嵐の定額制音楽配信サービスへの解禁&YouTubeアカウント開設に思うこと
星野源、安室奈美恵、海外ではKing Crimsonもそうか。とにかく、2019年もSpotifyやApple Musicを中心とする定額制音楽配信サービスに続々とアーティストたちが自身のカタログを解禁している。色々意見もあるが、個人的には日常生活で音楽を聴く上で最も活用しているサービスなので、単純に聴けるアーティストや楽曲が増えることは喜ばしいことだ。
そんななか、10月9日夕方、Twitterを開いたら嵐(の一部楽曲)がSpotifyで聴けるようになったという情報が。これには心底驚いた......
多くの人がご存知のとおり、ジャニーズにおける現時代との共存を目的としたメディアへの意識変化は着実に進んでいる。それは2016年頃から「段階的に」という体で始まっていたが、2018年1月末に発表された「画像のネット掲載解禁(あくまで事務所がリリース用として提供したもののみ)」が特に大きな転機になったと言えるだろう。
すでにSNSを使うことが日常生活のデフォルトである日本にとって、街中や雑誌にで当たり前のように目にするジャニーズの面々の写真や動画をネットで規制すること自体、もう不可能なことだ。もちろん肖像権は守られるべきだし、それがジャニーズというブランドの希少価値を生み出している以上、あくまで「段階的に」というフィルターのかけ方は適切だとも思う。
それらを踏まえた上でも、嵐の楽曲がSpotifyやApple Musicで解禁、さらにYouTubeでMVがフル視聴できるようになった2019年というのは、なかなか画期的な年だと言いたくなる。「もっと解禁してほしい」、「CDを買ってきた身としては複雑な気分」とその反応は様々なようだが、2020年いっぱいで活動休止を発表している嵐にとって、グループの存在を世間から忘れられぬよう保持し、かつ時代の流れに呼応した状態でカムバックする、その時を見据えた上でも、今回のアクションはまたひとつ大きな転機であることに間違いはないだろう(なお、今回のアクションは10/16発売の20周年記念ビデオ・クリップ集『5×20 All the BEST!! CLIPS 1999-2019』のコマーシャルも兼ねていることも一応記しておきます)。
気になるのは、これに続くジャニーズ側の次なるアクションだ。すでにSixTONESなどはYouTubeを活用しているが、これまで楽曲提供のアーティスト自体が定額配信サービスに懐疑的だったKinKi Kidsや関ジャニ∞などは、DREAMS COME TRUEやWANIMA、星野源らの解禁によってその可能性はかなり高まっている(関ジャニ∞は脱退したメンバーの問題もあるが)。特に多くの人が望むSMAPの配信に関しては、おそらく根本的な権利はジャニーズが握っているとはいえ、新しい地図の3人(これはジャケットなどに関して肖像権も引っ掛かってくる?)、そして提供アーティストやクレジット(SMAPの場合は作曲と作詞が異なる場合も多いこと、またプレイヤーにも著名人やプロを起用している)などクリアすべき課題が山積みで、おそらく何かしら「元SMAPの5人」が揃ってGOを出さない限り(解禁については)あり得ないはずだ。
冒頭に触れたとおり、日常音楽を聴くのに定額制音楽サービスを利用いている身としては、いちいちスマホのアプリを切り替えなければならない煩わしさを考えると、早く全カタログを解禁してほしい、という望みはある。ただ、AppleがiTunesでThe Beatlesを配信することがアナウンスされた際(2010年11月)、世界が大きく動いたように、おそらく「権利」や「アーティスト価値の消費」の問題は、普通の日本のアーティストやミュージシャン以上に、解禁するか否かを左右する重要な判断基準になっているはずだ。まずはすでに動きのあるSixTONESやジャニーズJr.が、今後もネットを主戦場のひとつとして活動していくことで、「段階的」から「通常通り」へと、ファンの意識を少しずつシフトするように誘導していく動きが活性化していくかもしれない。
ともかく、嵐がSpotifyやApple Musicで聴ける世界は、なかなか良いもんですね。
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