見出し画像

現役ISマネージャーが2年間を振り返ってやっておくべきだった3つのこと

こんにちは、LayerXのmj(@MJ_LayerX)です。
同社でインサイドセールス(以降IS)を担当しています。

本稿では、ISチームの組成・運用・改善に取り組んできた私が『立ち上げから現在までの2年間』を振り返り、「これもっと早くやっとけばな〜〜〜〜」と思うものから、厳選した3つをお伝えします。

これからIS組織の立ち上げを検討されている方、絶賛立ち上げ中の方、他社のISと自社を比べてみたい方は、本稿をぜひご覧ください。
※アウトバウンドについてはあまり触れません。
※プロダクトが出来上がっていない、または販売できる状態にない場合、この記事はたいして役に立ちません。拡販したくなる3〜4ヶ月前ならぜひご覧ください。

書き味がポエム気味ですので、結論だけ知りたい方は目次から”まとめ”にスキップしてください。

また、本稿では以下の言葉を次のように表記します。
MK = マーケティング、FS = フィールドセールス、CS = カスタマーサクセス

ISを立ち上げた理由

ベンチャーだもの

私はSaaS事業部の4人目のビジネス部門担当として入社しました。
入社した2021年4月、全社員が30名程度でした。数名のCSメンバーを除きMK/IS/FSを担当するメンバーは3名。3名は共に事業開発に近い動き方をしており、MKやISに専念するメンバーはいません。お手製のHPを作りながらFSとしても商談に臨み、市場をつぶさに観察していました。
この時、お客様とのお打ち合わせはHP上に設置されたカレンダーからお客様がご自身で日時を設定するのみ。もちろん、事前ヒアリングはありません。
(それでも毎月100件近い問い合わせがありました)

マッチングの不確かさが問題だった

カレンダーから日時を登録されたお客様とお話しすると、開始5分でどう頑張ってもご成約いただけないことがわかることがありました。
それは『当社が提供していない機能をお求めである』ということがわかるからです。
2021年当時、当社は『受領した請求書を手入力ゼロで処理できる』クラウドサービスを提供していました。
一部のお客様には『請求書を手入力ゼロで処理できる』=『請求書の自動”発行も”できる』という勘違いをし、お打ち合わせを予約されていました。
お打ち合わせ開始後5分のヒアリング(それ以上に早いことも)でお客様から「すいません、勘違いでした」と言われると、双方とも抑えた1時間が無駄になってしまいます。
これが無視できない頻度になり、「こいつは事前ヒアリングで回避できるぞ」ということでISを立ち上げる運びとなりました。せっかくお時間をいただくので、お客様の業務フローや想定されるトランザクション数(当社製品では”受領”請求書の枚数)なども確認することにしました。

さて、本題に移ります。
IS活動の開始から2年、振り返ってみると「これもっと早くやっとけばな〜〜〜〜」と思うものがたくさんあります。今回は3つに絞ってお伝えしますよー!

人的投資をちゃんとする

0.5人月で始めたIS活動

記述の通り、当社にはIS組織がありませんでした。経験者もいません。
そこで新入社員の私が、初出展の展示会とセミナーの企画を進行しながら並行してIS活動を担当することにしました。

ええ、片手間です。
お客様への向き合い方ではなく、投下できるリソースの話です。

というかフルコミができませんでした。
まずはほぼ手付かずだったHubspotの構築から実行します。デフォルト状態のため細かな設定がなく、『お打ち合わせ用のZoomを自動登録でき、メールの履歴をトラッキングしている』のみでした。ここ、重要です。データが大事なんです。

さて、データを蓄積するための箱(Hubspot)は概ね設定できました。ついにIS稼働開始です。私はMKも並行稼働しているので、使える時間は1日4時間。まずは20コール/日を目指してアプローチを開始しました。

顧客や市場の傾向を正しく把握するため、一定のサンプルが必要となります。高速かつ小さくたくさん失敗しながらPDCAを回すためには量が不可欠ですから。
このために少なくとも専任者を1人以上アサインすべきですが、私は自身の半分のリソースしか使えませんでした・・・。
既述の通り、何もしなくても月100件程度の商談申し込みをいただいていましたから、結局インバウンド対応に追われることになりました。

毎日5件以上の新規インバウンドリードに対応しながら、昨日までの未接続も対応しなければいけません。使える時間は1日4時間。

追いきれませんでした・・・。

未対応(負債)がたまり、結果的に短日で接続できたお客様にのみ対応することができました。上澄だけを啜るような活動です。いやー、もう一人いればこんなことにはならなかった。

いきなり人的資源を投入するのはちょっと勇気が必要です。
ですが、その後の活動を最適化していくためにもここで投資を渋るのは避けるべきだと痛感しました

最適な投資とは

では、「どのくらい投資すべきなのか?」という点についても言及します。
1人のメンバーがアプローチにフルコミットした場合、控えめに見ても800コール/月は確実に遂行できるでしょう。私の考える人的投資の段階は次の通りです。

ISの人的投資のサンプル

最初期は正社員1名+アルバイト(または業務委託)1名で良いと思います。後述しますが、採用は簡単ではありません。
週3日以上稼働できるアルバイトの方であれば採用しておきましょう。稼働に余剰があっても以下を遂行できるようにすべきです。

  • インバウンドリードを対応しきれる。(ファーストアプローチ5分以内+未接続でも最低5回のアプローチを3日以内を実現)

  • 過去の問い合わせを含む掘り起こし対応+アウトバウンドで1000コールを遂行できる。(一人月で800コール程度の計算です)

  • 余剰があればアウトバウンドしましょう!(楽しいよ!)

あくまで最低限の投資です。社長のみなさん、ここはケチってもいいことないです。商談がないと売り上げもないです。
採用できるならしましょう。難しい場合は外部のパートナー様を探しましょう。

とにかく発信を絶やさない

さて、人員数については上述の通りです。
これをどうやって実現するか?

採用ですね。

しかしながら、『待ち』の姿勢では誰も採用することができません。まずは自社について知ってもらいましょう。自社、サービス、チームについて積極的に発信しましょう。

発信がミスマッチを減らす

もともとSNSに疎かった私はTwitterアカウントも持っていませんでした。facebookも長いこと休眠中。趣味のボルダリングのためにinstagramをたまに覗く程度でした。

当社代表の福島をはじめとしたボードメンバーはSNS上のフォロワー数も多く、「まあ、大丈夫だろう」とゆるく構えていましたが、これは間違いです
積極的に発信してください。発信することには、次のようなメリットがあります。

  • タダでできる。

  • 自社や自部門、メンバーやその考え方に触れてもらうことで

    • 応募のきっかけになる場合がある。

    • 面談前にミスマッチを減らすことができる。

  • (採用とは関係ないが)他社の方と繋がることができる。

noteを書きましょう。すぐできます。この記事も2時間くらいで書いています。
特に『面談前にミスマッチを減らすこと』になかなか気づくことができず、入社から半年後たってようやく第1回目の発信を行いました。

例1:ISが活動している、積極募集していることを告知する

その後も、ネタを思いつく度に発信してきました。

例2:ISの活動目的や姿勢を知ってもらう

例3:具体的な取り組み内容を知ってもらう

発信した内容は求職者にこそシェアしよう

立ち上げから2年間でISとして20人近いメンバーにご入社いただきました。
選考過程でnoteの記事をシェアすることで、我々ISチームや会社のスタンス・考え方をより深く理解でき、入社を決断していただけたと考えています。実際に面接の場でも記事の内容についてディスカッションの機会をいただくことがたくさんあります。
また、インターン5名の卒業を除き退職者はいません。これは上記の狙い通り、ミスマッチを最小限に抑えられたと言えます。

また、発信はnoteだけではありません。
例えば他社のイベントに積極的に参加したり、自分たちで他社とコミュニケーションを取れる企画を作ったりもしました。

公開1on1と化した茂野さんとのオンライン対談。
Japan Sales Collectionのコンテストにも参加させてもらいました。

Twitterでつぶやくだけでは、将来メンバーになってくれる方を探すことは難しいかもしれません。積極的に舞台に立ちましょう!なければつくりましょう!

定量化することを前提に業務設計に取り組む

実はこれはやっていてよかったことです。

がっつり取り組んだデータ化

ISでは日々たくさんのお客様とコミュニケーションを取ることができます。私たちは立ち上げ当初から、大変でもデータを残すことに注力しました。未来への投資です。

もちろん、「あー、やっとけばよかった」という指標はありました。その時々の状況に依存するため、都度追加し続ける・入力が必要なことをメンバーに周知するようにしました。
(この過程で、ミーティングの方法や変更点の伝え方もかなり洗練されたように思います。)
結果、これらの情報を活用した施策を今すぐ実行することが、私たちにはできます。

この徹底的な定量化ができたのは、組織の思想に依存するかもしれません(個人的な失敗もありますが・・・)。もし本記事を読んでいる方の組織に『定量的に振り返る習慣』がなければ、ぜひ参考にしていただきたいと思います。

当社のデータ化項目を一部公開しちゃいます

ここで全組織共通で必須と思われる項目と利用目的をシェアします。

これは必須と思われるデータ化項目。CVは”コンバージョン”です。

この実現には顧客管理ツールや営業管理ツールの活用が不可欠だと思います。まだ利用されていない場合は、Hubspotを強く推奨します。

また、業務フローやツールの仕様を変更した際は、その都度スライドなどで何をどう変えたかわかるようにしておきました。
振り返って何がよかったか・どのように変更(または戻す)すべきかが一目でわかるのでおすすめです。

2022年7月、既述の茂野さんとの公開1on1直後に変更した。
この後さらに3回変更されている。

まとめ

ここまで、IS立ち上げから現在までの2年間を振り返り、(もっと早く)やっておけばよかったと思う3つの取り組みをご紹介しました。

  • 量を重視することで素早くISを立ち上げるために、人的投資をする

  • 採用成果を最大化するために、積極的に発信する

  • PDCAを効果的に実行できるように、様々な事象を定量化する

ISの立ち上げから2年間、右往左往しながらもちょっとずつ前に進んできたつもりですが、これを知っていればもっともっと前に進めたかも。
本稿をご覧いただいた方には上記の3つに早めに取り掛かり、爆速で実績を出していただけると嬉しいです!

なお、これらは全て当社の行動指針にも当てはまるものでもあります。

大胆に投資する、積極的に発信する=Be Animal
様々な事象を定量化する=Fact Base

LayerXの行動指針は5つあります。全部見たい方はこちらをクリック!

結局、行動指針・組織文化が大事で、それに従うのみですね!
凡事徹底!


イベント登壇予定です。同じテーマですが、当日はもっと生々しくお話しする予定です!


この記事が参加している募集

振り返りnote

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?