてたよ」にあらためた。



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「まばたき」5首

◆初出

【113p 1首目】
→第3回 河野裕子短歌賞。恋の歌・愛の歌部門。池田理代子選・佳作。2014年

【113p 2首目】
→『未来』2016年5月号

【114p 1首目】
→第二十回「万葉の里 あなたを想う恋のうた」入選。2018年

【114p 2首目】
→「河北新報」2016年9月8日「河北歌壇」花山多佳子選。

【114p 3首目】
→書き下ろし



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「ぬらっ」40首

◆初出

【115p 1首目】
→ツイッター。2012年3月3日

【115p 2首目】
→ツイッター。2012年3月7日

【116p 1首目】
→『短歌研究』2012年6月号「うたう★クラブ」なみの亜子選・うたう★クラブ賞。

【116p 2首目】
→ツイッター。2012年1月13日。
●初出では最後が「生きる」。
※うたらばブログパーツ「味」。2012年1月。田中ましろ選。


【116p 3首目】
→「日本経済新聞」2017年4月22日「歌壇」穂村弘選。

【117p 1首目】
【124p 1首目】
→『短歌研究』2020年5月号。280歌人新作作品集・作品7首「乳首」

【117p 2首目】
→「ネットプリント毎月歌壇」2017年12月号。竹中優子選。

【117p 3首目】
→「ネットプリント毎月歌壇」2017年1月号。石井僚一・谷川電話選。

【118p 1首目】
→ツイッター。2012年3月3日

【118p 2首目】
→『角川短歌』2015年7月号「公募短歌館」沢口芙美選・特選、佐伯裕子選・特選。
※『角川 短歌年鑑 平成28年度版』にも掲載。公募短歌館 年間ベスト20作品・第6位

【118p 3首目】
→『ダ・ヴィンチ』2016年6月号「短歌ください」穂村弘選

【119p 1首目】
→うたらばブログパーツ「葉」。2014年10月。田中ましろ選。
※ポストカードになってうたらばWEBSHOPで販売されたことがある。

【119p 2首目】
→『現代短歌』2017年4月号「読者歌壇」奥村晃作選・特選。

【119p 3首目】
→『現代短歌』2017年5月号「読者歌壇」奥村晃作選・秀作

【120p 1首目】
→『角川短歌』2017年11月号「公募短歌館」加藤治郎選・秀逸

【120p 2首目】
→「毎日新聞」2017年11月6日「毎日歌壇」加藤治郎選

【120p 3首目】
→『ダ・ヴィンチ』2015年4月号「短歌ください」穂村弘選。

【121p 1首目】
→『塔』2015年12月号

【121p 2首目】
→『未来』2018年5月号

【121p 3首目】
→『うたつかい』32号。2019年9月

【122p 1首目】
→ネットプリント「ゆふぎり」2018年3月

【122p 2首目】
【123p 1首目】
→『短歌研究』2019年7月号。作品20首「バラバラ事件」

【122p 3首目】
→『小説 野性時代』2018年2月号「野性歌壇」加藤千恵選・佳作

【123p 2首目】
→『角川短歌』2013年11月号「公募短歌館」水原紫苑選・秀逸

【123p 3首目】
→うたらばブログパーツ「年」2016年1月。田中ましろ選

【124p 2首目】
→「毎日新聞」2014年7月14日「毎日歌壇」加藤治郎選・特選

【124p 3首目】
→ツイッター。2013年2月

【125p 1首目】
→『うたつかい』25号。2016年2月

【125p 2首目】
→『角川短歌』2015年4月号「公募短歌館」森山晴美選・秀逸、安田純生選・秀逸

【125p 3首目】
→『未来』2016年6月号

【126p 1首目】
→「毎日新聞」2014年4月13日「毎日歌壇」加藤治郎選・特選

【126p 2首目】
→「毎日新聞」2016年4月12日「毎日歌壇」加藤治郎選

【126p 3首目】
→『ダ・ヴィンチ』2012年9月「短歌ください」穂村弘選
※安福望『食器と食パンとペン わたしの好きな短歌』掲載

【127p 1首目】
→『角川短歌』2013年12月号「公募短歌館」水原紫苑選・佳作

【127p 2首目】
→空き瓶歌会。2013年6月

【127p 3首目】
→『現代短歌』2017年4月号「読者歌壇」浜名理香選・特選

【128p 1首目】
→『現代短歌』2016年11月号「読者歌壇」三枝浩樹選・佳作

【128p 2首目】
→『うたつかい』29号(2017年秋号)





☆備考
2020年5月に、収録する歌と収録しない歌の一部をネット公開し、選歌のアドバイス・リクエストをツイッターで募集した。
そのときいただいた意見は主にこの章に反映されている。

以下の7首はこのときの意見を受けて追加した。
【116p 2首目】
【117p 1首目】
【117p 2首目】
【120p 1首目】
【121p 1首目】
【124p 2首目】
【128p 1首目】

「仙台に雪が降る」の
【47p 2首目】
も同様に追加した。



■■■■■



「すばらしい俺」1首

◆初出
【129ページ1首目】
→ウェブサイト「うたの日」2015年7月14日「膝」
http://utanohi.everyday.jp/open.php?no=470c&id=27



■■■■■■



その他



表紙は自分でスマホで自分の部屋から窓の外を撮った写真。2019年10月16日22時06分撮影。日記で見る限りは、特になにもない日だった。

帯の加藤治郎さん、穂村弘さんの言葉は、第61回 短歌研究新人賞の選考会での発言。『短歌研究』2018年9月号。



以上。なにかあれば書き足します。





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