見出し画像

【短編小説】1年に1度

もうすぐ七夕だね。
「そうねー」
そういうイベントは1年に1度っていうけどさ、それって何に対しても言えることなんじゃないかな?でなきゃ『一期一会』なんて言葉も存在しないよ。
「相変わらず面白いわね。キミの考えは」
屁理屈ともいうらしいけれどね。
「よし。出来た!」
さっきから作ってたよね、それ。
「久々にしたわ、編み物なんて」
ブレスレット?
「そ。こっちの赤が私で…この青いのがキミのものよ。次こそは離れることがありませんように、ってね」

いわゆる織姫と彦星がまさか現代に親子として転生しているだなんて、誰も思わないだろうね。

「ふふ、そうね。傍から見たら私達は仲の良すぎる母親と息子だわ」
もしも僕がこの先恋人とか作ったら怒る?
「…。何を怒ることがあるのかしら?」
間が恐いよ、織姫母さん。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?