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マーケティングトレース/ Anytime Fitness(初級編)

note初投稿になります。最近ツイッターを再開しまして、フィードを眺めていたところ、「マーケティングトレース」というマーケティング思考の筋トレ方法に巡り合うことができました。個人的に最近アウトプットを怠っていましたが、マーケティングトレースはマーケティング思考を鍛えることができるに加えて、自分の好きな企業やブランドの成功要因を読み解くことができるのではないかと思いまして、まずはやってみようと思った次第です。恥ずかしいレベルの分析ではあると思いますが、アウトプットの意味も込めてnoteでの投稿を決意しました。

さて今回のテーマ企業ですが、個人的にスポーツを趣味としておりまして、筋トレを週3回ほどしております。幼少期から野球をやっており、体を動かすことが好きだった私は、運動しないと体の調子が上がらないほど、運動は生活の一部になっております。そんなことから、日ごろからお世話になっているフィットネス施設、Anytime Fitnessのマーケティングトレースをやってみようと思った次第です。

国内フィットネス市場の状況

まずAnytime Fitnessのマーケティングトレースに入る前に、国内のフィットネス市場について調べてみました。株式会社クラブビジネスジャパン / 日本のクラブ業界のトレンド2018年版によると、2018年のフィットネス市場の規模は4,786億円、フィットネス施設数は5,818軒に上り、前年と比較すると市場規模は4%増、2014年と比較すると10%増加と成長市場であることがわかります。成長の主な要因としては、(a) 健康に対する意識の高まり、(b) フィットネスニーズの多様化(例:クロスフィットや女性専用フィットネス施設等)が背景にあると考えております。自分の肌感覚としても、以前は筋トレ上級者しかほぼいなかったトレーニングジムには、高校生からお年寄りまで、筋トレ経験有無問わず、幅広い方々がトレーニングしている姿を見かけるようになりました。自分が高校生だったころ(15年前くらい)は、トレーニングジムは汗臭くて、ゴリゴリの人が行く場所という印象が強かったので、だいぶ変わったなと感じています。

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参考:株式会社クラブビジネスジャパン / 日本のクラブ業界のトレンド2018年版

Anytime Fitnessとは?

Anytime Fitnessは、アメリカのAnytime Fitness LLCが運営しているフィットネス施設で、世界28か国で約4,500店舗のフィットネス施設を運営しています。日本国内では、株式会社Fast Fitness Japanが2010年10月に東京調布店をフランチャイズオープンし、現在は国内707店舗(2020年1月現在)を運営しています。「いつでも、どこでも、オトクに、好きなだけ。」をキャッチコピーに、年々会員数と店舗数を伸ばしており、2018年現在では411,457名の会員数を抱えています。2017年の会員数が249,686名でしたので、この1年間で約16万人の会員数が伸びた計算になります。

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参考:Anytime Fitness Company Profile (https://fastfitnessjapan.jp/pdf/company.pdf)

それでは、なぜAnytime Fitnessは日本国内で施設数と会員数を伸ばしているのでしょうか?マクロとミクロの視点から見ていきたいと思います。

PEST分析

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政治的要因:文部科学省のスポーツ振興基本計画のもと、総合型地域スポーツクラブの育成と支援により、様々な地域において運動やトレーニングが身近な存在になった。

⇒国民医療費の増加に伴い、文部科学省とその外局であるスポーツ庁は、スポーツを通じた国民の健康促進を目指しています。その一つの施策として、地域住民により自主的・主体的に運営されるスポーツクラブ(総合型地域スポーツクラブ)が推進されています。地域のスポーツクラブでトレーニングの方法や楽しさを学び、運動することへの興味関心が高まったと考察します。

経済的要因:フィットネス施設の増加により、施設間の競争が激化。よって、価格やサービスなど各顧客の需要にマッチしたフィットネス施設が増えた。 

⇒健康志向の高まりによって、フィットネス業界の競争は激化しています。最近では、クロスフィット、プライベートジムや女性専用ジムも増えてきており、売上と会員数を伸ばしています。大型のフィットネス施設だけでなく、ニッチ市場の需要を捉える企業も増えてきていることから、様々な顧客ニーズに対応できるように変化しました。

社会的要因:

(a) 健康志向の高まりによって、トレーニングを生活の一部に取り入れる人が増加。トレーニングを通して、仲間やコミュニティが形成され、運動することが習慣化された。

(b)東京オリンピック開催に伴い、スポーツ関連の報道が増加し、運動やトレーニングへの興味関心が高まった

⇒トレーニングを通して、パートナーやトレーニング情報を共有するコミュニティが形成され、人々の中にトレーニングを生活のルーティンに加える人が増加。また、東京オリンピック開催に伴い、アスリートのトレーニングする姿やストーリーに共感し、運動への興味関心が高まった。

技術的要因:スマホアプリやYouTubeを通して、トレーニング方法やプログラムを調べることができるようになり、トレーニングへの興味関心が高まった。

⇒トレーニング初心者でも、ウェブサイトやYouTubeで自分に合ったトレーニング方法を調べることが可能になった。それに伴い、トレーニングを初めることへのハードルが低くなった。 

ここからわかること:健康志向の高まりやフィットネス施設の増加により、トレーニングが身近な存在に。フィットネス企業間の競争も激化したことで、様々な顧客ニーズに対応できるようになり、トレーニング需要が増加。またトレーニング方法が動画やウェブサイトを通して、簡単に調べることが可能になったことで、気軽にトレーニングしようという意識の人が増加した。

3C分析

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顧客:健康を維持したい、カッコイイ/美しい体を作りたい、フィジーク大会に出て、結果を出したいなど老若男女、トレーニング初級者~上級者まで様々な人が利用

競合:

自治体運営の運動施設:金額は安いが、設備の充実度は乏しい

民営企業(ティップネス、コナミスポーツクラブ、セントラルスポーツ、ゴールドジム):トレーニング器具、プール、お風呂など施設は充実している上、トレーニング初心者でも通えるプログラムが充実。しかし価格は月額1万円を超える傾向、加えて料金体系が複雑。

自社:

(a)世界4,500店舗が24時間利用可能。自分のライフスタイルに合わせたトレーニングルーティンを確立できる。

(b)一律月額6,500円~8,500円(施設によって異なる)と1万円以下で利用できる上、価格体系がシンプル

(c)施設内が清潔でモダンな雰囲気。スタッフがフレンドリーで、心地良くトレーニングできる

成功要因

①世界4,500店舗が24時間利用可能

やはりAnytime Fitnessの一番の強みは、世界4,500(国内700店舗)を、24時間いつでも利用できることだと思います。自分の生活リズムに合わせた形でトレーニングできることは、スケジュールを柔軟に調整できるという心のゆとりを作ることができます。また世界どの店舗でも利用できるので、例えば出張先で汗を流したい、海外旅行にでているけど、トレーニングルーティンは壊したくない人の需要も囲い込みことができます。

②月額1万円以下

店舗によって異なりますが、トレーニングジム使い放題で月額1万円以下は非常に価格競争力が強いと思います。また、料金体系が一律で分かりやすいです。大手のフィットネス施設にみられるような、トレーニング回数や利用施設によって料金体系が異なるような複雑なプランではないので、顧客を混乱させません。

③フレンドリネス、クレンリネス、セキュリティ

スタッフは24時間常駐ではないものの、勤務時間中は黙々と床や器具の掃除、あいさつなど顧客へのホスピタリティがしっかりしています。また24時間運営ですと、セキュリティを気にする方も多いと思います。その対策として、各施設には防犯カメラだけでなく、万が一のトラブルに備えた緊急呼び出しボタンを設置し、何かあった際はセキュリティが駆けつける体制を整えています。

自分がCMOだったら

①地方都市への出店加速

現在707店舗のうち、首都東京と大都市を抱える都道府県(神奈川県/横浜市、愛知県/名古屋市、大阪府/大阪市、福岡県/博多市)への出店が5割以上のことから、地方都市への進出にはまだまだ伸び率が高いと思います。地方都市は大都市と比較すると、地価が比較的安いことから、利益率の高い運営が可能なのではないでしょうか。

②小中学生への運動能力向上のためのイベント開催

昨今ニュースでも取り上げられているように、子供の運動能力の低下が取りざたされています。「全国体力・運動能力、運動習慣等調査」(全国体力テスト)によると、(1)授業以外の運動時間減(2)スマートフォンなどの使用時間増などの背景から、運動能力が低下しているそうです。このようなことから、小中学生向けの運動能力向上を目的としたフィットネスイベントの開催を考えました。Anytime Fitnessとしては、この施策を通して短期的に売上向上にはつながらないと思います。ただブランド認知と地域密着の視点から、将来的にお子さんがジム入会の検討を行う際に、Anytime Fitnessが選択肢に入ることは期待できます。例えば、お子さんを持つ会員さんをフィットネスイベントに招待することで、幼いころから運動することの楽しさを体にしみこませ、ブランドのファンになってもらうことを通して、地域密着型のフィットネス施設として成長できるチャンスだと考えています。

終わりに

初めてマーケティングトレースを行いましたが、やはりお初だったため、かなり時間がかかってしまいました。ただ、自分が普段利用しているサービスの成功の要因とその取り巻く環境を頭の中で整理でき、とても刺激が多かったです。

次回の投稿では、時間を区切ってその中でどこまで分析できるのか試したいと思います。

それではまた次回の投稿で!



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