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男乃道 【短歌10首】

「男乃道」  工藤吉生


誰か死ぬたび平成が終わったと言われて飽きる平成の終わり

九千円たしかにあって受け取ってけれどもごまかされてる感じ

レシートはいろいろ書いてあるねえとひらひらさせるゴミ箱の上

理想郷 生寿司(2割引)のあとヨーグルト(58円)もある

そんなのがいくらでもでてくるんでしょピアノと管楽器の二重奏

ぐきぐきに曲がった松の枝振りの「でや」とテニスの球を打つ人

トラックに「男乃道」と書いてあるオレと関係なさそうな道

電線にとまるだなんてできる気がしない スズメに生まれたくない

天空の城に住んだらゴミのような人を見下ろし泣く日もあろう

霊になり歩く自分と仮定して暮れた地面に空を見上げる


「未来」2018年11月号掲載

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