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工藤吉生の『未来』の短歌

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歌誌『未来』に掲載された短歌のまとめ。2016年1月号から。彗星集。 投げ銭方式なので、無料ですべて読めます。
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2019年12月の記事一覧

守護霊シクシクとかのやつ  ~『未来』2019年11月号掲載

守護霊シクシクとかのやつ  ~『未来』2019年11月号掲載

守護霊シクシクとかのやつ  工藤吉生

守護霊がオレのうしろでシクシクとシクシクとああ、ああシクシクと

首もげるくらい共感したというそのままもげて飛べばたのしい

そうこれが二十九度だよ冷房をなにもつけずにいてやや暑い

自販機のルーレットいま惜しかったもう一度やったら遠かった

あちらへと行きたいオレとこちらへと来たい見知らぬ人、信号機

短冊にねがいごと書くような人の願いがきれい叶ってほしい

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なるけま  ~『未来』2019年10月号掲載

なるけま  ~『未来』2019年10月号掲載

なるけま  工藤吉生

毎日をちゃんとしてると短歌とか作ってるヒマあんまりないな

森だなと思い見てると石段が透けてる朝の車窓の向こう

障害を恥じるあなたにオレだっていつそうなるかわからんと言う

木の机を両手で叩く休み時間「うるさい」とだけ感想もらう

券売機をかわいがってるおばさんはそんなわけない清掃員だ

お湯ならば飲むが白湯(さゆ)なら飲まないよ飲んだら刺してほしいくらいだ

突っ走

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