三舵

「みかじ」と読みます。

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  • 偶然の曲がり角 パリ2020

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共に世界を動かす日まで

『人工知能が「生命」になるとき』 三宅陽一郎  読書感想文 本書は西洋と東洋の人工知能に求めることの差異を対比し、そのギャップをどのように補完し人工知能をこの世界に「生命」として存在させることができるかを考察している。この人工知能への欲求の違いはフィクションにも如実に現れている。西洋では「人間よりも賢くなった人工知能が世界を支配する恐怖」を描写するのに対し、日本などの東洋では「人間になりたいと願う人工知能をめぐるドラマ」を描写することが多い。人工知能を人間の召使いとしてのみ

    • 偶然の曲がり角【3】

      今日も早起きし、早々にチェックアウトを済ませると荷物を預けて東へ向かう。ルーブル美術館の隣を通り、しばらくセーヌ川のほとりを歩くと瀟洒なカフェを見つけた。朝食としてクロワッサンとエスプレッソ、アップルソースを頂く。本当はリンゴのヨーグルトか何かを買ったつもりだったが、語学力の無さが露呈した結果の間違いである…美味しかったので問題ない。昨晩は鴨のコンフィのみならずリゾットや茄子のオーブン焼き、シトラスジェラートまで食べてしまったので朝食はこれぐらいで充分だ。また、東へ東へと歩き

      • 偶然の曲がり角【2】

        寄り道だらけの冬のパリ紀行二泊三日 二日目 早起きし、ホテルでの朝食を済ませて直ぐに出発する。晴れた冬の朝の風が心地よい。往来を越えればルーブル美術館は直ぐそこである。開館時間にはまだ早いので、Sound Horizonの「朝と夜の物語」を聴きながら庭園を散策した。舞台はフランス、冬の朝にぴったりな曲だ。どうやら昨晩は雨が降っていたらしく、青空の映る水たまりが道に静かなリズムを作っている。オルゴールと雨の音が遠く聞こえ、過去と現在を同時に踏み締めているような感覚に陥る。見据

        • 偶然の曲がり角【1】

          寄り道だらけの冬のパリ紀行二泊三日 一日目 「ルーブル美術館ですよ、えぇ。絵画が結構好きで」「いいわね。私は親戚がフランスに住んでいるから。」「パリにですか?」「ううん、バーガンディよ、ワインで有名な」… などと隣の席の女性と話しながら、ロンドンのセント・パンクラス駅を出発したのが日曜の朝。ユーロスターに揺られ、昼にはパリのデュ・ノー駅に到着した。駅のカフェで軽く腹ごしらえをしてから、ホテルまでは歩くことにした。三十分ほどかかる道程だが、天気も良ければ景観もいい。荷物も最

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          3本