見出し画像

【短編小説】世界終了のお知らせ

ある日突然、ニュース速報で世界のトップの人間達の会見が全国一斉に放送された。
あと2週間で地球は滅亡すると。何とも笑えないジョークだなと、その時は思っていた。

だけど、その日から続く異常という言葉すら逸脱した気象に野鳥や虫達の止まないざわめき、夜になれば日々やけに大きく見える惑星。他にも挙げられる『異常』はごまんとあったけど、とにかく日が経つにつれ、それは本当のことかもしれないと誰もが覚悟を決めた。

今はあのニュース速報が流れてから1ヶ月が経過したところだ。確かに、地球の生態系を保つ為のシステムは滅びた。あちこちの火山が大噴火を起こし、空には暗雲が立ち込めて雷も色んな場所へ落ち続けた。結論を言うと、世界のほとんどのものが流され溶かされ崩壊した。

でも自分だけがこうして生き残っている。話しかけてくれる相手も、笑いかけてくれるあの人も、戻ることはない。
そんな誰もおらず何もない、唯一部屋としてギリギリ機能しているこの空間に、誰に聞かれることもない自分の声だけが虚しく響いた。

『おはようございます。マザーコンピュータAIのテラーが2×××年××月××日をお伝えします。……』

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?