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【短編小説】当たり前

私が先に生まれたんだから妹はお下がりを着るのが当たり前だよね。ほら、ネンコージョレツってやつ?
歳下は歳上の言うこと聞いてりゃいーのよ。

え?パンケーキが食べたい?
でもさ、今多数決でアイス食べに行くって話になったじゃん。そこはあんたが合わせるのが当たり前じゃない?そんなに食べたきゃ1人で行けば?

クラスでイジメ?ないない。だってみんなもないって言ってるし、私だってそんな現場見たことないし。
それにあったとしても、空気読んで黙っとくのが当たり前。巻き込まれたくないもん。

…あれ?私何してたんだっけ。
ああそうだ、彼氏とドライブしてたら土砂崩れに遭って車から投げ出されて、生き埋めになっちゃったんだ。

そういや私の彼、どこまで助けを呼びに行ったんだろ。愛しの彼女が死にかけてるんだから、業者とか大勢の人を呼びに行ってるんだよね。それで時間かかってるんだよね、きっと。
大丈夫、分かってるよ。それに可愛い彼女を守るのが彼氏としての当たり前の務めだもんね。


「もしもし?今土砂崩れの被害に遭っちゃってさー…お前の家、確かこの辺りの権力者だよな?親に頼んで一刻も早く救助出してくんね?
…え?あー1人1人。お前以外の女なんて乗せて走る訳ねーじゃーん!!

婿入り前だぜ?当たり前だろ?」

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