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大規模怪異発生日記6

主な登場人物


万禮ばんらい久幸ひさゆき、ヒー、始祖:
かど凌司りゅうしのバンパイアにおける直系始祖。
かど凌司りゅうし、りゅーし:
万禮ばんらい久幸ひさゆきのバンパイアにおける直系係累。
左から
大空ひろたか久幸ひさゆきの実兄スカイの伴侶。鳥人。
千夜ゆきやす久幸ひさゆきの兄の子孫。久実ひさのりの母方の祖父。
久実ひさのり久幸ひさゆきの兄の子孫だが、
ヒューマン社会には久幸ひさゆきと共に
二卵性双生児と偽って生活している。千夜ゆきやすの孫。
左から
西田にしだ絵理香えりか凌司りゅうしの元妻。朗正あきまさ華代かよの生母。
朗正あきまさ凌司りゅうし絵理香えりかの子。母と同居。
華代かよ凌司りゅうし絵理香えりかの子。幼少時に父方祖母の養子となる。
左から
ラン:久幸ひさゆきの友人。凌司りゅうしの恩人。
トゥ、師匠:久幸ひさゆきの友人。凌司りゅうしの魔術の師。
泰市たいち:ランとトゥの伴侶猫。

話中の万禮一家は、
メンバーシップ「夢了の皿」会員の万禮様のオリジナル・キャラクターで
設定その他は会員様御本人と話し合っております。
711号室出演者≒メンバーシップ会員様は常時募集中です♡

万禮様の偶さか日記も併せてお読みいただくと解像度とエモさが跳満です。


シンクロ


暗夜迷宮日記スクショ 第六更新分
20230318~20230316
テキストは以下

20230316

師匠とランさんが泰市さんを連れて
取り急ぎの対花粉用魔法符の治験にいらした。
どの星のどの生き物の周りにも必ず存在する
風の精霊に花粉を追い払ってもらう契約呪符で、
呪符には契約報酬となる
精霊が好む香りを魔法で染み込ませてあるという。
そもそも
こちらの精霊に師匠の呪が通じるのか、
通じた場合
何時間効果がもつか、
試験を仰せつかった。
一点目の試験の為に
私が敷地外をランさんと走っている間、
師匠は始祖と一緒に邸の結界を強化してくださった。
微かに気配を感じたナニカは
こちらの望んだ仕事を請け負ってくれたようで、
ランさんを必死で追いかけて呼吸を荒げても
花粉が喉に侵入した感触は無かった。
師匠と始祖が一通り結界の出来を確認し終えると、
知らぬ間に始祖が一階劇場に設えていた
150インチのスクリーンでWBCを皆で観戦した。
私は野球にあまり興味は無かったのだが、
初球からの全力投球に一瞬で魅了され、
最後まで手に汗握り観戦してしまった。
この歳でこれ程の興奮を
味わわせてもらえるとは思わなかった。
有り難い。

20230317

快適な朝。
師匠の環境では風の精霊の好物が
七日に渡って滲み出るように
呪を設定してあるという呪符は、
露天風呂でも効果を発揮し続けてくれた。
有り難い。
実に有り難い。
今朝から見かけないが、
始祖もスッキリ爽やかに過ごしている事だろう。
しかし、何でもかんでも
知覚を反映し合っていたら戦闘時は勿論、
平時も少々不便なので、
主治医にメッセンジャーで対策を訊いた。
「花粉症の症状までシンクロするのはとても珍しいよ。
万禮ばんらいさんが共感性の高い気質な上に、
アナタに対して開放的だからかな。
アナタが万禮さんに影響されていると感じた事は?」
「そう言われてみれば、
彼から私のパターンは無かったように思います」
「それは良かったね。
なら、アナタの方でできる事は無いかな。
早晩万禮さんの方で対策してくれるから大丈夫。
視覚とか聴覚の共有は
上手く使えるようになると便利だけれど、
今の時代は電波と携帯端末があれば
代用できる程度の事だし、
触覚なんかは遮断しないと不都合の方が多いよね、
戦闘時は勿論だけど
夜の営みとか夜の営みとか夜の営みとか。
大事な事だから三回言いました。
聞かないけど、
この先必要になる事もあるだろうから送っておくね。
http§⋮//19××××.vpjp/
リンク先はバンパイア専門の風俗店。
その都度のヒアリングで
どんな性指向にも性嗜好にも応えてくれるから
何時かの為に保存しておいてね。
元々淡白でも
バンパイア移行期に突然性衝動が強くなる人もいるから。
吸血衝動も安全に叶える事を生業にしてる
バンパイアもそこにいるって事も覚えておいて」
「よく覚えておきます。
ありがとうございました」
「(グッドラックのスタンプ)」


『元々淡白でも
バンパイア移行期に突然性衝動が強くなる人もいるから』
うーむ、なるほど?
昨夜の異変はそれか。

20230318

曇天に関わらず爽やかな朝。
不眠も悪夢もすっかり無縁となっていたので
夢現神社へ御礼参りに走った。
参拝後に謎の焦燥感に駆られて
逃げるように帰ってきてしまった。
御札と御守り……また参れば良いか。
私にはたまに人と接する事が苦手になる時がある。
独り暮らし最高の民を公言する所以だ。
誰とも目も合わせたくなくなるのだ。
すっかり忘れていたが、
その脳の厄介期が来たのだった。
天気が悪いからだと決めつけて、
フリータイムのカラオケ店に独り飛び込んだ。
アプリに登録してある
とりあえずの二十曲を歌い切った処で
人恋しさが脳に戻った。
うむ、人の気配から逃げ回るより
寂しさを感じる方が余程マシだ。
早く回復できてよかった。



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